103万円の壁

【読者の質問に回答】扶養の範囲内でいくらまで働けるんですか?

最近立て続けに質問を受けたので、この話を共有したいと思います。

「いくらまで働いていいんですか?
〇〇の壁っていろいろあるみたいですがわかりません。
わかりやすい言葉で教えてください。」

聞きなれない言葉が多いです。

被保険者とか、被扶養者とか、直系尊属とか…

この質問は下記の家族構成の方からの質問、ということで進めていくことでリアルな感じになればいいと思います。


奥さまからの質問

最近子供も大きくなってきたので、プラスで収入を増やしていきたいのですが、扶養から外れるとか○○の壁とかあるみたいでネットで検索していました。

「で、結局どうなの?」とわからなくなってしまいました。教えてください。

ご主人 : 42歳、会社員(年収500万円)
奥さま  : 40歳、パート主婦(年間収入100万円前後)
お子様 : 10歳と8歳のお二人
(おそらくお子様はここにあまり登場しないかもしれません)

こんな設定で進めていきます。




質問の内容

扶養の範囲内でいくらまで働いていいんですか?

という質問です。

最近「〇〇円の壁」ということばをかなり頻繁にテレビ等でもやっているのですが、いろいろあって困ります。

103万円の壁
106万円の壁
130万円の壁

こんな方は多いと思いますが、ここでは、いくらまで扶養の範囲で働けて、どういうメリットがあるのかをお伝えしたいと思います。


社会保険の扶養の範囲は130万円未満

扶養の範囲というのですが、扶養って言っても「所得税に関すること」「社会保険(年金・健康保険)に関すること」とあるのですが、社会保険の扶養の条件がこうなっています。

順序立てて解説します。


扶養者の範囲は

1. 被保険者と同居している必要がない者・配偶者・子、孫および兄弟姉妹・父母、祖父母などの直系尊属

2. 被保険者と同居していることが必要な者・上記1.以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)・内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)(日本年金機構より)


日本年金機構からの抜粋ですが、こんなふうに決まっています。

聞いたことがないことばも出てきますので、一応解説します。(必要ない方は読み飛ばして下さい)

直系尊属とは、父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族のことです

また、養父母も含まれます。叔父・叔母、配偶者の父母・祖父母は含まれません。言葉の説明までもが難しいです。

簡単にすると、「お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんが直系尊属で、おじさんとかおばさん、奥さんのお父さん、お母さん、旦那さんのお父さん、お母さんは含まれないですよ」ということです。

ついでに、直系卑属とは、子・孫など自分より後の世代で、直通する系統の親族のことです。

また、養子も含まれます。兄弟・姉妹、甥・姪、子の配偶者は含まれません。

※被保険者…例えば奥さまのお立場でこのお話を聞いている場合、被保険者は会社にお勤めしている「ご主人」ということになります。被扶養者が奥さんとなります。


被扶養者の認定

被扶養者に該当する条件は、被保険者により主として生計を維持されていること、及び次のいずれにも該当した場合です。

(1) 収入要件


年間収入130万円未満(60歳以上又は障がい者の場合は、年間収入※180万円未満)かつ

同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満(*)
別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満

※年間収入とは、過去における収入のことではなく、被扶養者に該当する時点及び認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。(給与所得等の収入がある場合、月額10万8,333円以下。雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下であること。)

また、被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれますので、ご注意願います。

(*)収入が扶養者(被保険者)の収入の半分以上の場合であっても、扶養者(被保険者)の年間収入を上回らないときで、日本年金機構がその世帯の生計の状況を総合的に勘案して、扶養者(被保険者)がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認めるときは被扶養者となることがあります。

(2) 同一世帯の条件


配偶者、直系尊属、子、孫、兄弟姉妹以外の3親等内の親族は同一世帯でなければなりません

この場合は、同一世帯であって、収入が130万円未満、被保険者の方の収入の半分以下です。

しかし130万円をオーバーしてしまう場合は、ご主人の扶養から外れなくてはいけない。ということになってしまいます。

年収が106万円を超えた場合(厳密には超える見込みの場合)、勤務先の社会保険、つまり厚生年金・健康保険への加入義務が生じる、というものです。

厚生年金・健康保険は労使折半なので、企業側にも負担が生じるという内容です。

しかしながら、所得税や住民税のお話になると、ちょっと扶養の考え方が違います。

続いて税金面での扶養のお話をしていきたいと思います。


所得税の扶養控除



所得控除があります


実際には、「配偶者控除」とか「配偶者基礎控除」です。

所得税や住民税に関しては、範囲がある、と言うよりかは、所得控除が受けられるかどうか? そういう話になっていくわけです。

所得控除って何ですか? ということですが、ご主人の収入から決められた金額を控除して(引いて)税金を計算するわけです。

その分税金が安くなる、ということですね。

38万円の税金が安くなるのではなく、「税金計算のもととなる金額を38万円分引いて計算しますよ」という意味ですので、注意してくださいね。

会社員の方は「税金の計算」と言ってもわかりにくいかもしれませんが、毎月給料から税金がいつの間にか引かれていますからね。

それはあらかじめ引いているもので、多く引きすぎてしまっている場合もあります。

その場合は、「年末調整」といって大体12月とか年末に調整をかけるわけです。

税金を控除しすぎた場合は返し、足りなかった場合はプラスで徴収するということですね。

話がそれましたが、その「配偶者控除」、「配偶者基礎控除」のお話と、平成30年からちょっと変わるので、それらもお話していきます。


配偶者控除って?

