配偶者

【配偶者控除の改正】プチ起業「扶養の壁」はどう動く? 世帯手取りが増減する「壁の位置」をチェックしよう。

「扶養の壁」プチ起業とパートの違い



家庭に軸足をおきながら、得意なことをいかして個人で仕事を始める女性が増えています。
「プチ起業」
「ママ起業」
と呼ばれるワークスタイルの女性にとっても、配偶者控除の改正は気になる話題の一つではないでしょうか。

今回は、妻が個人事業を営む世帯の、税制改正の影響と世帯手取額の変化についてご紹介します。

まず、プチ起業の扶養の壁について、パートとの違いを確認しておきましょう。


税制上の扶養の壁と配偶者控除等の改正

配偶者控除等の改正について「パートの壁が103万円から150万円に拡大」などと報じられていますが、妻が個人事業を営む場合、103万円も150万円も関係ありません

妻が個人事業者の場合、配偶者控除等の適用基準は、収入ではなく所得です

所得とは、売上から必要経費を引いた金額です。
 所得 = 売上 - 必要経費
*青色申告者の場合は青色申告特別控除も引くことができます。

配偶者控除等の改正により、平成30年から次のようになります。

1. 配偶者控除は縮小


妻の所得が38万円以下の場合、夫は配偶者控除(控除額38万円)を受けることができます

ただし、
・ 夫の所得が900万円(年収1、120万円)を超える場合は控除額が減額されます。

・ 夫の所得が1,000万円(年収1,220万円)を超える場合は配偶者控除が適用されません。

2. 配偶者特別控除は拡大


妻の所得が38万円を超えても、所得が1,000万円(年収1,220万円)以下の夫は配偶者特別控除を受けることができます

これまで配偶者特別控除が適用される妻の所得は76万円まででしたが、改正により123万円までと適用範囲が拡大されます。


社会保険上の扶養の壁と健康保険の扶養の認定基準



夫が会社員や公務員等で健康保険に加入している場合、扶養される配偶者は第3号被保険者として、保険料の負担なく社会保険に加入しています。

この扶養の認定基準が、パートの場合は「年収130万円未満」ですが、配偶者が個人事業者の場合は「何が130万円未満か」という基準が保険者によって異なります

中小企業の従業員が加入する協会けんぽの場合は所得基準。つまり売上から必要経費を差し引いた金額が130万円未満となります。

一方、健康保険組合の場合は独自に基準を定めており、おおむね次の3つに分けられます。
・ 所得が130万円未満

・ 売上が130万円未満

・ その他(所得が130万円未満だが経費項目に条件がつくもの、開業届が条件となるものなど)


