社会保障

インフルエンザで健康保険の「傷病手当金」は使えますか?

インフルエンザが流行っている時期になっていますが、皆様はいかがお過ごしですか?

職場でインフルエンザが流行っていると最近ではお聞きすることが多々あります。

インフルエンザで休むとなると1週間など長期間となってしまいます

そこで、健康保険制度の傷病手当金の利用を考えてはいかがでしょうか




「傷病手当金」とは

健康保険に加入している会社員などの方が、病気やケガのために会社を休み、会社から十分な給与などが受けられない場合に支給されます。

「傷病手当金」の支給要件は、以下の4要件が必要です。

【要件1】 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

【要件2】 仕事に就くことができないこと

【要件3】 連続する3日間(待期期間)を含み4日以上仕事を休んでいること

【要件4】 会社を休んだ期間について給与の支払いがないこと

→ 休んでいる期間中、給与の支払いがある間は、傷病手当金は支給されません。ただし、給与の額が傷病手当金の額よりも少ないときは、その差額が支給されます


仕事に就くことができない判断について

医師が労務不能(仕事に就くことができない)と認めた期間のみが傷病手当金の対象期間となります

例えば、本人が自主的に大事を取って休んだ日は対象となりません。あくまでも、医師が労務不能と判断した場合に限ります。

また、働いているときに発症した場合、仕事に就くことができなった場合は、その日は待期期間となります。


インフルエンザでの傷病手当金は毎年支給されるか



傷病手当金は、同一傷病(病気やケガ)で支給開始日から1年6か月が支給期間と決まっています。

インフルエンザの場合は、病気の性質から昨シーズン感染したインフルエンザと今シーズン感染したインフルエンザは「別の傷病」として取り扱われます

もちろん、傷病手当金の支給決定は保険者(協会けんぽや健康保険組合)が決定するものなので保険者次第というところはあります。

毎年インフルエンザになって会社を休むことになったとしても申請をしてみるとよいでしょう。(執筆者:高橋 豊)

【読者の質問に回答】子供が2人いるが、「教育無償化」で今後の学費はどうなるのか?

都内在住の読者の方から

「子供が2人いるが、今後の学費はどうなるのか。高校まで無償化するのか?」

という質問がありました。

そこで「教育無償化」についてのアンサー記事を書こうと思います。




子供1人の教育費ってどのくらいかかる?

以前の記事「子ども1人育てるのに必要な費用はどのくらい? 出産育児で、国からもらえるお金や制度、もぜんぶ教えてください。」でも書いたのですが、子供1人の教育費は結構かかるものです。

文部科学省の平成26年度学習費調査によれば、子供1人に付きかかる教育費(学校外活動費含む)は、幼稚園、小学、中学、高校、大学全部公立だった場合、総額約727万円全部私立だった場合は総額約2,172万円です。

幼稚園私立、小中公立、高校大学私立だと約1,186万円、もし大学が国公立なら約986万円幼稚園私立、小中高公立、大学私立だと約1,010万円、大学が公立なら約810万円です。

この記事では主に小中学校の教育費について、解説していますが、今回は政府の「教育無償化」の対象である、幼稚園や高校での教育費に焦点を当ててみたいと思います


幼稚園でかかる教育費

幼稚園での教育費について平成26年度と平成28年度を確認してみましょう。

平成28年度の公立幼稚園


年平均 約23万3,000円
年少から3年だと約70万円

私立幼稚園は年平均 48万2,000円
年少から3年だと約145万円

平成26年度の公立幼稚園


年平均 約22万2,000円、
年少から3年だと約66万6,000円

私立幼稚園は年平均 49万8,000円
年少から3年だと約149万4,000円

ですので、2年間で少し教育費は下がっていることになります。


幼稚園無償化はどうなる?

政府がまとめた子育て支援策によれば、再来年から段階的に保育園や幼稚園の保育料、授業料の免除となる予定です。

幼児教育では3~5歳のすべての子ども(保護者の所得制限なし)の認可保育所や幼稚園、認定こども園の費用を無償化し、0~2歳児は年収約260万円未満の住民税非課税世帯を無償化する予定です。

認可外保育所などをどこまで無償化するかは来年夏頃までに詳細を明らかにしていく予定とのことです。


幼稚園入園、パパママを助けてくれるその他の制度は?