控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。

(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。

(2) 納税者と生計を一にしていること。

(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。

(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

※ 平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。(国税庁HPより抜粋)


103万円って随分半端だな。と私はこれを初めて聞いた時思いましたが、給与収入と所得金額の違いがわかりにくいという方が多いので、少しだけ解説します。


収入と所得の違い



給与収入は、税引前年収、所得とは必要経費や給与所得控除を引いたあとの金額のこと。です。

給与所得控除って何? という話ですが、ご存じの方も多いと思います。

給与収入に対して一定金額を引く仕組み、と覚えておけばよいのですが、収入によって違います。



≪画像元:国税庁HP(クリックして拡大)≫


給与収入103万円、合計所得金額38万円以下の場合は、配偶者控除を受けられる、と言うのはどういうことかというと、上記の表を見ながらご覧ください。

103万円 ― 65万円 = 38万円

ということです。

国税庁のHPに簡単に収入から所得金額を出す計算表があるので、よかったらご覧ください。

所得金額が38万円を超えちゃったらもうだめなのか…

そう思っている方も多いですし、これで人を雇う立場の方も年末ご苦労することが多いです。

社長、103万円超えそうなので、シフト調節してもらえませんか?」って言うあれです。

しかしそれは、早合点です。

御存知の通り「配偶者特別控除」という物があるからです。

そのお話をしていきたいと思います。


配偶者特別控除って?

配偶者特別控除の概要

配偶者に38万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。

なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません

配偶者特別控除を受けるための要件

(1) 控除を受ける人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。

(2) 配偶者が、次の五つの要件すべてに当てはまること。

イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。

ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること。

ハ その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

ニ 他の人の扶養親族となっていないこと。

ホ 年間の合計所得金額が38万円超76万円未満(注)であること。

(注)平成30年分以後は、配偶者の年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であることが要件になります。(国税庁HPより)


ま、こういうことです。と言うのは乱暴です。

収入と所得でわかりにくいのですが、国税庁HPを参考にまとめてみました。

現行の場合、どれだけの収入まで、と配偶者特別控除を受けられるのか? が、わかります。



≪クリックして拡大≫


実際には149万9,999円まで配偶者特別控除を受けることが出来ます。

それと、104万9,999円までは38万円ですから、実際には103万円の壁じゃなくて105万円の壁だったのかもしれません。


平成30年からどうなるの?

平成30年から、上の国税庁HPからの抜粋の中にも書いてありましたが、平成30年分以後は、配偶者の年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であることが要件になります。

と書いてありました。

この概要は下記のようになります。



≪クリックして拡大≫


ご主人の給料が年収900万円以下の場合ですと、201万4,286円まで配偶者特別控除を受けることができ、38万円の控除を受けることができる金額も150万円になります。

国からすると、

パートの主婦はなるべく社会保険に加入させて社会保険に加入させ、配偶者特別控除の枠を広げて税金を軽減させよう

というかたちです。


パート先等で社会保険に加入するとどうなる?

実は収入によって変わるわけです。

全国健康保険協会(協会けんぽ)ですと、こんな風になります。

お住いの都道府県や一部職種によっても違います。

(1) 協会けんぽのHPを開く


→ 全国健康保険協会のHPはこちら

(2) 該当の期間を選択




≪クリックして拡大≫


(3) 都道府県を選択



(4) こういうPDFが表示されます




上の表は見づらいので、拡大します。

↓ ↓ ↓



≪クリックして拡大≫


加入したての金額は会社に聞いたほうがいいですが、大体契約金額とか時間から確認できるでしょう。

例えば、月10万円くらい、だった場合、確認できます。

10万円ですと、等級5となりますね。

40歳を超えている方ですと介護保険2号被保険者に該当する場合となります。

健康保険料:5,644円
年金保険料:8,967円
合計:1万4,611円

年金は厚生年金のため、国民年金 + の上乗せですので、生涯受け取ることを考えるとこの支出を損得にいれて考えるのは妥当ではありませんが、月の収入が8万円で社会保険未加入だった人が収入10万円になった場合の試算です。

年間収入金額


100万円 → 120万円 + 20万円

社会保険料


0円 → 17万5,332円 + 17万5,332円

配偶者控除、配偶者特別控除の額


38万円 → 21万円(平成29年)
38万円 → 38万円(平成30年~)

所得税・住民税の変化


年間約3万円の増加

現状ですと、毎月の家計については、100万円を120万円にしても現状では行って来い…という感じですが、

長めで見るとそんなに損することではないと思います

さらに、来年以降は120万円収入があっても基礎控除が増えますので、結構良い環境かもしれませんね。

また、増やした収入の一部を将来の資産形成に当てたり、自分で収入を得るためなどのスキル習得にかけたり、いろんなお金の使いみちが出てきます。楽しみも増えると思いますよ。


考え方一つで選択が変わります



で、結局どうしたら得なんですか? 損なんですか? という話に行き着きます。

それはご家庭によって違うでしょうが、

世帯の収入を上げたい、でも手取りはどう変わるの?