わが家の世帯パターンチェック

妻が個人事業者の場合、配偶者控除等の改正の影響や世帯手取りの変化は
a) 世帯主の職業

b) 世帯主の所得

c) 世帯主の勤務先の健康保険の扶養認定基準
によって異なります。

そこで、世帯パターン別に、配偶者控除改正前後の「妻の事業所得と世帯手取りの変化」について、それぞれの特徴を紹介したいと思います。

まずは下記のチャートを使って、わが家はどのパターンに該当するかチェックしてみてください。


≪クリックして拡大≫


加入している健康保険の確認方法


加入している健康保険については、健康保険証の「保険者」の欄をご確認ください。

協会けんぽの場合は、このような水色の健康保険証に「保険者」として「全国健康保険協会〇〇支部」と記載されています。

健康保険組合の場合は、「保険者」の欄に「〇〇〇〇健康保険組合」などと記載されていると思います。



では、世帯パターン別に税制改正の影響と世帯手取りの変化をみていきましょう。


プチ起業の扶養の壁と世帯手取り額の変化

手取額計算の前提条件は下記の通りです。

1. 税金計算上の夫の控除は、基礎控除、社会保険料控除(妻の分も含む)、配偶者(特別)控除、生命保険料控除(満額)のみとします。

2. 税金計算上の妻の控除は、基礎控除のみとします。

3. 国民健康保険の保険料は東京都大田区を使用。

便宜上、世帯主を「夫」、扶養される配偶者を「妻」として話を進めていますが、逆のご家庭では「夫」と「妻」を読み換えてご確認ください。

Aパターン


夫は会社員等給与所得者で年収は1,120万円以下、夫の勤務先の健康保険の扶養の認定基準が「所得130万円未満」であるケースです。

下のグラフは夫の年収を500万円とし、妻の事業所得と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



改正の影響

ピンク色の部分は「配偶者控除特別控除」が拡大されることにより、減税となる部分です。

妻の事業所得が40万円超123万円未満である場合は、改正前より世帯手取りが増加します。

扶養の壁

改正前後ともに所得が130万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じます。

夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Bパターン


夫は会社員等給与所得者で年収は1,120万円以下、夫の勤務先の健康保険の扶養の認定基準が「所得」以外の基準であるケースです。

下のグラフはBパターンの一例として、健康保険の扶養の認定基準を「売上」とした場合で、
・ 夫の年収500万円
・ 妻の事業所得80万円
・ 売上130万円
と仮定した場合の世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



改正の影響

ピンク色の部分は「配偶者控除特別控除」が拡大されることにより、減税となる部分です。

妻の事業所得が40万円超123万円未満である場合は、改正前より世帯手取りが増加します。

扶養の壁

改正前後ともに所得が80万円、つまり売上が130万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じます。

ここでは所得80万円に社会保険の壁がありますが、社会保険料の認定基準、事業の利益率により社会保険の壁の位置は異なります。

夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Cパターン


夫は会社員など給与所得者で年収は1,120万円超1,170万円以下、夫の勤務先の健康保険の扶養の認定基準が「所得130万円未満」であるケースです。

下のグラフは夫の年収を1,150万円とし、妻の事業所得と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



改正の影響

水色の部分は「配偶者控除等」の控除額の減額により増税になる部分、ピンク色の部分は「配偶者控除特別控除」が拡大されることにより、減税となる部分です。

妻の事業所得が55万円以下である場合は改正前より世帯手取りが減少し、56万円から123万円である場合は、改正前より世帯手取りが増加します。

扶養の壁

改正前後ともに所得が130万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じます。

夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Dパターン


夫は会社員など給与所得者で年収は1,120万円超1,170万円以下、夫の勤務先の健康保険の扶養の認定基準が「所得」以外の基準であるケースがです。

下のグラフはDパターンの一例として、健康保険の扶養の認定基準を「売上」とした場合で、
・ 夫の年収500万円
・ 妻の事業所得が80万円
・ 売上130万円
になると仮定した場合の世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



改正の影響

水色の部分は「配偶者控除等」の控除額の減額により増税になる部分、ピンク色の部分は「配偶者控除特別控除」が拡大されることにより、減税となる部分です。

妻の事業所得が55万円以下である場合は改正前より世帯手取りが減少し、56万円から123万円である場合は、改正前より世帯手取りが増加します。

扶養の壁

改正前後ともに所得が80万円、つまり売上が130万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じます。

ここでは所得80万円に社会保険の壁がありますが、社会保険料の認定基準、事業の利益率により社会保険の壁の位置は異なります

夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Eパターン

夫は会社員など給与所得者で年収は1,170万円超1,220万円以下、夫の勤務先の健康保険の扶養の認定基準が「所得130万円未満」であるケースです。

下のグラフは夫の年収を1,200万円とし、妻の事業所得と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



改正の影響

水色の部分は「配偶者控除等」の控除額の減額により増税になる部分、ピンク色の部分は「配偶者控除特別控除」が拡大されることにより、減税となる部分です。

妻の事業所得が65万円以下である場合は改正前より世帯手取りが減少し、66万円から123万円である場合は、改正前より世帯手取りが増加します。

扶養の壁

改正前後のいずれも所得が130万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じます。

夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Fパターン


夫は会社員など給与所得者で年収は1,170万円超1,220万円以下、夫の勤務先の健康保険の扶養の認定基準が「所得」以外の基準であるケースです。

下のグラフはFパターンの一例として、健康保険の扶養の認定基準を「売上」とした場合で、
・ 夫の年収1,200万円
・ 妻の事業所得80万円
・ 売上130万円
になると仮定した場合の世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



改正の影響
水色の部分は「配偶者控除等」の控除額の減額により増税になる部分、ピンク色の部分は「配偶者控除特別控除」が拡大されることにより、減税となる部分です。

妻の事業所得が55万円以下である場合は改正前より世帯手取りが減少し、56万円から123万円である場合は、改正前より世帯手取りが増加します。

扶養の壁

改正前後ともに所得が80万円、つまり売上が130万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じます。