4歳から小学校就学前には、多くの自治体が「幼稚園就園補助金」を支給しています。
→ 幼稚園を通して支給申請しているところが多いです。

子持ち世帯に家賃補助を行う自治体もあり。
→ 兵庫県相生市が新婚世帯家賃補助、定住者に最高50万円補助、保育園幼稚園児の保育料補助、幼稚園給食無料など行っています。

お住いの自治体のHPなどで確認してみましょう。


高校でかかる教育費

一方、文部科学省による平成28年度学習費調査によれば、全日制の公立高校普通科の学習費(学校外活動費含む)の平均額は年51万6,000円、3年間で約154万8,000円(平成26年度が年46万8,000円、3年間で約140万円)です。

全日制の私立高校普通科の学習費(学校外活動費含む)の平均額は、約107万3,000円、3年間で約321万9,000円(平成26年度は約101万7,000円、3年間で約305万1,000)円です。

3年間の高校教育費平均額、2年間で公立が約14万8,000円、約私立が16万8,000円値上がりしていることになり、月額だと5,000円の負担増です。

これは、一般家庭には結構負担になります。

保護者の負担を軽減する策として、私立高校も含めて無償化されれば、意欲と能力のある子供が親の経済的事情に左右されることなく進学できる可能性が高くなるでしょう。


高校無償化はどうなる?



公立高等学校が無償化され、授業料無料になったのは、2010年4月からです。

1. 高等学校就学支援金


全ての意志ある生徒が安心して教育を受けられるよう、高等学校等の授業料に充てる ため高等学校等就学支援金を支給することで、家庭の教育費負担の軽減を図ろうというものです(文部科学省HPより)

2020年4月以降、私立高等学校等の生徒については,就学支援金として授業料に充てるために一定額(11万8,800円を学校設置者が受け取り

低所得世帯の生徒については11万8,800円を1.5~2.5倍した額)を支給します。

*両親と子供2人世帯を目安とした就学支度金(文部科学省)

年収250万円(※)未満程度(市町村民税所得割 非課税) 29万7,000円(2.5倍)

年収250~350万円(※)未満程度(市町村民税所得割額 5万1,300円未満)23万7,600円(2.0倍)

年収350~590万円(※)未満程度(市町村民税所得割額 15万4,500円未満)17万8,200円(1.5倍)



≪クリックして拡大≫


年収590万円未満の家庭は実質的に私立高校も無償になります

年収が910万円(※)以上程度(市町村民税所得割額 30万4,200円以上)世帯には、就学支援金は支給しない方針です。

2. 高校生等奨学給付金


全ての意志ある生徒が安心して教育を受けられるよう、生活保護世帯や低所得世帯の授業料以外の 教育費負担を軽減するため、高校生等奨学給付金により支援を行うものです。

この給付金は、兄弟姉妹の人数などにより金額が異なっています

2019年度より兄弟姉妹が高校生等のみの場合に、1人は第1子単価としていたものを、すべて多子単価とすることを予定しています。

住民税非課税世帯【全日制等】の第1子単価が変更になる予定です。

・ 国公立の高等学校等に在学する者 年額 7万5,800円 → 8万8,500円(+1万2,700円)

・ 私立の高等学校等に在学する者 年額 8万4,000円 → 9万5,900円(+1万1,900円)

ちなみに住民税非課税世帯【全日制等】の多子単価は以下の金額ですが、

・国公立の高等学校等に在学する者 年額 12万9,700円

・私立の高等学校等に在学する者 年額 13万8,000円

多子世帯支援のための給付要件の見直しが行われる予定です。

現行

15歳(中学生を除く)以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合 → 第2子単価適用

見直し

12歳(小学生を除く)以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合 → 多子単価適用


児童手当の所得基準が変更に!

