150万円の壁

「配偶者控除」に「基礎控除」…実際に始まるのはいつ? 確定申告にからむ税制改正の施行日

2017年度に引き続き2018年度においても、一般人にとても身近な所得税の税制改正が行われました。

たくさん稼ぐ人にとっては厳しい内容となりましたが、毎日の生活費に悩む低所得者にとっては助かる内容となっています。

ここで間違えてはいけないのが「改正された内容がいつから始まるのか」という点です。

今回は、法律が作られてから実行されるまでの流れと、最近の税制改正の開始ポイントについて整理します。




税法の基礎! 法律が作られて実行されるまでの流れとは

毎年12月税制改正が発表されると、すぐにTVや新聞、メディアで内容が報道されます。

これを受けて一般国民も税制改正された内容を意識するようになっています。

時期を正しく認識していればよいのですが、中には「改正された = 次の確定申告ですぐ使える」と誤解するひとも少なくありません。

ほぼすべての税法は、その年末に改正されても直近の年末調整や確定申告に反映されることはありません

なぜかというと次のステップで税法が作られていくからです。

(1) 各省庁や経済団体からの要望提出(8~9月)

(2) 与党税制調査会(以下、「党税調」)が各省庁や経済団体からの要望とりまとめ(10月)

(3) 党税調が小委員会、総会で議論(11月)

(4) 与党税制改正大綱発表 → 閣議決定(12月)

(5) 内閣が国会に提出 → 国会審議(1月)

(6) 改正法成立 → 公布(3月)

(7) 改正法施行(4月、ただし特段の定めがあるものを除く)

一気にニュースで報道される「税制改正大綱発表」とは、この(4)の段階のものをいいます。

まだ国会の審議や決議を経ていないので、この段階ではまだ法律ではありません

あくまでも「案」に過ぎないのです。

ただ、衆議院・参議院ともに与党が過半数に達しない限り、上回る税制改正大綱となった内容が否決される可能性はほとんどありません。

そのため、大綱発表の時点で法律として成立することが前提となっています。

なお、ここでいう「公布」とは、成立(改正を含む)した法律を一般に周知させることが目的で、国民が知ることができる状態におくことをいいます

国民である皆さんが法律の内容を知る余裕もなく実行されてしまうなら、民主主義に則っているとは言えません。

そして、「施行」こそ、法律が現実に発動し、我々の生活に反映されることをいいます。

皆さんが税制改正で「いつからなのか」を知りたいとき、意識を向けるべきは施行日なのです。


確定申告にからむ税制改正の施行日はいつ?

では、みなさんが最近気になっている税制改正とその施行日について整理してみましょう。

2017年度税制改正


内容

・ 給与所得1,000万円超の配偶者控除及び配偶者特別控除の撤廃
・ 配偶者控除「103万円の壁」が「150万円の壁」へ
・ 配偶者特別控除も給与収入150万円超から201万6,000円まで使えるように

施行日

2018年1月1日

反映される対象

・ 2018年1月1日以降の給与の源泉所得税
・ 2018年12月以降の年末調整
・ 2019年3月15日申告期限の所得税の確定申告

2018年度税制改正


内容

・ 850万円超の給与所得者の給与所得控除縮小
・ 公的年金等控除の一律10万円引き下げ
・ 年金収入1,000万円以上の公的年金等控除縮小
・ 基礎控除が38万円から48万円に引き上げ、所得2,400万円超については縮小(2,500万円超は適用ナシ)

施行日

※2018年1月22日開始の通常国会にて審議予定
2020年1月1日

反映される対象

・ 2020年1月1日以降の給与及び公的年金等の源泉所得税
・ 2020年12月以降の年末調整
・ 2021年3月15日申告期限の所得税の確定申告

つまり、主婦のパートやバイトで「どれくらい働いたらいいの?」を気にすべき時期は今月からすでに始まっていて、「会社勤めと副業のバランスをどうしようかな」について具体的に対策を立てるべき時期は再来年以降になります


さいごに



身近な日常生活に税制改正が絡むと誰でも不安や焦りをおぼえるものですが、ここでもっとも気にしたいのは「施行日」です。

施行日を意識しつつ、今後の対策を立てていただくのがもっとも冷静に対処できるのではないかな、と思います。(執筆者:鈴木 まゆ子)