ここでは所得80万円に社会保険の壁がありますが、社会保険料の認定基準、事業の利益率により社会保険の壁の位置は異なります

夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。


Gパターン

夫は会社員など給与所得者で年収は1,220万円超、夫の勤務先の健康保険の扶養の認定基準が「所得130万円未満」であるケースがです。

下のグラフは夫の年収を1,250万円とし、妻の事業所得と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



改正の影響

水色の部分は「配偶者控除」が受けられなくなるため増税となる部分です。

妻の事業所得が38万円以下である場合は改正前より世帯手取りが減少します。妻の所得が38万円を超える場合は改正による影響はありません

扶養の壁

改正前後ともに所得が130万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じます。

夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Hパターン


夫は会社員など給与所得者で年収は1,220万円超、夫の勤務先の健康保険の扶養の認定基準が「所得」以外の基準であるケースです。

下のグラフはHパターンの一例として、健康保険の扶養の認定基準を「売上」とした場合で、
・ 夫の年収1,250万円
・ 妻の事業所得80万円
・ 売上が130万円
になると仮定した場合の世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



改正の影響

水色の部分は「配偶者控除」が受けられなくなるため増税となる部分です。

妻の事業所得が38万円以下である場合は改正前より世帯手取りが減少します。妻の所得が38万円を超える場合は改正による影響はありません

扶養の壁

改正前後ともに所得が80万円、つまり売上が130万円になると妻の社会保険料負担が発生するため、世帯手取りは減少に転じます。

ここでは所得80万円に社会保険の壁がありますが、社会保険料の認定基準、事業の利益率により社会保険の壁の位置は異なります

夫の勤め先に「配偶者手当」がある場合は、その支給要件や支給額も考慮して手取額の変化を確認する必要があります。

Iパターン


夫も妻も個人事業者で、夫の所得が900万円以下のケースです。

下のグラフは夫の所得を500万円とし、妻の事業所得と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



改正の影響

ピンク色の部分は「配偶者控除特別控除」が拡大されることにより、減税となる部分です。

妻の事業所得が40万円超123万円未満である場合は、改正前より世帯手取りが増加します。

扶養の壁

グラフの形状から分かるように、扶養の壁は存在しません

夫が個人事業者の場合、妻に所得がなくても国民年金保険料を納めています。

また国民健康保険料は世帯の所得に応じて計算されるため、妻の所得が増えることにより世帯手取りが減少するような逆転現象は生じません

Jパターン


夫も妻も個人事業者で、夫の所得が900万円超950万円以下のケースです。

下のグラフは夫の所得を930万円とし、妻の事業所得と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



改正の影響

水色の部分は「配偶者控除等」の控除額の減額により増税になる部分、ピンク色の部分は「配偶者控除特別控除」が拡大されることにより、減税となる部分です。

妻の事業所得が55万円以下である場合は改正前より世帯手取りが減少し、56万円から123万円である場合は、改正前より世帯手取りが増加します。

扶養の壁

グラフの形状から分かるように、扶養の壁は存在しません

夫が個人事業者の場合、妻に所得がなくても国民年金保険料を納めています。

また国民健康保険料は世帯の所得に応じて計算されるため、妻の所得が増えることにより世帯手取りが減少するような逆転現象は生じません

Kパターン


夫も妻も個人事業者で、夫の所得が950万円超1,000万円以下のケースです。

下のグラフは夫の所得を980万円とし、妻の事業所得と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。



改正の影響

水色の部分は「配偶者控除等」の控除額の減額により増税になる部分、ピンク色の部分は「配偶者控除特別控除」が拡大されることにより、減税となる部分です。

妻の事業所得が65万円以下である場合は改正前より世帯手取りが減少し、66万円から123万円である場合は、改正前より世帯手取りが増加します。