子供の学費などを負担するのに家計が助かる児童手当のことについてお話します。

国では児童手当の手続きを電子申請で行えるように検討中ですが、2019年度以降、支給条件などが変更になる予定です

児童手当は子どものいる世帯に支給される手当で、

0歳から2歳(3歳未満)は、1人月額1万5,000円

3歳以上小学校修了前は、第1子・第2子が月1万円、第3子以降が月1万5,000円

主に世帯主に支給されます。

下記の所得を超えると、1子につき月額5,000円の特例給付が支給されます。



所得制限の額は、共働きの場合夫婦合算の所得で決まるようになります。

現在は世帯の大黒柱の所得をもとに児童手当支給額を判断する方式(上図参照)ですが、夫婦の所得を合算して支給の有無を判断する方式に切り替えられます。

一定以上の収入がある共働き世帯は児童手当の支給額が減る可能性や月5,000円の特例給付も減額になる可能性もあるでしょう。


児童扶養手当の時給方法が変更に!

子供が18歳年度末までひとり親家庭に配られる児童扶養手当ですが、手当がもらえる所得基準は現行の年収130万円未満から160万円未満に引き上げられます

4か月ごとにまとめて支給する方式から、2か月ごとに年6回支給する方式に変更されます。


乳幼児医療費が18歳年度末までの自治体もあり

18歳年度末まで入院・通院の医療費が無料の自治体もあり。(福島県全域、東京都千代田区、日の出町 奥多摩町、埼玉県滑川町、栃木県太田原市、北海道松前町も高校卒業まで乳幼児医療費が補助)。

・ 大学・短大・専門学校向けには、奨学金申請もできます。給付型奨学金も増えてきています。

日本学生機構奨学金検索




乳幼児医療費が22歳までの自治体もあり

・22歳年度末(大学生・専門学校生)まで入院・通院の医療費が無料で所得制限も一部負担金もなし → 北海道南富良野町 

乳幼児(子供)医療費の補助を、中学卒業や高校卒業までに広げる自治体が急増しています

出産に祝い金を支給したり、給食費を補助する自治体も増えています。

例えば、東京都奥多摩町は、給食費補助だけでなく、保育園の待機児童も無とのことで、首都圏在住としたらありがたいことですね。

お子さん3人以上の病後時預かりも小6まであり。15年以上定住で住宅補助金が最高200万円まで支給です。 

子育て世帯にとって、子どもがいくつまで医療費の補助が受けられるかは大きいし、給食費の補助などもできれば受けたいですよね。

隣の町なのに大きく違うこともあります。お引越しを考える場合、ぜひ、市区町村のHPなどで確認してみましょう。


大学進学! どうしても学費が足りなかったら?

まずは日本学生支援機構の利用を考えましょう。

日本学生支援機構と無利子奨学金には、年収300万円程度の収入を得るまで、返還期限を猶予する「所得連動返還型無利子奨学金制度」2014年度から創設され、現行の10年猶予より手厚くなりました

2014年度以降は、無利子の第1種奨学金の利用者が増えているそうです。

私大授業料が5年連続で上がり、平均額が年約87万円の授業料がかかるそうです。

進学を考える場合は、高校でなるべくお金をかけないで済めばそれにこしたことがありません。

新しい制度を利用して、将来に備えたいものです。(執筆者:拝野 洋子)

2018年1月から「専門実践教育訓練給付金」が拡充 上限額や支給対象者の要件はこう変わりました

雇用保険に加入されている方について、2018年1月以降に受講を開始する「専門実践教育訓練」から、教育訓練給付金の支給率、上限額や支給対象者の要件などが変わります。

また、雇用保険に加入されていた方(失業中の方)についても「教育訓練支援給付金」の支給額が拡充されます。




支払った教育訓練の受講費が最大7割支給

雇用保険に加入している方を対象に、支払った教育訓練の受講費から一定割合が支給されます

社会人のさらなる学びの後押しと、成長分野の人材の増加をねらいとしています。

支給率


・ 受講者が支払った教育訓練経費の50%(資格取得等した場合は20%上乗せして合計70%)

上限額


・ 年間40万円(資格取得等した場合は年間56万円)


支給対象者は支給要件が緩和

現在、専門実践教育訓練給付金の支給対象者は、

・ 「雇用保険の被保険者のうち、支給要件期間(※1)が10年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする人は2年以上)ある人」