となると思いますが、選択肢はこうなります。

A 105万円の年間収入で38万円の控除を受けながら、社会保険も扶養範囲内で暮らす

B 130万円の年間収入で社会保険に加入し、配偶者特別控除を受ける

C 年間収入をもっと増やす

で、結局のところ何が得で、何が損なんだ…

ここからという話に行き着くのですが何が得で何が損? と考える前に

1,000万円の手取り収入があって、500万円税金を払っている状態と

300万円の手取り収入があって、30万円の税金を払っている状態…

どっちがいいですか? というお話です。

これはちょっと極論ですが、今の時代はこういう考え方も大切だと思います

節約も大切ですが、それ以上に収入が増えることにはメリットもたくさんあります。

しかしながら、これは人それぞれのライフプランやライフスタイルによることは事実ですが、これからも安定した収入を得て、必要なことにお金をかけ、将来お金の不安がないように…。

そう考えていくと、いろんなアイデアが湧いてくるのではないでしょうか?

難しい言葉も多かったですが、ぜひ参考にしていただければと思います。(執筆者:阿久津 和宏)

「配偶者控除」に「基礎控除」…実際に始まるのはいつ? 確定申告にからむ税制改正の施行日

2017年度に引き続き2018年度においても、一般人にとても身近な所得税の税制改正が行われました。

たくさん稼ぐ人にとっては厳しい内容となりましたが、毎日の生活費に悩む低所得者にとっては助かる内容となっています。

ここで間違えてはいけないのが「改正された内容がいつから始まるのか」という点です。

今回は、法律が作られてから実行されるまでの流れと、最近の税制改正の開始ポイントについて整理します。




税法の基礎! 法律が作られて実行されるまでの流れとは

毎年12月税制改正が発表されると、すぐにTVや新聞、メディアで内容が報道されます。

これを受けて一般国民も税制改正された内容を意識するようになっています。

時期を正しく認識していればよいのですが、中には「改正された = 次の確定申告ですぐ使える」と誤解するひとも少なくありません。

ほぼすべての税法は、その年末に改正されても直近の年末調整や確定申告に反映されることはありません

なぜかというと次のステップで税法が作られていくからです。

(1) 各省庁や経済団体からの要望提出(8~9月)

(2) 与党税制調査会(以下、「党税調」)が各省庁や経済団体からの要望とりまとめ(10月)

(3) 党税調が小委員会、総会で議論(11月)

(4) 与党税制改正大綱発表 → 閣議決定(12月)

(5) 内閣が国会に提出 → 国会審議(1月)

(6) 改正法成立 → 公布(3月)

(7) 改正法施行(4月、ただし特段の定めがあるものを除く)

一気にニュースで報道される「税制改正大綱発表」とは、この(4)の段階のものをいいます。

まだ国会の審議や決議を経ていないので、この段階ではまだ法律ではありません

あくまでも「案」に過ぎないのです。

ただ、衆議院・参議院ともに与党が過半数に達しない限り、上回る税制改正大綱となった内容が否決される可能性はほとんどありません。

そのため、大綱発表の時点で法律として成立することが前提となっています。

なお、ここでいう「公布」とは、成立(改正を含む)した法律を一般に周知させることが目的で、国民が知ることができる状態におくことをいいます

国民である皆さんが法律の内容を知る余裕もなく実行されてしまうなら、民主主義に則っているとは言えません。

そして、「施行」こそ、法律が現実に発動し、我々の生活に反映されることをいいます。

皆さんが税制改正で「いつからなのか」を知りたいとき、意識を向けるべきは施行日なのです。


確定申告にからむ税制改正の施行日はいつ?

では、みなさんが最近気になっている税制改正とその施行日について整理してみましょう。

2017年度税制改正


内容

・ 給与所得1,000万円超の配偶者控除及び配偶者特別控除の撤廃
・ 配偶者控除「103万円の壁」が「150万円の壁」へ
・ 配偶者特別控除も給与収入150万円超から201万6,000円まで使えるように

施行日

2018年1月1日

反映される対象

・ 2018年1月1日以降の給与の源泉所得税
・ 2018年12月以降の年末調整
・ 2019年3月15日申告期限の所得税の確定申告

2018年度税制改正


内容

・ 850万円超の給与所得者の給与所得控除縮小
・ 公的年金等控除の一律10万円引き下げ
・ 年金収入1,000万円以上の公的年金等控除縮小
・ 基礎控除が38万円から48万円に引き上げ、所得2,400万円超については縮小(2,500万円超は適用ナシ)

施行日

※2018年1月22日開始の通常国会にて審議予定
2020年1月1日

反映される対象

・ 2020年1月1日以降の給与及び公的年金等の源泉所得税
・ 2020年12月以降の年末調整
・ 2021年3月15日申告期限の所得税の確定申告

つまり、主婦のパートやバイトで「どれくらい働いたらいいの?」を気にすべき時期は今月からすでに始まっていて、「会社勤めと副業のバランスをどうしようかな」について具体的に対策を立てるべき時期は再来年以降になります


さいごに



身近な日常生活に税制改正が絡むと誰でも不安や焦りをおぼえるものですが、ここでもっとも気にしたいのは「施行日」です。

施行日を意識しつつ、今後の対策を立てていただくのがもっとも冷静に対処できるのではないかな、と思います。(執筆者:鈴木 まゆ子)