扶養の壁

グラフの形状から分かるように、扶養の壁は存在しません

夫が個人事業者の場合、妻に所得がなくても国民年金保険料を納めています。

また国民健康保険料は世帯の所得に応じて計算されるため、妻の所得が増えることにより世帯手取りが減少するような逆転現象は生じません

Lパターン


夫も妻も個人事業者で、夫の所得が1,000万円超のケースがです。

下のグラフは夫の所得を1,030万円とし、妻の事業所得と世帯手取りの変化を平成29年と平成30年で比較したものです。


改正の影響

水色の部分は「配偶者控除」が受けられなくなるため増税となる部分です。

妻の事業所得が38万円以下である場合は改正前より世帯手取りが減少します。妻の所得が38万円を超える場合は改正による影響はありません

扶養の壁

グラフの形状から分かるように、扶養の壁は存在しません

夫が個人事業者の場合、妻に所得がなくても国民年金保険料を納めています。

また国民健康保険料は世帯の所得に応じて計算されるため、妻の所得が増えることにより世帯手取りが減少するような逆転現象は生じません


しなやかな働き方、暮らし方のために

「今の働き方だと来年は手取が減りそう。」

「利益が130万円になるまでは手取が減ることはないのね。」
など参考にしていただけたら幸いです。

「社会保険料は妻への投資」




プチ起業、ママ起業という働き方を選択している方から、夫から
「仕事をするのはいいけれど、扶養から外れないように!」
と釘をさされているというお話をお聞きすることがあります。

多くの場合、社会保険の扶養から外れることを懸念されてのようですが、「社会保険料は妻への投資」と考えてみてはいかがでしょうか?

子育てや家事の合間を活用して、得意な事で社会とつながると、自分自身の成長の喜びも感じることができます。

小さな事業をコツコツ育むことで、子どもの手が離れた頃、あるいは夫が定年になる頃には大きく成長しているかもしれません。

ブレーキをかけるか、アクセルをふむか




年間30万円~40万円にも及ぶ社会保険料の負担は確かに少額ではありませんが、健康保険の扶養から外れてしまう程に利益が出て来たら、仕事をセーブするよりのびのびと活躍される方がいいかもしれません。

事業収入が増えるということは、それだけ誰かを幸せにして、価値を生み出している事に他なりません。そんな素晴らしい活動にブレーキをかけるのはもったいないとも思います。
「今年は子どもが受験だから」
「しばらく親の手伝いをしたいから」
とその時々に大切にしたい事を優先するために、ブレーキをかけるのは良しとして、社会保険料の負担が理由であれば、ブレーキではなくアクセルを踏むことで将来十分に戻ってくる可能性があります

まずは税制や社会保険についてのモヤモヤを解消して、不安なく、自分らしくしなやかな働き方、暮らし方を選択していただけたらと思います。(執筆者:小谷 晴美)

【読者(65歳)の質問に回答】妻(30歳)が外国人で海外在住であっても、加給年金を受給できますか?

読者の質問

65歳男性
昨年結婚
厚生年金38年間

妻 
30歳 外国人
年金の支払いはなし

子供なし

現在無収入

外国在住


今年で65歳になり加給年金の申請をしようと思っていますが、妻は30歳の外国人で昨年結婚しました。

私は大学卒業後、厚生年金を38年間かけていて妻も日本で年金はかけていません。

現在無収入で条件に該当すると思うのですが、妻が外国籍で外国在住(私と同居)でもだいじょうぶでしょうか。


私の回答

加給年金の加算対象となる配偶者は、日本人に限定されませんので、妻が外国人であっても加算要件を満たしていれば、加給年金を受給できると考えられます。

ただ年金事務所に提出する書類に添付するものが、配偶者が日本人の場合とは違ってくるので、それを準備するための手間や時間がかかるかもしれません。


くわしく解説



家族手当となる加給年金は、配偶者と子に対して加算される


結婚して配偶者や子がいる方については、基本給に上乗せして、会社から家族手当が支給される場合があります。

加給年金とは老齢厚生年金(基本給)に上乗せされる、家族手当のようなものであり、その加算要件は次のようになっております。
「厚生年金保険の加入期間が原則として20年以上ある方が、65歳に到達した時点、または定額部分の支給開始年齢に到達した時点で、その者によって生計を維持されている配偶者や子がいること」
また配偶者に対して加算される加給年金は、年額で22万4,300円(2017年度額)です。

これに加えて老齢厚生年金を受給している方の生年月日(配偶者の生年月日ではない)に応じて、3万3,100円~16万5,500円(2017年度額)が特別加算されるので、両者を併せた合計額は次のようになります。