【パートの壁】減税になったのに実感がない方へ 税金の負担軽減に「iDeCo」の活用をおススメします(試算あり)

2018年以降は新聞や雑誌などで特集されているように、夫が38万円の配偶者(特別)控除を受けるための妻の年収制限が、「103万円以下」から「150万円以下」に拡大されます。

また2018年以降は夫の年収が「1,120万円超」だと、控除できる金額が減っていき、夫の年収が「1,220万円超」になる場合には、配偶者(特別)控除を受けられなくなるのです。

このような仕組みに変わるため、妻の年収が増えたとしても、夫の年収が1,220万円以下あれば、引き続き配偶者(特別)控除を受けられるので、実質的に減税になるというわけです。

しかし次のような理由により、減税になったという感覚を、あまり感じられない可能性があると思います。




年収が増えるほど負担が大きくなる税金と社会保険の保険料

例えば妻が年収を103万円以下に抑えた場合、給与所得者の必要経費である「給与所得控除」の65万円と、所得控除のひとつである「基礎控除」の38万円を控除すると、妻の課税所得は0円になります。

この0円に所得税の税率を乗じても、結果は変わりませんから、所得税の負担は発生しないのです。

また妻の年収が130万円未満であれば、社会保険の扶養に入れるので、保険料を負担する必要はありません

しかし妻の年収が103万円を超えると、給与所得控除と基礎控除を控除した後の金額が0円になりませんから、他の所得控除(例えば生命保険料控除)がない場合には、所得税の負担が発生する可能性があるのです。

また従業員数が501人以上の会社で働いている場合には、年収が106万円以上になると、社会保険に加入する必要があるので、保険料の負担が発生します

このように妻側の負担増があるため、たとえ夫側が減税になったとしても、世帯全体としては減税になったという感覚を、あまり感じられないと思うのです。


年収を150万円にすると4万円くらいの税金の負担が発生する

年収を150万円(月収が12万5,000円で、賞与はなし)にした場合の、1年あたりの雇用保険や社会保険の保険料、税金(所得税と住民税)を試算してみると、次のような金額になっております。

雇用保険(一般の事業に該当)


4,500円(375円 × 12月)

健康保険(40歳以上の介護保険対象者で、東京都の協会けんぽに加入)


8万7,396円(7,283円 × 12月)

厚生年金保険


13万8,348円(1万1,529円 × 12月)

所得税


(A) 年収(150万円)- 給与所得控除(65万円)= 給与所得(85万円)

(B) 給与所得(85万円)- 基礎控除(38万円)- 社会保険料控除(23万244円)= 課税所得(23万9,000円)

※社会保険料控除は雇用保険、健康保険、厚生年金保険の保険料の合計であり、また課税所得は1,000円未満の端数を、切り捨てにします(住民税の計算でも同じ)。

(C) 課税所得(23万9,000円)× 所得税の税率(5%)= 所得税(1万1,950円)

住民税(都道府県民税、市町村民税)


(A) 年収(150万円)- 給与所得控除(65万円)= 給与所得(85万円)

(B) 給与所得(85万円)- 基礎控除(33万円)- 社会保険料控除(23万244円)= 課税所得(28万9,000円)

(C) 課税所得(28万9,000円)× 住民税の税率(10%)-調整控除(2,500円)= 住民税の所得割(2万6,400円)

(D) 住民税の所得割(2万6,400円)+ 住民税の均等割(5,000円)=住民税(3万1,400円)

※調整控除は「所得税の基礎控除(38万円)- 住民税の基礎控除(33万円)× 5%」で算出し、また均等割は地域によって金額が変わる場合があります。

以上のようになりますが、所得税は1万1,950円、住民税は3万1,400円になるので、税金の負担としては合計で4万3,350円になります。


iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除として所得から控除する



このように年収を150万円まで増やすと、社会保険の保険料と税金の負担が大きくなるため、2018年以降に年収を増やす予定がある場合には、特に個人の努力で金額を変えられる税金の、負担軽減策を考えた方が良いと思うのです。