・ 「雇用保険の被保険者であった人のうち、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内で、かつ支給要件期間(※1)が10年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする人は2年以上)ある人」

となっています。

これが、2018年1月以降に受講を開始する「専門実践教育訓練」を対象に、

・ 上記の支給要件期間(※1)を10年以上から3年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする人の2年以上は変更ありません)に短縮され、緩和されることとなります。

※1 「支給要件期間」とは、受講開始日までの間に被保険者等として雇用された一定の要件を満たす期間をいいます


「教育訓練支援給付金」も拡充

雇用保険に加入されていた方(失業中の方)に支給する「教育訓練支援給付金」についても拡充されます。

2018年1月以降に受講開始する専門実践教育訓練からは、45歳未満の離職者のうち一定の要件を満たす方には、基本手当日額に相当する額の80%が支給されることとなります。


今後の動向



IT等の分野で活躍する人材を増やすため、

・2018年度から経済産業省が新たに認定する講座

・2019年度から文部科学省が導入を目指している「専門職大学」など

も新たな給付の対象となる予定です。

また、この他にも一般教育訓練給付についても、対象の講座拡大や助成率の引上げを検討されることになっていますので、また改正がありましたらピックアップさせていただきます。(執筆者:高橋 豊)

小規模企業の経営者・役員、個人事業主なら「小規模企業共済」と「iDeCo」で自分年金が作れます

将来の退職金(老後資金)に対する不安をお持ちの方も多くおられると思います。

今年より加入対象が広がったiDeCo(イデコ)も退職金を積み立てるには素晴らしい制度です。

それ以外にも、あまり有名ではありませんが、小規模企業共済というオトクな制度も整備されています。

本日は小規模企業共済を詳しく見ていきましょう。




小規模企業共済ってなに?

小規模企業共済は中小機構という国の機関が運営しています。

小規模企業の経営者・役員、個人事業主が積立てゆく退職金制度のことです。

掛け金は月々1千円から7万円、500円単位で自由に設定でき、いつでも増減可能です

この金額は所得控除として扱われますから確定申告すると高い節税効果がうまれます。

毎月積み立てた掛け金は共済金として、退職や廃業した時に受け取ることができ満期や満額という概念もありません

受け取り方も、一括、分割、一括と分割の併用が可能です。

一括受取の場合退職金、分割受取の場合は公的年金などの雑所得として扱われて優遇されます。


小規模企業の加入資格

加入資格は細かく決められており、常時使用する従業員数が20名以下の、建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業を営む個人事業主や会社役員。

常時使用する従業員数が5名以下の、商業(卸売、小売)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む個人事業主や会社役員。

その他詳細はコチラからご確認ください。


小規模企業共済加入方法

高い節税効果をもたらす小規模企業共済ですが、加入条件さえ満たせば簡単に加入できます。

例として個人事業主の場合を書きますが、法人や共同経営者の場合でもそれほど難しくはありませんのでご安心ください。

個人事業主の場合は、必要書類として

・ 確定申告書の控え(事業開始したばかりでない場合は開業届の控え)中小機構の様式書類
・ 契約申込書
・ 預金口座振替申出書

これらに必要事項を記入・捺印し(記載例(pdf))加入窓口へ提出します。


加入窓口は

小規模企業共済への加入は中小機構と業務委託を結んでいる委託機関や金融機関の窓口で行います。

委託団体・代理店


商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、事業協同組合、青色申告会

代理店


都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、商工組合中央金庫、農業協同組合

制度の詳細や加入手続に関しては中小機構HPでご確認ください。


加入したらどれくらい節税できるかシミュレーション



ではどれくらい節税できるか、最高積立額である7万円で考えてみます

毎月7万円小規模企業共済に払うと7万円 × 12 = 年間84万円が所得控除される。

話を簡単にするため他の所得控除は考えません。

年収1,000万円の所得税額


1,000万円 × 33% - 153万6千円 = 176万4,000円

年収1,000万円で小規模企業共済84万円の所得控除がある場合の所得税額計算。

1,000万円 - 84万円 = 916万円

916万円 × 33% - 153万6千円 = 148万6,800円

176万4,000円 - 148万6,800円 = 27万7,200円 これが年間節税額となります。

もし小規模企業共済を月7万円を20年続けた場合、27万7,200円 × 20年 = 554万4,000円の節税になるわけですね。

一方受け取り時に支払う所得税は?