≪画像元:日本年金機構 加給年金額と振替加算


なお子に対して加算される加給年金は、1人目と2人目は1人につき、年額で22万4,300円(2017年度額)となり、3人目以降は1人につき、年額で7万4,800円(2017年度額)です。

年齢や年収などにより、加給年金の加算対象になるかが決まる


上記の加算要件の中で、今回の読者の質問に関連している、わかりにくい点を説明すると、次のようになっております。

1. 定額部分の支給開始年齢

男性は1961年4月1日以前に生まれた方、また女性は1966年4月1日以前に生まれた方であれば、60歳から65歳になるまでの間に、特別支給の老齢厚生年金を受給できるのです。

・ 特別支給の老齢厚生年金は、65歳になると老齢基礎年金に変わる「定額部分」と、65歳になると老齢厚生年金に変わる、「報酬比例部分」に分かれます。

・ 定額部分が先に65歳まで引き上げされ、それが終わった後に報酬比例部分が、65歳まで引き上げされます。

例えば男性は定額部分の引き上げはすでに終了し、報酬比例部分が引き上げされている最中のため、
「定額部分の支給開始年齢に到達した時点=65歳に到達した時点」
になるので、原則的に65歳にならないと加給年金は加算されません

生計を維持されている配偶者や子

加給年金の加算対象となる配偶者とは、65歳未満の方になり、婚姻期間の長短は問いません。

また加給年金の加算対象となる子とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある方、または障害等級1級または2級の障害の状態にある、20歳未満の方です。

こういった方の年収が850万円(所得では655.5万円)未満で、生計を同一にしている場合には、「生計を維持されている配偶者や子」に該当するのです。

ただ加算対象となる配偶者の厚生年金保険の加入期間が、原則として20年以上あり、かつ老齢厚生年金を受給できる時などについては、加給年金は支給停止です。


配偶者が日本人の場合とは、添付するものが変わってくる


質問の中に記載されている読者のプロフィールを見てみると、これまでに紹介した加算要件を満たしているので、妻が外国籍で外国在住であっても、加給年金を受給できると考えます。

ただこの読者のように、報酬比例部分の支給開始から65歳になるまでの間に結婚した場合、日本年金機構は加算対象になる配偶者がいる事実を把握しておりません

そのため「老齢厚生年金・退職共済年金加給年金額加算開始事由該当届」という書類を年金事務所に提出して、加算対象になる配偶者がいることを、日本年金機構に報告するのです。

これを提出する際は結婚したことや、配偶者や子が生計を維持されていることなどを証明するため、次のような書類を添付します。

・ 老齢厚生年金の受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本

・ 世帯全員の住民票の写し

・ 加給年金の加算対象者の所得証明書か非課税証明書

今回のように妻が外国籍で外国在住の場合、国によってはこれと同じものを、用意できない可能性があります

そのため年金事務所に問い合わせをして、代わりに何を添付すれば良いのかを、確認する必要があるのです。



受給権を取得した当時に胎児だった子は、加給年金の加算対象になる


今回の読者の奥様はまだ若いので、将来的には夫婦の間に子が生まれるかもしれませんが、その子は加給年金の加算対象にはなりません

その理由として加給年金の加算対象になるのは、老齢厚生年金の受給権を取得した当時、つまり65歳に達した日に、生計を維持されている配偶者や子になるからです。

ただ老齢厚生年金の受給権を取得した当時に、胎児であった子が生まれた場合には、その受給権を取得した当時に、生計を維持されていた子とみなします。

そのため子が生まれた翌月から加給年金の金額が改定され、二人分を受給できるので、再び手続きが必要です。

妻が65歳になると加給年金は、振替加算に切り替わる


加給年金の加算対象になっている妻が65歳になると、それまで夫に支給されていた加給年金は打ち切られます

しかしその加給年金は振替加算に切り替わり、妻が受給する老齢基礎年金に上乗せされます。

ただ妻の生年月日が1966年4月2日以降だと、加給年金は振替加算に切り替わらないため、加給年金の打ち切りと同時に、いずれも支給されなくなるのです。

今回の読者の奥様は年齢から考えて、このケースに該当すると考えられるので、振替加算の話については、特に覚えておく必要はないと思います。(執筆者:木村 公司)

配偶者の「年金支給漏れ」はどうして起きたのか。「振替加算」、「加給年金」とは? 