その候補のひとつとして挙げられるのは、個人型の確定拠出年金(以下では愛称に決まった「iDeCo」で記述)になります。

この制度に新たに加入して、月に5,000円(年間で6万円)の掛金を拠出した場合の、1年あたりの雇用保険や社会保険の保険料、税金(所得税と住民税)の金額を試算してみると、次のような金額になっております。

雇用保険、健康保険、厚生年金保険


それぞれの金額や合計額は、上記の試算と同じになります。

所得税


(A) 年収(150万円)-給与所得控除(65万円)= 給与所得(85万円)

(B) 給与所得(85万円)-基礎控除(38万円)- 社会保険料控除(23万244円)- 小規模企業共済等掛金控除(6万円)= 課税所得(17万9,000円)

iDeCoの掛金は所得控除のひとつである、小規模企業共済等掛金控除になるため、上記の試算よりも課税所得が減ります(住民税の計算でも同じ)。

(C) 課税所得(17万9,000円)× 所得税の税率(5%)=所得税(8,950円)

住民税(都道府県民税、市町村民税)


(A) 年収(150万円)- 給与所得控除(65万円)= 給与所得(85万円)

(B) 給与所得(85万円)- 基礎控除(33万円)- 社会保険料控除(23万244円)- 小規模企業共済等掛金控除(6万円)= 課税所得(22万9,000円)

(C) 課税所得(22万9,000円)× 住民税の税率(10%)-調整控除(2,500円)= 住民税の所得割(2万400円)

(D) 住民税の所得割(2万400円)+ 住民税の均等割(5,000円)= 住民税(2万5,400円)

以上のようになりますが、所得税は8,950円、住民税は2万5,400円になるので、税金の負担としては合計で3万4,350円になります。


iDeCoの掛金の引き上げは余裕のある範囲で実施する

このようにiDeCoに加入して、その掛金を拠出することにより、税金の負担が9,000円(4万3,350円 - 3万4,350円)減ったのです。

金額は決して大きくはありませんが、例えば6万円の預金をして、9,000円の利息が付いたと考えると、かなりお得ではないかと思います。

また多くの自治体では各家庭が負担する保育料を、住民税(市町村民税)の所得割を基準にして決めております

そのためiDeCoの掛金を拠出することにより、住民税(市町村民税)の所得割が低くなると、保育料が安くなる場合があるのです。

その他に授業料に充てるための就学支援金を支給する、「高等学校等就学支援金制度」の所得制限についても、住民税(市町村民税)の所得割を基準にしているため、節税効果だけではないのです。

なおiDeCoの掛金は月5,000円以上であれば、一定の上限に達するまで、1,000円単位で自由に設定できるので、上記の試算よりも拠出する掛金を引き上げすれば、さらに節税効果などを実感できます。

ただ拠出した掛金とその運用益は、原則として障害状態になったり、死亡したりしないかぎり、最低でも60歳にならないと、引き出せないルールになっているので、掛金の引き上げは余裕のある範囲で行う必要があるのです。


2018年が開始すると同時に税金の負担軽減策を実施する



所得税や住民税は暦年(1月1日から12月31日)を単位にして、課税される仕組みになっております。

またiDeCoの申し込みを開始してから、実際に掛金の引き落としが始まるまでに、2か月程度の期間がかかります。

そうなると2017年11月頃に申し込みを開始すると、新しい暦年が始まって間もなくに、税金の負担軽減策を実施できるので、これからiDeCoを始める場合には、ちょうど良いタイミングではないかと思うのです。(執筆者:木村 公司)

【読者の質問に回答】「〇〇万円の壁」がなくなっても、家族手当の壁が残ったままだと、世帯収入は結局増えないですよね?

【読者の質問】

配偶者控除が拡大で「パートの壁」の年収の目安は103万円から150万円へ 「4分の3基準」に注意ってどういう意味?