積み立てた小規模企業共済は84万 × 20年 = 1,680万円

これは一括で受け取る場合は退職所得とみなされるため、退職所得金額は1,680万 - 800万(退職所得控除額)/2 = 440万円となります。

この金額に所得税が課税されることになります

440万 × 20% - 42万7,500円 = 45万2,500円が一括受け取り時に差し引かれる所得税です。

節税した554万4,000円から45万2,500円を差し引いても509万1,500円を節税できたことになりますよね。

一方分割受取の場合は公的年金などの雑所得として扱われるのは前述しましたが、個人により年金受取額に差異があるので今回は割愛します。


実は、iDeCo(イデコ)と並行し加入できます。



マネーの達人でもたくさん取り上げられているiDeCo(イデコ)ですが、こちらも小規模企業共済と同じく掛け金は全額所得控除、受け取り時も退職所得扱いで良く似た制度といえるでしょう。

iDeCo(イデコ)の場合は60歳まで引き出せないのに対し、小規模企業共済ではいつでも解約できることが大きな違いでしょう。(ただし加入期間が20年を下回ると元本割れしますのでご注意ください)

また、積み立てた掛け金の額により(掛け金の7-9割)貸付制度が整備されているので、もしもの時の安心です。

それに加え小規模企業共済もiDeCo(イデコ)も併用が可能です。

個人事業主であればiDeCo(イデコ)の月々の掛金は6万8千円です。小規模企業共済の7万円と合わせ年間、165万6千円の所得控除が可能です

もちろんそれだけの収入があることは前提ですが、うまく利用して行けば大きな節税効果もたらします。

なお残念ながら個人事業主でも、企業に雇用され副業形態である場合は加入不可ですからご注意ください。

今回はサラリーパーソンには無縁の話ですが、制度を上手に使って将来に備えたいものです。(執筆者:金川 崇)

副業する人は知らないと困る「社会保険」の知識 収入や労働時間で加入が必要になったり、社会保険料が上がることも

「就業規則」の作成



常時10人以上の従業員を使用する使用者は、従業員の賃金や労働時間などについて定めた「就業規則」を作成して、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

これは労働基準法に定められた義務のため、就業規則を作成しなかったり、作成した後に届け出なかったりした場合には、30万円以下の罰金が科せられます。

作成のときに参考になる「モデル就業規則」


ただそうはいっても何を書けば良いのかわからない、または作成する時間がないという使用者などのために、厚生労働省は「モデル就業規則」を公開しているので、これを参考にすれば良いのです。

「副業」が容認されたらどう変わる?


このモデル就業規則の中には、副業を禁止する規定があるのですが、先日あるニュースサイトの記事を読んでいたら、厚生労働省の検討会がこの副業禁止の規定を見直し、原則的に副業を容認すると記載されておりました。

あくまでモデル就業規則が変更されるだけであり、実際に副業を容認するかは、それぞれの企業が決めることなのですが、厚生労働省の方向転換は多くの企業に、影響を与えることになりそうです。

そのため将来的に副業が容認され、実際にそれを実施する場合、
雇用保険や社会保険(健康保険、厚生年金保険)は、どのような取り扱いになるのか
について、知っておいた方が良いと思います。


雇用保険は本業だけで加入するので二重加入はしない

雇用保険は生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている方、つまり本業で働いている企業の方だけで加入するため、二重加入はしません

そのため副業で働いている企業が、労働保険(労災保険、雇用保険)に加入している事業所(適用事業所)で、その適用事業所での労働条件が、雇用保険の加入要件を満たしている場合でも、副業の方では雇用保険に加入しません。

また本業で働いている企業の方だけで、雇用保険に加入するということは、その保険料は本業での賃金だけを元に算出するので、副業をしても保険料は上がりません

雇用保険に加入する必要がある場合


副業の方が本業より賃金が多くなり、生計を維持するのに必要な主たる賃金をもらっているのが、本業でなくなってしまった場合には、副業で働いている企業の方で、雇用保険に加入する必要があります。