年末調整で記載した扶養家族が「103万円の壁」を超えてしまった場合の対処法

年末調整で「扶養控除等申告書」にパート主婦(夫)の方やお子さんなどの扶養家族を記入しますが、年が明け扶養家族の方が所得計算した場合に扶養の範囲を超えているケースは問題です。

この場合は会社側が対応することができますし、万が一確定申告で所得税を納税する場合でも注意点があります。


1月31日までに行う再年末調整で対応できる


勤務先は、従業員の給与から天引きした所得税を納める義務を負います。

扶養家族の該当者が1人減る場合、勤務先は従業員からの申告に基づき、1月31日までに再年末調整を行って所得税の追加納付(及びその分の給与天引き)を行うことができます。

パートタイマーの給与であっても原則勤務先が役所に報告しているので、年末調整後に扶養を外す手続きを怠ると、勤務先に税務署から扶養に関する照会が行われ発覚する可能性はあります。

掛け持ちで2か所以上の給与があって「103万円の壁」を超えた場合は、確定申告を行うことになります。


扶養家族の所得確定が微妙な場合は確定申告


扶養を外れた原因が給与のみにある場合(「103万円の壁」を超えたなど)は、1月中の対処は可能でしょう。

しかしいわゆる「プチ起業」をした場合などは、必要経費計算など所得確定が必要ですから、そもそも扶養から外れているのか1月中に分からないということも起こりえます。

2月以降の対処になる場合や、勤務先が再年末調整に応じられない場合は、扶養対象者→本人の順に(あるいは同時に)確定申告するのが望ましいです。

例えば、下記のような夫婦の事例を考えます。

会社員の夫:年末調整における課税総所得金額400万円 (所得税率:20.42%)
パートの妻:合計所得金額90万円(給与収入130万円、雑所得25万円)
      給与所得からの源泉徴収税額13,700円

妻は基礎控除38万円以外の所得控除は無いとした場合、確定申告することにより12,800円(100円未満切り捨て)の所得税納税となります。

夫は38万円の配偶者控除が無くなりますので、38万円×20.42%=77,600円の所得税納税となります。

(国税庁の確定申告書等作成コーナーにおいて、配偶者(特別)控除の対象になるかは、給与/年金収入やその他の所得金額の入力により判定される。)



    ↓



念のために勤務先にも報告を




確定申告を行って本人が納税しておけば、勤務先が追加納税する義務は無くなりますが、社会保険の扶養にも入っていた場合や、扶養手当をもらっている場合は勤務先にも報告しておくと良いです。

扶養手当の支給にあたっては、税法上の扶養範囲内(いわゆる「103万円の壁」)を基準にしている企業は多いです。

確定申告して扶養を外したことを隠していると、勤務先に扶養手当を返還しなければならなくなることがあります

副業バレのルートと同様、給与天引き用の住民税額決定通知で(確定申告の結果による)扶養の状況はわかります。

もっとも平成28年10月、総務省が自治体に所得情報の秘匿措置をお願いしたため、勤務先に判明する可能性は低くなりましたが、全ての自治体が措置を講じているわけではありません。

住民税額決定通知が5月には勤務先に送られてきますので、確定申告が完了次第すぐ勤務先に報告したほうがいいです

また社会保険の扶養は、いわゆる「130万円の壁」超えで外れますが、住民税の課税証明書に記載される所得情報の他、事業所得・不動産所得や雑所得がある場合は、収入と経費がわかるもの(青色申告決算書・収支内訳書・確定申告書第1表・第2表など)も判断材料にされます。

住民税の所得情報はマイナンバーで紐づけられ、健康保険組合への届出にもマイナンバーを記入して提出しますので、マイナンバーによる所得照会で、扶養範囲外になっていることが健康保険組合にバレる可能性があります

「130万円の壁」の判定条件として、事業所得や雑所得が必要経費を差し引いた後で判定されるかは、健保組合毎に対応が異なります。

傾向としては差し引ける必要経費は限定的で、必要経費差し引き前の収入で判定されるものと考えてください。(執筆者:石谷 彰彦)

【パートの壁】減税になったのに実感がない方へ 税金の負担軽減に「iDeCo」の活用をおススメします(試算あり)

2018年以降は新聞や雑誌などで特集されているように、夫が38万円の配偶者(特別)控除を受けるための妻の年収制限が、「103万円以下」から「150万円以下」に拡大されます。

また2018年以降は夫の年収が「1,120万円超」だと、控除できる金額が減っていき、夫の年収が「1,220万円超」になる場合には、配偶者(特別)控除を受けられなくなるのです。

このような仕組みに変わるため、妻の年収が増えたとしても、夫の年収が1,220万円以下あれば、引き続き配偶者(特別)控除を受けられるので、実質的に減税になるというわけです。

しかし次のような理由により、減税になったという感覚を、あまり感じられない可能性があると思います。




年収が増えるほど負担が大きくなる税金と社会保険の保険料

例えば妻が年収を103万円以下に抑えた場合、給与所得者の必要経費である「給与所得控除」の65万円と、所得控除のひとつである「基礎控除」の38万円を控除すると、妻の課税所得は0円になります。