上記記事を拝見しました。いろいろと細かく説明があり、わかりやすかったのですが、いつもこういう話の中で ご主人の会社である家族手当の事が書かれていません。

103万円の壁や106万円の壁がなくなっても家族手当の壁が残ったままでは150万円以上の年収でもなければ家庭内の合計年収は増えないという説明も付け加えてほしいです。


私の回答

家族手当を支給することは、労働基準法などの法律に定められた義務ではないので、家族手当を支給していない会社や、配偶者を支給対象にしていない会社もあります

また家族手当の支給条件も会社が決められるので、配偶者の年収がいくらであっても、家族手当を支給している場合があります。

このような事情により、家族手当が受けられる年収の条件である「家族手当の壁」は、103万円の壁や106万円の壁ほどは意識されてはいないため、説明が抜けている場合が多いのかもしれません

また現状ではご指摘のように、年収が増えて家族手当が支給されなくなると、世帯年収が増えない場合がありますが、家族手当を支給する会社は減少傾向にあるため、将来的に家族手当の壁はなくなる可能性があります。

以上のようになりますが、この回答をさらに詳しく説明すると、次のようになっております。



常時10人以上の従業員が働いている場合には「就業規則」を作成する


労働条件に関する最低基準を定めた労働基準法を読むと、常時10人以上の従業員を使用する使用者は、「就業規則」を作成して、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないと記載されているのです。

この就業規則の中に記載すべき事項は、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」に分かれております。

前者の絶対的必要記載事項とは、就業規則に必ず記載しなければならない事項であり、例えば勤務時間、休憩、休日、休暇、賃金、退職などに関することが該当します。

その一方で後者の相対的必要記載事項とは、会社で制度の定めをする場合には、就業規則に必ず記載しなければならないけれども、会社で制度の定めをしない場合には、就業規則に記載する必要がないことです。

家族手当を支給することは法律に定められた義務ではない


家族手当は賃金の一部ですので、支給条件や金額などについて、就業規則に記載しなければなりません。

ただ労働基準法などの法律には、「家族手当を支給しなければならない」とは記載されていないのです。

つまり賃金の構成をどのようにするかは、会社が決められるので、例えば基本給だけを支給して、通勤手当、家族手当、住宅手当などの手当を支給しなくても良いのです。

しかし家族手当の支給条件や金額などを就業規則に記載した場合は、家族手当を支給するのが会社の義務ですので、記載された通りに支給しなければなりません。

家族手当のために就労時間を調整する方は意外に少ない


家族手当を支給するか否かだけでなく、その支給条件や金額なども会社が決めて良いのです

ですから例えば子供だけを家族手当の支給対象にして、配偶者を支給対象にしていない会社もあります。

また配偶者を支給対象にしている場合には、配偶者控除を受けられる年収の103万円や、社会保険の扶養に入れる年収の130万円を、家族手当を支給するか否かの基準にしている場合が多いようです。

しかしその一方で配偶者の年収がいくらであっても、家族手当を支給している会社もあります。

こういった事情があるため家族手当の壁は、103万円の壁や130万円の壁ほどは、意識されてはいないようです。

その根拠になるものとしては、厚生労働省が有配偶女性パートタイム労働者に対して、「就業調整」(年収を一定額以下に抑えるための就労時間の調整)を行った理由を聞いた調査があり、その結果は次のようになっております。



≪画像元:厚生労働省 配偶者手当の在り方の検討に関し考慮すべき事項(pdf)(クリックして拡大)≫


この調査結果を見ると、家族手当(表中には「配偶者手当」で記述)のために就業調整を行った方は20.6%であり、他の理由と比べるとかなり少ないとわかります。

家族手当を支給する会社は年を追うごとに少なくなっている


就業規則の記載内容を変更して、家族手当を縮小または廃止するのは、労働条件の不利益変更に当たるので、労働者の合意がない場合には実施できません。

しかし次のような事情から考えて、就業規則の記載内容の変更が「合理的」であり、かつ変更後の就業規則が労働者に周知される場合には、労働者の合意がなくても良いのです。

・ 労働者の受ける不利益の程度
・ 労働条件の変更の必要性と内容の相当性
・ 労働組合などとの交渉の状況
・ その他の就業規則の変更に関わる事情

実際のところ厚生労働省が作成した統計によると、次のように家族手当を支給する会社は、年を追うごとに少なくなっているのです。





2018年が始まる前に家族手当の支給条件などを確認しておく




2018年以降の配偶者控除の拡大により、年収150万円程度まで働くのが一般的になった場合には、家族手当の支給対象になる配偶者は大幅に減少します

そうなると家族手当の存在価値は薄くなるため、これを支給する会社は更に少なくなり、将来的にはなくなっていくのかもしれません

もちろん上記のように不利益変更は難しいので、家族手当を基本給に組み入れ、減給にならないような形で、家族手当の支給を止めるという選択肢もありえます。

ただすぐになくなるとは考えられないので、当面は読者の方がご指摘するように、家族手当が支給されなくなることによって、世帯年収が増えない場合があります。

ですから2018年が始まる前に、夫が勤務する会社の就業規則を見て、家族手当の支給対象に年収条件はあるのか、また年収条件がある場合はその金額について、確認しておいた方が良いと思うのです。(執筆者:木村 公司)