配偶者の加算年金、「振替加算」支給漏れ!



9月13日に厚生労働省より公表され、世間を騒がせているのが配偶者の年金支給漏れです。

「振替加算」の支給漏れのことですが、日本年金機構では11月上旬から、把握できる対象者(約10万6,000人とのこと)に郵便で伝え、11月15日に未払い額を支払う予定(9月13日朝日新聞より)とのことです。

どうしてこんなことが起きてしまったのか…。

支給漏れのうち96%が夫婦のうちどちらかが元公務員で共済組合に加入していたため、情報の共有ができていなかったことが大きいとのこと

平成27年10月以降厚生年金と共済組合が一元化され、共済組合の情報の1部が年金機構で確認できるようになってから発覚したという事情があるようです。


「振替加算」とは?

振替加算」とは加入期間が短い専業主婦等の年金が低くならないような配慮の元に導入された制度です。

昭和61年4月から日本国民が全員年金制度に加入し、老齢基礎年金を受け取る「国民皆年金」の制度になったのですが、昭和61年4月前の会社員の配偶者(専業主婦・夫など)の年金は「入っても入らなくてもいい」という扱いだったため、国民年金に入っている専業主婦等が少なかったのです。

まずは、どんな要件を満たしていれば振替加算をもらえるのか確認してみましょう。

振替加算の対象者は年金をもらう方(一般的には妻、夫も可)が次の4点を全て満たした方です。

1. 本人・配偶者ともに大正15年4月2日から昭和41年4月1日以前生まれである。
2. 配偶者(一般的に夫)が会社員・公務員(厚生年金・共済年金加入)で原則20年以上勤務している。
3. 本人(一般的に妻)は原則20年未満の会社員・公務員勤務である。
4. 本人(一般的に妻)の年収850万円未満である。

ただし例外もあります。

2.配偶者が20年以上勤務の会社員・公務員(厚生年金・共済年金加入)


2の例外

配偶者の夫が40歳以上(妻は35歳以上)で会社員・公務員をしていた場合15年から19年の勤続でも妻(夫も可)は振替加算の対象者になることがあります。

3.本人が20年未満勤務の会社員・公務員


3の例外

妻が35歳以上(夫が40歳以上)で会社員・公務員をしていた場合15年から19年の勤続でも妻(夫でもあり)は振替加算がもらえないこともあります。



昭和26年4月1日以前生まれの人は、40歳(女性は35歳)以降15年から19年勤めると20年とみなされます

「振替加算」は上記4つの条件を満たした受給者本人の誕生日によって支給額が異なります。

「国民皆年金」になった昭和61年4月時点の年齢が高いほど60歳までの期間が短く、年金額が少なくなる分「年金額を補完」するのが「振替加算」です。

年齢が高いほど「振替加算額」は多くなります。(参考元:日本年金機構HP )


振替加算は年配の方ほど多い。


若くなるほど振替加算は少なくなっていく。


若い人の振替加算額は少額です。

振替加算額は若い方ほど少なく、現在(平成29年10月)50歳から56歳までの会社員妻(夫も可)で年1万5,028円、振替加算額が多いのが現在90歳から91歳の年額22万4,300円です。

昭和41年4月2日以降生まれの方には振替加算は支給されません

「国民皆年金」になった昭和61年4月時点で20歳未満なので、60歳までの期間が40年あり、満額の老齢基礎年金(平成29年 77万9,300円)です。


「振替加算」とセットなの? 「加給年金」って何?