この0円に所得税の税率を乗じても、結果は変わりませんから、所得税の負担は発生しないのです。

また妻の年収が130万円未満であれば、社会保険の扶養に入れるので、保険料を負担する必要はありません

しかし妻の年収が103万円を超えると、給与所得控除と基礎控除を控除した後の金額が0円になりませんから、他の所得控除(例えば生命保険料控除)がない場合には、所得税の負担が発生する可能性があるのです。

また従業員数が501人以上の会社で働いている場合には、年収が106万円以上になると、社会保険に加入する必要があるので、保険料の負担が発生します

このように妻側の負担増があるため、たとえ夫側が減税になったとしても、世帯全体としては減税になったという感覚を、あまり感じられないと思うのです。


年収を150万円にすると4万円くらいの税金の負担が発生する

年収を150万円(月収が12万5,000円で、賞与はなし)にした場合の、1年あたりの雇用保険や社会保険の保険料、税金(所得税と住民税)を試算してみると、次のような金額になっております。

雇用保険(一般の事業に該当)


4,500円(375円 × 12月)

健康保険(40歳以上の介護保険対象者で、東京都の協会けんぽに加入)


8万7,396円(7,283円 × 12月)

厚生年金保険


13万8,348円(1万1,529円 × 12月)

所得税


(A) 年収(150万円)- 給与所得控除(65万円)= 給与所得(85万円)

(B) 給与所得(85万円)- 基礎控除(38万円)- 社会保険料控除(23万244円)= 課税所得(23万9,000円)

※社会保険料控除は雇用保険、健康保険、厚生年金保険の保険料の合計であり、また課税所得は1,000円未満の端数を、切り捨てにします(住民税の計算でも同じ)。

(C) 課税所得(23万9,000円)× 所得税の税率(5%)= 所得税(1万1,950円)

住民税(都道府県民税、市町村民税)


(A) 年収(150万円)- 給与所得控除(65万円)= 給与所得(85万円)

(B) 給与所得(85万円)- 基礎控除(33万円)- 社会保険料控除(23万244円)= 課税所得(28万9,000円)

(C) 課税所得(28万9,000円)× 住民税の税率(10%)-調整控除(2,500円)= 住民税の所得割(2万6,400円)

(D) 住民税の所得割(2万6,400円)+ 住民税の均等割(5,000円)=住民税(3万1,400円)

※調整控除は「所得税の基礎控除(38万円)- 住民税の基礎控除(33万円)× 5%」で算出し、また均等割は地域によって金額が変わる場合があります。

以上のようになりますが、所得税は1万1,950円、住民税は3万1,400円になるので、税金の負担としては合計で4万3,350円になります。


iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除として所得から控除する



このように年収を150万円まで増やすと、社会保険の保険料と税金の負担が大きくなるため、2018年以降に年収を増やす予定がある場合には、特に個人の努力で金額を変えられる税金の、負担軽減策を考えた方が良いと思うのです。

その候補のひとつとして挙げられるのは、個人型の確定拠出年金(以下では愛称に決まった「iDeCo」で記述)になります。

この制度に新たに加入して、月に5,000円(年間で6万円)の掛金を拠出した場合の、1年あたりの雇用保険や社会保険の保険料、税金(所得税と住民税)の金額を試算してみると、次のような金額になっております。

雇用保険、健康保険、厚生年金保険


それぞれの金額や合計額は、上記の試算と同じになります。

所得税


(A) 年収(150万円)-給与所得控除(65万円)= 給与所得(85万円)

(B) 給与所得(85万円)-基礎控除(38万円)- 社会保険料控除(23万244円)- 小規模企業共済等掛金控除(6万円)= 課税所得(17万9,000円)

iDeCoの掛金は所得控除のひとつである、小規模企業共済等掛金控除になるため、上記の試算よりも課税所得が減ります(住民税の計算でも同じ)。

(C) 課税所得(17万9,000円)× 所得税の税率(5%)=所得税(8,950円)

住民税(都道府県民税、市町村民税)


(A) 年収(150万円)- 給与所得控除(65万円)= 給与所得(85万円)

(B) 給与所得(85万円)- 基礎控除(33万円)- 社会保険料控除(23万244円)- 小規模企業共済等掛金控除(6万円)= 課税所得(22万9,000円)

(C) 課税所得(22万9,000円)× 住民税の税率(10%)-調整控除(2,500円)= 住民税の所得割(2万400円)

(D) 住民税の所得割(2万400円)+ 住民税の均等割(5,000円)= 住民税(2万5,400円)

以上のようになりますが、所得税は8,950円、住民税は2万5,400円になるので、税金の負担としては合計で3万4,350円になります。


iDeCoの掛金の引き上げは余裕のある範囲で実施する

このようにiDeCoに加入して、その掛金を拠出することにより、税金の負担が9,000円(4万3,350円 - 3万4,350円)減ったのです。

金額は決して大きくはありませんが、例えば6万円の預金をして、9,000円の利息が付いたと考えると、かなりお得ではないかと思います。

また多くの自治体では各家庭が負担する保育料を、住民税(市町村民税)の所得割を基準にして決めております

そのためiDeCoの掛金を拠出することにより、住民税(市町村民税)の所得割が低くなると、保育料が安くなる場合があるのです。

その他に授業料に充てるための就学支援金を支給する、「高等学校等就学支援金制度」の所得制限についても、住民税(市町村民税)の所得割を基準にしているため、節税効果だけではないのです。