【パートの壁】来年から年収が150万円を超えると段階的に控除が減るしくみへ 改正の注意点を確認

来年から103万円の壁が変わる

専業主婦やパートで働く主婦がいる世帯の税金を減らす配偶者控除と配偶者特別控除」が来年から見直しされる。

この改正によって103万円の壁はどうなるのか?



配偶者控除は配偶者の年収が103万円以下の場合に適用され、世帯主の所得から38万円が控除される制度だ。

配偶者の年収が103万円を超えた段階で控除がなくなるのは、あまりにも影響が大きいので、控除額は段階的に減るしくみになっている。

この逓減部分は現行制度では「配偶者特別控除」だ。

来年からは配偶者の年収が150万円を超えてから段階的に減るしくみに変わる

つまり103万円の壁は来年から150万円の壁に変わるわけだ。(配偶者控除は従来どおり年収103万円までであり、あくまでも配偶者特別控除が拡大するという意味)
  
この境目が引き上げられることにより、約300万世帯で減税になると言われている


改正の注意点

1. 配偶者自身の所得税・住民税が課税される可能性が出てくる

  
年収が103万円を超えると、基礎控除(38万円)以外の所得控除(生命保険料控除など)がなければ、配偶者自身が所得税・住民税を支払わなければいけない可能性が出てくる。

2. 社会保険料を支払うことになるかどうか


税制面での配偶者の年収による制限とは別に、配偶者の社会保険料が発生するかどうかの境目である「106万円以上」と「130万円以上」の壁が存在する。※106万円は従業員501名以上の企業で働く労働者の場合

配偶者自身が社会保険料を支払うことに関しては、デメリットばかりではなく、老後に受給を受けることになる「老齢年金」の額をアップさせるメリット面もある

3. 企業が従業員向けに設けている手当の支給基準


配偶者手当や家族手当の支給基準は、配偶者控除の基準と同じ「配偶者の年収103万円以下」としている企業が多い。

企業が国と同じ基準である「150万円以下」に動くとは思えない

4. 来年から配偶者控除の世帯主の年収制限が設けられる


世帯主の年収が1,120万円以下であれば、来年以降も従来通り38万円の控除が受けられるが、世帯主年収が1,120万円を超えてくると、配偶者控除の額が逓減。

1,220万円を超えると、配偶者控除がなくなってしまう
のだ。
 
この年収制限により、約100万世帯で増税になると言われている




妻の就労に関してよく制度を理解する必要がある!

来年からはじまるこの改正により、減税の恩恵が受けられたり、世帯収入が増える家庭もあれば、増税になり世帯収入が減る家庭も出てくる。
  
来年以降の妻の就労に関して、家族で良く話し合っていただきたい。(執筆者:釜口 博)

「配偶者控除改正」で「パートの壁」はこう変わる 手取り額の変化を世帯パターン別に分類して紹介

「103万円の壁が150万円の壁になるんですか?」

「来年からパートの壁はどうなるんですか?」



そんなご質問を受けることが増えてきました。

平成30年から配偶者控除および配偶者特別控除が改正されますが、改正の影響は世帯により異なります

またパート収入が増加すると税制や社会保険の扶養から外れるため、逆に世帯手取りが減ってしまうという「パートの壁」も世帯によって異なります。

そこで今回は配偶者控除等改正の影響や、気になる世帯手取りの変化について、世帯パターン別に分類して紹介したいと思います。


わが家のパートの壁パターンチェック!

