平成29年の年末調整に関しては、書類を提出して12月給料日での結果を待っている方が多いと思いますが、確定申告はまだ先とは言っても期間の締め(=年末)は近づいています。

給与所得や年金収入しかない場合は、ふるさと納税など控除する側を意識するでしょうが、投資をしている方などは生じる所得の側も考えておく必要があります。


決済して含み損・含み益を所得に反映させる


例えば50万円の売却損が生じてしまった場合は、50万円程度まで含み益のある株式等の売却をして相殺したり、逆に50万円の売却益が確定していて含み損のある株式等を保有している場合は、株式を売却して売却益を減らしたりといった対策が考えられます。

さらに投資家が意識しておくのは、正確な締め日(最終日)です。

株式投資であれば取引成立(約定)をしてから実際の受渡まで3営業日、FX投資であれば2営業日の決済期間があるからです。

平日でないと決済できないので(さらに株式取引の場合大晦日も除外されます)、平成29年末最終の決済日は12/29(金)になりますが、株式投資の締めは3営業日前の12/26(火)(外国株式ではもう少し前の場合も)になります。

FX投資の締めに関しては、金融機関が年間損益報告書を受渡日ベース・約定日ベースのどちらによって作成しているかで異なります。受渡日ベースであれば2営業日前の12/27(水)となります。

損益通算できる対象のグループ


株やFX等の損益通算ですが、相殺できる範囲が限られています。大きく分けて下記のグループに分かれ、それぞれのグループ内でしか相殺できません

A.上場株式等(上場株・ETF・REIT・公募投信・国債など)の譲渡所得・配当所得・利子所得
B.一般株式等(上記上場株式等を除く非上場株式等)の譲渡所得
C.先物取引(FX・商品先物・日経平均先物等)に係る雑所得等

例えば非上場株式の譲渡損失(B)と上場株式の配当所得(A)や、FXの損失(C)と上場株式等の譲渡所得(A)を相殺することなどはできません。

平成31年(2019年)に決済期間短縮へ


なお株式取引3営業日の決済期間に関しては、平成31年(2019年)4月もしくは翌5月(ちょうど天皇陛下退位に伴う改元が行われる前後)に2営業日に短縮することを全国の証券取引所が発表しておりますので、2019年以降の最終日は1日後ろにずれます。


繰越損失活用の場合の注意点


平成26年(2014年)の繰越損失が残っていて失効にならないよう、平成29年中に含み益のある株式等の売却・FXポジションの決済を行おうと考え方は、有効な税金対策です

この場合、繰越損失を相殺することができない所得合計の概念「合計所得金額」の上昇になってしまう点に注意が必要です

いわゆる扶養親族には、合計所得金額38万円以内の要件があります。平成26年の繰越損失が40万円あるからと言って、平成29年(株式投資であれば12/26まで)に40万円の利益を出してしまうと扶養親族の要件から外れます。

住宅ローン控除の適用・65歳以上の介護保険料算定にあたっても、合計所得金額が基になりますので、その点は十分考えてください。


損益通算できないNISAも非課税枠に注意

NISAで投資した株式等の売却益は非課税であり、損失が発生しても課税口座の利益から相殺できません。

NISAは税金対策と無縁に見えますが、使いきれない非課税枠が失効にならないよう、平成29年は12/26が最終日であることに気をつける必要があります。

年間120万円の非課税枠がありますが、平成29年に100万円使って20万円使いきれない非課税枠があっても、12/27以降に20万円を上乗せできず、平成30年の非課税枠が120万円でスタートします。(執筆者:石谷 彰彦)