なおiDeCoの掛金は月5,000円以上であれば、一定の上限に達するまで、1,000円単位で自由に設定できるので、上記の試算よりも拠出する掛金を引き上げすれば、さらに節税効果などを実感できます。

ただ拠出した掛金とその運用益は、原則として障害状態になったり、死亡したりしないかぎり、最低でも60歳にならないと、引き出せないルールになっているので、掛金の引き上げは余裕のある範囲で行う必要があるのです。


2018年が開始すると同時に税金の負担軽減策を実施する



所得税や住民税は暦年(1月1日から12月31日)を単位にして、課税される仕組みになっております。

またiDeCoの申し込みを開始してから、実際に掛金の引き落としが始まるまでに、2か月程度の期間がかかります。

そうなると2017年11月頃に申し込みを開始すると、新しい暦年が始まって間もなくに、税金の負担軽減策を実施できるので、これからiDeCoを始める場合には、ちょうど良いタイミングではないかと思うのです。(執筆者:木村 公司)

配偶者控除等の見直しで「働く妻の壁」はなくなったか? 年末調整で提出する申告書の様式変更と合わせて考えてみる

今年も年末調整の時期



今年もサラリーマン・会社員の年末調整に関する書類が配布される時期がやってきた。

便宜上、勤務先からは「扶養控除等申告書」と「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」の2つが同時に配布されるが、扶養控除等申告書は平成30年分のもので保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書は平成29年分のものになる。

「毎年同じ様な書類に、例年通りに記入して人事部(給与担当課)へ提出すれば済むことだから…」と安易に考えている人は多いと思われる。

しかし、実は平成30年分以降は「配偶者控除・配偶者特別控除の見直し」が実施されることにともない、年末調整書類の一つである「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の様式が変更されていることには注意が必要だ。

本稿では「平成30年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を参照しながら、様式の変更点と配偶者控除等の控除額がどの様に改正されたかをポイントを絞って説明したいと思う。


≪クリックで拡大≫



申告書の大きな変更点

申告書における大きな変更点は、区分Aの「源泉控除対象配偶者」という名称が新しくできたことだ。

平成29年分では「控除対象配偶者」と表記されていた。

源泉控除対象配偶者とは


源泉控除対象配偶者とは、平成30年中の本人(家計を支える世帯主)の合計所得の見込額が900万円以下(給与収入のみの場合、年収1,120万円以下)の者と生計を一にする配偶者のうち、平成30年中の所得の見込額が85万円以下(給与所得だけの場合、給与収入金額150万円以下)である配偶者をいう。

平成29年分までの控除対象配偶者は、本人と生計を一にする配偶者のうち、平成29年中の所得の見積額が38万円以下(給与所得だけの場合、給与収入金額103万円以下)の配偶者となっていた。

平成30年分から控除額38万円となる配偶者の範囲が拡大され、平成29年以前は対象とならなかった所得の見積額が38万円超85万円以下の配偶者も、この「区分A」欄に記入することになるので記入漏れがないようにしたい

「同一生計配偶者」という名称について


また今回の制度改正で、あらたに「同一生計配偶者」という名称ができた。

同一生計配偶者とは、納税者本人(所得制限なし)と生計を一にする配偶者のうち、所得の見込額が38万円以下(給与所得だけの場合、給与収入金額が103万円以下)の人となっている。

なお、少しややこしくなるのだが「控除対象配偶者」という名称は平成30年分以降も残る

これまでの「控除対象配偶者」の定義が変わる


しかし、平成29年以前とは定義が異なっており、同一生計配偶者のうち、世帯主本人の所得の見積額が1,000万円以下である者の配偶者となっている。

もちろん、控除対象配偶者が70歳以上であれば、老人控除対象配偶者として配偶者控除額に一定の上乗せがある

平成29年までと異なり平成30年分からは配偶者の所得の見込額が38万円以下であっても、納税者本人の合計所得金額1,000万円超(給与所得だけの場合、給与収入金額が1,120万円超)であれば配偶者控除の適用が受けらないので、扶養控除等申告書に記入できなくなった。この点も要注目だ。

配偶者の範囲を以下に図解したので、本人(世帯主)所得と配偶者所得の関係でどのような取り扱いになるのかあらためて確認をしてほしい。



≪画像元:国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」≫



控除対象の扶養親族について

控除対象の扶養親族についても触れておこう。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の区分Bの控除対象扶養親族には16歳以上の扶養親族が対象となる。

この年齢は年末時点の年齢なので、平成30年分の申告書については、平成15年1月1日以前に生まれた人が該当する

したがって、平成30年春から高校生になる子どもがいる場合は、必ず「区分B」欄に記入すること

控除額が3段階に区分される


既に説明した通り、平成30年からは本人の合計所得金額が1,000万円(給与収入のみの場合は1,220万円)を超える場合、配偶者控除の適用を受けることはできなくなる

ただ、配偶者控除の控除額は納税者本人の合計所得金額により、控除額が3段階(所得金額900万円以下・900万円超~950万円以下・950万円超~1,000万円以下)に区分される