今回の配偶者控除等の改正が増税か減税かと言った影響は世帯主の所得と配偶者の収入によって異なります。

またパート収入と世帯手取りの変化は、

(a) 世帯主の職業
(b) 世帯主の所得
(c) 配偶者の社会保険の加入状況

により異なります。

まずは下記のチャートを使ってわが家はどのパターンに該当するかチェックしてみてください。



≪クリックして拡大≫


なお、「所得」とは、売上から必要経費を引いたもので、「確定申告書の所得金額の合計欄」で確認いただけます。




世帯パターン別税制改正の影響と世帯手取りの変化

では、世帯パターン別に税制改正の影響と世帯手取りの変化をみて行きましょう。

手取額計算の前提条件は下記の通りです。

(※1)税金計算上の夫の控除は、基礎控除、社会保険料控除、配偶者(特別)控除、生命保険料控除(満額)のみとします。

(※2)税金計算上の妻の控除は、基礎控除、社会保険料控除のみとします。

(※3)健康保険は協会けんぽに加入とし、健康保険の保険料率は東京都のものを使用。

なお、便宜上、世帯主を「夫」、パートとして働く配偶者を「妻」として書き進めます。

逆のご家庭では「夫」と「妻」を読み換えてご確認ください。

Aパターン


夫は会社員等給与所得者で年収は1,120万円以下、妻は年収が130万円以上になるとパート先で社会保険に加入する、またはパート先で社会保険に加入することができないケースがAパターンです。

下のグラフは夫の年収を500万円とし、妻のパート収入と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



税制改正の影響

ピンク色の部分は「配偶者控除特別控除」が拡大されることにより、減税となる部分です

妻のパート収入が105万円以上201.6万円未満である場合は改正前より世帯手取りが増加します

パート収入と世帯手取りの変化

グラフの形状はどちらもパート収入が130万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じています。

152万円まで働けば社会保険加入前の手取額に回復します。

グラフは妻の収入が130万円でパート先の社会保険に加入することとして試算していますが、パート先が社会保険の適用事業者でない場合、妻は国民健康保険、国民年金に加入することとなります。

その場合、保険料の負担はさらに大きくなり、手取額の減少幅は大きくなると考えられます。

なお、夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります

Bパターン


夫は会社員等給与所得者で年収は1,120万円以下、妻は年収が106万円以上になるとパート先で社会保険に加入するケースがBパターンです。

下のグラフは夫の年収を500万円とし、妻のパート収入と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



税制改正の影響

ピンク色の部分は、「配偶者特別控除」が拡大されることにより、減税となる部分です。

妻のパート収入が105万円以上201.6万円未満である場合は改正前より世帯手取りが増加します

パート収入と世帯手取りの変化

グラフの形状はどちらもパート収入が106万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じています。

124万円まで働けば社会保険加入前の手取額に回復します。

なお、夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Cパターン


夫は会社員等給与所得者で年収は1,120万円超1,170万円以下、妻は年収が130万円以上になるとパート先で社会保険に加入する、またはパート先で社会保険に加入することができないケースがCパターンです。

下のグラフは夫の年収を1,150万円とし、妻のパート収入の変化と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



税制改正の影響

水色の部分は「配偶者控除、配偶者特別控除」の控除額が減らされることにより増税となる部分、ピンク色の部分は「配偶者特別控除」の拡大により減税となる部分です。

妻のパート収入が120万円未満の場合、改正前より世帯手取りが減少しますが、120万円以上201.6万円未満の場合、改正前より世帯手取りが増加します。

パート収入と世帯手取りの変化

グラフの形状はどちらもパート収入が130万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じています。152万円まで働けば社会保険加入前の手取額に回復します。

グラフは妻の収入が130万円でパート先の社会保険に加入することとして試算していますが、パート先が社会保険の適用事業者でない場合、妻は国民健康保険、国民年金に加入することとなります。

その場合、保険料は負担はさらに大きくなり、手取額の減少幅は大きくなると考えられます。

なお、夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Dパターン


夫は会社員等給与所得者で年収は1,120万円超1,170万円以下、妻は年収が106万円以上になるとパート先で社会保険に加入するケースがDパターンです。

下のグラフは夫の年収を1,150万円とし、妻のパート収入と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