日本年金機構HP、報道、書籍などで「振替加算」と一緒に「加給年金」という言葉が出てくると思います。

「加給年金」とは被扶養配偶者や高校生以下の子供がいる方に支給される、加算年金で「年金版家族手当」とも言えます。

「配偶者の加給年金」が支給される対象者は以下の4つを全て満たした方(一般的に夫、妻も可)です。

1. 会社員・公務員(厚生年金・共済年金加入)で原則20年以上(年齢により15年から19年)勤務している(一般的に夫)。
2. 配偶者(一般的に妻)の生まれ月が1か月でも後である。
3. 配偶者(一般的に妻)は原則20年未満の会社員・公務員勤務である。
4. 配偶者(一般的に妻)の年収850万円未満である。

配偶者の加給年金額は、年金受給者本人(一般的に夫)の誕生日により異なります

年金受給者が若いほど、配偶者の加給年金額は多くなります(振替加算と逆ですね)。

若い方の方が年金をもらえる年齢が遅いので配偶者加給は多くなっています。


若い方ほど配偶者加給は多くなっています。

ちなみに18歳年度末(障害1、2級だと20歳年度末)までの子供の加給年金は、1人目と2人目は年額22万4,300円、3人目は年額7万4,300(平成29年度価格)です。


「振替加算」と「加給年金(配偶者加給)」の関係は?

妻(夫も可)が「振替加算」を受けられる条件の中に、「夫(妻も可)が会社員・公務員(厚生年金・共済年金に加入)を原則20年以上勤務」があります。

年下の妻(夫も可)に配偶者加給(平成29年度 年額25万7,400円から38万9,300円)が支給されます。

妻(夫も可)が65歳になり、妻(夫)自身も老齢年金の支給を受けるようになると、夫(妻も可)の年金から配偶者加給約38万円が減らされ、年1万5,028円から年22万4,300円(平成29年度)までの金額の「振替加算額」が妻(夫も可)の年金に上乗せされて支給されます


≪画像元:日本年金機構


妻が年下の場合、妻が65歳時、夫の加給年金がなくなり、妻に振替加算。

*大黒柱(一般的に夫)に配偶者加給年金が付く年齢は、男性は昭和24年4月2日以降生まれ、女性は昭和29年4月2日以降生まれのケース。大黒柱がそれ以前生まれの場合、生年月日に応じて60歳から64歳に配偶者加給年金が付きます

夫(妻も可)が配偶者加給をもらい、その後、妻(夫も可)が65歳になると夫の配偶者加給が無くなり妻(夫も可)の振替加算になるのですが、これは妻(夫も可)が年下の場合です。

妻(夫も可)が年上で先に65歳になり年金を受けていたり、夫(妻も可)と同じく20年(誕生日により15年から19年)以上勤めていると、原則夫(妻も可)に配偶者加給はつきません。

夫(妻も可)が65歳になったときに、妻(夫も可)には振替加算がつきます。



妻が年上だと、妻が先に65歳からの年金をもらうため、夫に配偶者加給はつかない。夫65歳時に妻に振替加算。


こんな方は「振替加算」を要確認!



上記の説明のように「振替加算」が加算される条件は複雑です。

配偶者(妻でも夫でも)の職業や勤続年数、本人の職業や勤続年数や誕生日、夫婦の年齢差によっても「振替加算」が付く時期や条件、金額が異なります。

妻が65歳になったらコンピュータで自動的に妻の年金に一定額を加算される仕組みにするわけには行かず、漏れが生じてしまった実態があるのでしょう。

では、どんな方の「振替加算」が漏れやすいか、確認してみましょう

漏れやすいのは特に以下の2点と思われます。(夫婦ともに大正15年4月2日以降生まれが条件です。)

1. 大黒柱(一般的に夫)が公務員10年、会社員10年等転職している


会社員・公務員期間を合計すれば20年以上なのに、共済と年金機構の情報が共有しきれず「会社員10年」として被扶養配偶者(一般的に妻)が配偶者加給年金も振替加算も対象になっていないかもしれません。

夫が加給年金対象者になれば、妻も65歳で振替加算の対象者になれるのです。

2. 被扶養配偶者(一般的に妻)が年上


妻が年上だと、夫が65歳の時に妻の振替加算が支給されるのですが、その時に手続き(妻の所得証明、戸籍、住民票提出)が漏れていてそのまま振替加算がついていない可能性があります

現在、年金をもらっている方や死亡した方にも「振替加算」は漏れている方がいらっしゃるそうです。

年金機構では死亡した方の振替加算の未払い分も支払う姿勢を見せています。

最後に

「おばあちゃんの現在の年金が余りに少ない」場合、「おじいちゃん長い間お役所勤めだった割におばあちゃんの年金少なかったわね」と感じる場合、年金事務所や共済組合で確認してみてはいかがでしょうか?(執筆者:拝野 洋子)