対象配偶者の合計所得金額も拡大される


また、「配偶者特別控除」の対象となる配偶者の合計所得金額が、38万円超123万円以下(給与収入のみ場合、103万円超201万円)に拡大されることも平成30年からの大きな変更点だ。

配偶者控除と同様、納税者の合計所得金額に応じて控除額が3段階に区分される

尚、納税者の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、従来どおり配偶者特別控除の適用はない

世帯主本人と配偶者の収入(所得)に応じて、配偶者控除及び、配偶者特別控除の控除額がいくらになるかを表にまとめたので、自身の控除額がどれに当てはまるか確認してみよう。






税金の面からは存在しないこととなる「働く妻の壁」だが

平成30年から適用される今回の改正によって、配偶者の収入が一定以上になると世帯主の手取りが逆転してしまう現象(いわゆる「働く妻の壁」と表現される)は、少なくとも税金の面からは存在しないことになった。

しかしながら、いわゆる「130万円の壁」や「106万円の壁」といった「社会保険上の壁」はこれからも残ったままになる。

社会保険上の壁を超えてしまうと、妻(配偶者)は自分で社会保険(厚生年金保険・健康保険など)に加入する義務が発生し保険料を負担することになるため、年収が一定以上になるまで手取の逆転現象がおきてしまう。

また、妻(配偶者)に対して、夫の勤務先から支給される「配偶者手当等」がある場合は、妻の年収が増えることで手当が支給されなくなる可能性もある


最後に



今回の配偶者控除等に関する改正で、妻(配偶者)が働き方を調整する理由がなくなったとはまだいえない状況だ。

ただ、税負担という観点だけでみると、今回の改正は多くの世帯にとって妻(配偶者)の収入を増やすための追い風もしくはインセンティブになるかもしれない。

妻(配偶者)が働くことで、世帯全体の収入が増えれば、経済的な余裕が生まれて現役時代だけでなくリタイア後もライフプラン上の選択肢を増やすことができるだろう。

「働く妻の壁」を過度に意識することなく、その仕組みをしっかりと理解して自身のライフプランを考えた際、どのような「働き方の選択」がより良いのか、長期的な視点で判断していくことが大切だ。(執筆者:完山 芳男)

【読者の質問に回答】「〇〇万円の壁」がなくなっても、家族手当の壁が残ったままだと、世帯収入は結局増えないですよね?

【読者の質問】

配偶者控除が拡大で「パートの壁」の年収の目安は103万円から150万円へ 「4分の3基準」に注意ってどういう意味?

上記記事を拝見しました。いろいろと細かく説明があり、わかりやすかったのですが、いつもこういう話の中で ご主人の会社である家族手当の事が書かれていません。

103万円の壁や106万円の壁がなくなっても家族手当の壁が残ったままでは150万円以上の年収でもなければ家庭内の合計年収は増えないという説明も付け加えてほしいです。


私の回答

家族手当を支給することは、労働基準法などの法律に定められた義務ではないので、家族手当を支給していない会社や、配偶者を支給対象にしていない会社もあります

また家族手当の支給条件も会社が決められるので、配偶者の年収がいくらであっても、家族手当を支給している場合があります。

このような事情により、家族手当が受けられる年収の条件である「家族手当の壁」は、103万円の壁や106万円の壁ほどは意識されてはいないため、説明が抜けている場合が多いのかもしれません

また現状ではご指摘のように、年収が増えて家族手当が支給されなくなると、世帯年収が増えない場合がありますが、家族手当を支給する会社は減少傾向にあるため、将来的に家族手当の壁はなくなる可能性があります。

以上のようになりますが、この回答をさらに詳しく説明すると、次のようになっております。



常時10人以上の従業員が働いている場合には「就業規則」を作成する


労働条件に関する最低基準を定めた労働基準法を読むと、常時10人以上の従業員を使用する使用者は、「就業規則」を作成して、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないと記載されているのです。

この就業規則の中に記載すべき事項は、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」に分かれております。

前者の絶対的必要記載事項とは、就業規則に必ず記載しなければならない事項であり、例えば勤務時間、休憩、休日、休暇、賃金、退職などに関することが該当します。

その一方で後者の相対的必要記載事項とは、会社で制度の定めをする場合には、就業規則に必ず記載しなければならないけれども、会社で制度の定めをしない場合には、就業規則に記載する必要がないことです。

家族手当を支給することは法律に定められた義務ではない


家族手当は賃金の一部ですので、支給条件や金額などについて、就業規則に記載しなければなりません。

ただ労働基準法などの法律には、「家族手当を支給しなければならない」とは記載されていないのです。

つまり賃金の構成をどのようにするかは、会社が決められるので、例えば基本給だけを支給して、通勤手当、家族手当、住宅手当などの手当を支給しなくても良いのです。

しかし家族手当の支給条件や金額などを就業規則に記載した場合は、家族手当を支給するのが会社の義務ですので、記載された通りに支給しなければなりません。

家族手当のために就労時間を調整する方は意外に少ない


家族手当を支給するか否かだけでなく、その支給条件や金額なども会社が決めて良いのです

ですから例えば子供だけを家族手当の支給対象にして、配偶者を支給対象にしていない会社もあります。

また配偶者を支給対象にしている場合には、配偶者控除を受けられる年収の103万円や、社会保険の扶養に入れる年収の130万円を、家族手当を支給するか否かの基準にしている場合が多いようです。