税制改正の影響

水色の部分は「配偶者控除、配偶者特別控除」の控除額が減らされることにより増税となる部分、ピンク色の部分は「配偶者特別控除」の拡大により減税となる部分です。

妻のパート収入が120万円未満の場合改正前より世帯手取りが減少しますが、120万円以上201.6万円未満の場合は改正前より世帯手取りが増加します。

パート収入と世帯手取りの変化

グラフの形状はどちらもパート収入が106万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じています。124万円まで働けば社会保険加入前の手取額に回復します。

なお、夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Eパターン


夫は会社員等給与所得者で年収は1,170万円超1,220万円以下、妻は年収が130万円以上になるとパート先で社会保険に加入する、またはパート先で社会保険に加入することができないケースがEパターンです。

下のグラフは夫の年収を1,200万円とし、妻のパート収入と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



税制改正の影響

水色の部分は「配偶者控除、配偶者特別控除」の控除額が減らされることにより増税となる部分、ピンク色の部分は「配偶者特別控除」の拡大により減税となる部分です。

妻のパート収入が130万円未満の場合、改正前より世帯手取りが減少しますが、130万円以上201.6万円未満の部分で改正前より世帯手取りが増加します。

パート収入と世帯手取りの変化

グラフの形状はどちらもパート収入130万円で妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じています。152万円まで働けば社会保険加入前の手取額に回復します。

グラフは妻の収入が130万円でパート先の社会保険に加入することとして試算していますが、パート先が社会保険の適用事業者でない場合、妻は国民健康保険、国民年金に加入することとなります。

その場合、保険料は負担はさらに大きくなり、手取額の減少幅は大きくなると考えられます。

なお、夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Fパターン


夫は会社員等給与所得者で年収は1,170万円超1,220万円以下、妻は年収が106万円以上になるとパート先で社会保険に加入するケースがFパターンとなります。

下のグラフは夫の年収を1,200万円とし、妻のパート収入と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



税制改正の影響

水色の部分は「配偶者控除、配偶者特別控除」の控除額が減らされることにより増税となる部分、ピンク色の部分は「配偶者特別控除」の拡大により減税となる部分です。

妻のパート収入が130万円未満の場合、改正前より世帯手取りが減少しますが、130万円以上201.6万円未満の部分で改正前より世帯手取りが増加します。

パート収入と世帯手取りの変化

グラフの形状はどちらもパート収入が106万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じています。しかし、124万円まで働けば手取額は回復します。

なお、夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Gパターン


夫は会社員等給与所得者で年収は1,220万円超、妻は年収が130万円になるとパート先の社会保険に加入する、またはパート先で社会保険に加入することができないケースがGパターンです。

下のグラフは夫の年収を1,250万円とし、妻のパート収入の世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



税制改正の影響

水色の部分は「配偶者控除」が適用されなくなるため増税となる部分です。妻のパート収入が103万円以下の場合、改正前より世帯手取りが減少します。

パート収入と世帯手取りの変化

グラフの形状はどちらもパート収入が130万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じています。しかし、152万円まで働けば手取額は回復します。

なお、夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Hパターン


夫は会社員等給与所得者で年収は1,220万円超、妻は年収が106万円以上になるとパート先で社会保険に加入するケースがHパターンです。

下のグラフは夫の年収を1,250万円とし、妻のパート収入と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



税制改正の影響

水色の部分は「配偶者控除」が適用されなくなるため増税となる部分です。妻のパート収入が103万円以下の場合、改正前より世帯手取りが減少します。

パート収入と世帯手取りの変化

グラフの形状はどちらもパート収入が106万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じています。152万円まで働けば社会保険加入前の手取額に回復します。

グラフは妻の収入が130万円でパート先の社会保険に加入することとして試算していますが、パート先が社会保険の適用事業者でない場合、妻は国民健康保険、国民年金に加入することとなります。

その場合、保険料は負担はさらに大きくなり、手取額の減少幅は大きくなると考えられます。

なお、夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Iパターン


夫は自営業者等事業所得者で所得は900万円以下、妻はパートで収入を得るというケースがIパターンです。

下のグラフは夫の所得を500万円、妻は収入が130万円になるとパート先の社会保険に加入するとし、妻のパート収入と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



税制改正の影響

ピンク色の部分は、「配偶者特別控除」が拡大されることにより、減税となる部分です。妻のパート収入が105万円以上201.6万円未満の場合、改正前より世帯手取りが増加します。