しかしその一方で配偶者の年収がいくらであっても、家族手当を支給している会社もあります。

こういった事情があるため家族手当の壁は、103万円の壁や130万円の壁ほどは、意識されてはいないようです。

その根拠になるものとしては、厚生労働省が有配偶女性パートタイム労働者に対して、「就業調整」(年収を一定額以下に抑えるための就労時間の調整)を行った理由を聞いた調査があり、その結果は次のようになっております。



≪画像元:厚生労働省 配偶者手当の在り方の検討に関し考慮すべき事項(pdf)(クリックして拡大)≫


この調査結果を見ると、家族手当(表中には「配偶者手当」で記述)のために就業調整を行った方は20.6%であり、他の理由と比べるとかなり少ないとわかります。

家族手当を支給する会社は年を追うごとに少なくなっている


就業規則の記載内容を変更して、家族手当を縮小または廃止するのは、労働条件の不利益変更に当たるので、労働者の合意がない場合には実施できません。

しかし次のような事情から考えて、就業規則の記載内容の変更が「合理的」であり、かつ変更後の就業規則が労働者に周知される場合には、労働者の合意がなくても良いのです。

・ 労働者の受ける不利益の程度
・ 労働条件の変更の必要性と内容の相当性
・ 労働組合などとの交渉の状況
・ その他の就業規則の変更に関わる事情

実際のところ厚生労働省が作成した統計によると、次のように家族手当を支給する会社は、年を追うごとに少なくなっているのです。





2018年が始まる前に家族手当の支給条件などを確認しておく




2018年以降の配偶者控除の拡大により、年収150万円程度まで働くのが一般的になった場合には、家族手当の支給対象になる配偶者は大幅に減少します

そうなると家族手当の存在価値は薄くなるため、これを支給する会社は更に少なくなり、将来的にはなくなっていくのかもしれません

もちろん上記のように不利益変更は難しいので、家族手当を基本給に組み入れ、減給にならないような形で、家族手当の支給を止めるという選択肢もありえます。

ただすぐになくなるとは考えられないので、当面は読者の方がご指摘するように、家族手当が支給されなくなることによって、世帯年収が増えない場合があります。

ですから2018年が始まる前に、夫が勤務する会社の就業規則を見て、家族手当の支給対象に年収条件はあるのか、また年収条件がある場合はその金額について、確認しておいた方が良いと思うのです。(執筆者:木村 公司)

【パートの壁】来年から年収が150万円を超えると段階的に控除が減るしくみへ 改正の注意点を確認

来年から103万円の壁が変わる

専業主婦やパートで働く主婦がいる世帯の税金を減らす配偶者控除と配偶者特別控除」が来年から見直しされる。

この改正によって103万円の壁はどうなるのか?



配偶者控除は配偶者の年収が103万円以下の場合に適用され、世帯主の所得から38万円が控除される制度だ。

配偶者の年収が103万円を超えた段階で控除がなくなるのは、あまりにも影響が大きいので、控除額は段階的に減るしくみになっている。

この逓減部分は現行制度では「配偶者特別控除」だ。

来年からは配偶者の年収が150万円を超えてから段階的に減るしくみに変わる

つまり103万円の壁は来年から150万円の壁に変わるわけだ。(配偶者控除は従来どおり年収103万円までであり、あくまでも配偶者特別控除が拡大するという意味)
  
この境目が引き上げられることにより、約300万世帯で減税になると言われている


改正の注意点

1. 配偶者自身の所得税・住民税が課税される可能性が出てくる

  
年収が103万円を超えると、基礎控除(38万円)以外の所得控除(生命保険料控除など)がなければ、配偶者自身が所得税・住民税を支払わなければいけない可能性が出てくる。

2. 社会保険料を支払うことになるかどうか


税制面での配偶者の年収による制限とは別に、配偶者の社会保険料が発生するかどうかの境目である「106万円以上」と「130万円以上」の壁が存在する。※106万円は従業員501名以上の企業で働く労働者の場合

配偶者自身が社会保険料を支払うことに関しては、デメリットばかりではなく、老後に受給を受けることになる「老齢年金」の額をアップさせるメリット面もある

3. 企業が従業員向けに設けている手当の支給基準


配偶者手当や家族手当の支給基準は、配偶者控除の基準と同じ「配偶者の年収103万円以下」としている企業が多い。

企業が国と同じ基準である「150万円以下」に動くとは思えない

4. 来年から配偶者控除の世帯主の年収制限が設けられる


世帯主の年収が1,120万円以下であれば、来年以降も従来通り38万円の控除が受けられるが、世帯主年収が1,120万円を超えてくると、配偶者控除の額が逓減。

1,220万円を超えると、配偶者控除がなくなってしまう
のだ。
 
この年収制限により、約100万世帯で増税になると言われている




妻の就労に関してよく制度を理解する必要がある!

来年からはじまるこの改正により、減税の恩恵が受けられたり、世帯収入が増える家庭もあれば、増税になり世帯収入が減る家庭も出てくる。
  
来年以降の妻の就労に関して、家族で良く話し合っていただきたい。(執筆者:釜口 博)