パート収入と世帯手取りの変化

グラフの形状はどちらも妻のパート収入の増加に伴って世帯手取りも増加する一方で、いわゆる「パートの壁」と言われる逆転現象は生じません

妻のパートの加入要件が106万円の場合やパート先で社会保険に加入できない場合も同様に「パートの壁」は発生しません。

Jパターン


夫は自営業者等事業所得者で所得は900万円超950万円以下、妻はパートで収入を得るというケースがJパターンです。

下のグラフは夫の所得を930万円、妻は収入が130万円になるとパート先の社会保険に加入するとし、妻のパート収入と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



税制改正の影響

水色の部分は「配偶者控除、配偶者特別控除」の控除額が減らされたことにより増税となる部分、ピンク色の部分は「配偶者特別控除」の拡大により減税となる部分です。

妻のパート収入が120万円未満の場合、改正前より世帯手取りが減少しますが、120万円以上201.6万円未満の部分で改正前より世帯手取りが増加します。

パート収入と世帯手取りの変化

グラフの形状はどちらも妻の収入の増加に伴って世帯手取りも増加する一方です。いわゆる「パートの壁」と言われる逆転現象は生じません

妻のパートの加入要件が106万円の場合やパート先で社会保険に加入できない場合も同様に「パートの壁」は発生しません。

Kパターン


夫は自営業者等事業所得者で所得は950万円超1,000万円以下、妻はパートで収入を得るというケースがKパターンです。

下のグラフは夫の所得を980万円、妻は収入が130万円になるとパート先の社会保険に加入するとし、妻のパート収入と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



税制改正の影響

水色の部分は「配偶者控除、配偶者特別控除」の控除額が減らされることにより増税となる部分、ピンク色の部分は「配偶者特別控除」の拡大により減税となるパート収入の金額です。

妻のパート収入が130万円未満の場合、改正前より世帯手取りが減少しますが、130万円以上201.6万円未満の部分で改正前より世帯手取りが増加します。

パート収入と世帯手取りの変化

グラフの形状はどちらも妻の収入の増加に伴って世帯手取りも増加する一方です。いわゆる「パートの壁」と言われる逆転現象は生じません

妻のパートの加入要件が106万円の場合やパート先で社会保険に加入できない場合も同様に「パートの壁」は発生しません。

Lパターン


夫は自営業者等事業所得者で所得1,000万円超、妻はパートで収入を得るというケースがLパターンです。

下のグラフは夫の所得を1030万円、妻は収入が130万円になるとパート先の社会保険に加入するとし、妻のパート収入と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



税制改正の影響

水色の部分は「配偶者控除」が適用されなくなるため増税となる部分です。妻のパート収入が103万円以下の場合、改正前より世帯手取りが減少します。

パート収入と世帯手取りの変化

グラフの形状はどちらも妻の収入の増加に伴って世帯手取りも増加する一方です。いわゆる「パートの壁」と言われる逆転現象は生じません

妻のパートの加入要件が106万円の場合やパート先で社会保険に加入できない場合も同様に「パートの壁」は発生しません。


パートの壁と働き方



さて、どのタイプになったでしょうか?

「税制改正のおかげで手取がアップしそう」、「このままだったら去年より手取りが減ってしまう」、「思ったほど影響ないわ」などなどそれぞれご感想を持たれたかと思います。

中には「103万円の壁が150万円に!」、「配偶者控除が150万円に拡大」といったキャッチに惑わされて、「150万円まで働いても扶養から外れない、手取りが減らない」と誤解していた方もいらっしゃいました

手取の多寡だけで働き方を考えるべきではありませんが、制度について正しい知識を持って、悔いのない選択をしていただきたいと思います。

「今は家族との時間を優先したいからやっぱり扶養内で働こう。」

「週5時間多く働けば社会保険に入っても手取りが回復できる。だったら1日多く働こう。」

「社会保険に加入すると手取りは減ってしまうけど、数万円のこと。将来に備えて就業調整はやめておこう。」

というようにパターン別の手取変化を参考にしていただきながら、今後のライフプラン、キャリアプランを描いて、あなたらしい働き方を選択していただければと思います。(執筆者:小谷 晴美)