労災保険はすべての労働者に対して適用


労災保険の保険料は企業が負担しているため、ご存知ない方がいるかもしれませんが、労災保険は雇用形態にかかわらず、すべての労働者に対して適用されます。

副業の企業で仕事をしている最中にケガをした場合などには、パートやアルバイトであったとしても、副業の方の労災保険を利用できるのです。




社会保険は2つの要件を満たすと、副業の方でも加入する必要がある

社会保険に加入する必要があるのは、勤務先が社会保険に加入している事業所(適用事業所)になっており、かつその適用事業所での労働条件が、社会保険の加入要件を満たしている場合です

この2つの要件を満たしている場合には、副業の方でも社会保険に加入するため、雇用保険とは違って二重加入もありえるのです。

また社会保険へ加入するのが義務になっている「強制適用事業所」は、次のようになっております。
・ 国、地方公共団体、法人(株式会社、有限会社など)の事業所

・ 常時5人以上の従業員が働いている個人の事業所(農林漁業、クリーニング業や飲食業などの一部のサービス業は除く)
そうなると副業の勤務先が、小規模な個人の事業所である場合には、原則的に社会保険に加入する必要はないので、従来通り本業のみで社会保険に加入して、保険料もその分だけ負担すれば良いのです。

なお副業として自分で事業を始めた場合にも、同様の取り扱いになるため、個人の事業を法人化した場合には、働いているのが事業主の自分だけであっても、社会保険の強制適用事業所になります


大企業より中小企業で副業した方が、社会保険の保険料は上がりにくい

副業での雇用形態がパートやアルバイトであっても、次のような社会保険の加入要件をすべて満たすと、本人の意思の有無にかかわらず、社会保険に加入する必要があります
・ 1週間あたりの所定労働時間(労働契約で決められた各従業員が働くべき時間)が、20時間以上であること

・ 1か月あたりの賃金が8万8,000円(年収に置き換えると106万円)以上であること

・ 雇用期間が1年以上見込まれること

・ 従業員数が501人以上の企業で働いていること(ただし労使の合意がある場合には、従業員数が500人以下の企業でも社会保険に加入する)
これを見るとわかるように、従業員数が500人以下であれば原則的に、社会保険に加入する必要はありません

そのため副業の収入で社会保険の保険料を上げたくないなら、現在は大企業よりも、中小企業で働いた方が良いと考えられます。

中小企業でも、社会保険に加入する必要がある場合


1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の、「4分の3以上」になる場合には、従業員数が500人以下の中小企業であっても、社会保険に加入する必要があります。

つまり副業の勤務先が大企業か中小企業かで、社会保険の加入基準が変わり、また中小企業で働いている場合であっても、労働時間や労働日数が増えると、やはり社会保険に加入します




社会保険の保険料は各事業所の月給の比率で按分する

社会保険の保険料は原則として、賃金の金額に比例して増えていく仕組みになっております。

2017年9月以降については、例えば本業での月給が20万円の場合、厚生年金保険の保険料は1万8,300円になり、また副業での月給が10万円の場合、厚生年金保険の保険料は8,967円になります。

2か所以上の事業所で勤務する場合


これをそのまま給与から控除するのではなく、この方は合計して30万円の月給をもらっていると考え、月給が30万円だった場合の保険料を算出するのです。

その金額は2万7,450円になり、これを次のように各事業所での月給の比率で按分します。
(本業)2万7,450円×20万円/30万円=1万8,300円

(副業)2万7,450円×10万円/30万円=9,150円
このように按分した金額を給与から控除するので、それぞれの事業所の月給だけで保険料を算出して控除する場合とは、金額が変わってくるのです。

また今回は厚生年金保険を例に挙げましたが、健康保険も考え方は同じです。


本業と副業の両方で社会保険に加入すると、事務手続きの負担が増える

本業と副業の両方で社会保険に加入し、管轄する年金事務所または保険者が複数になる場合には、
「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」
という書類を提出して、いずれをメインにするのかを決める必要があります

なお保険者とは協会けんぽを運営する「全国健康保険協会」、または組合健保を運営する「健康保険組合」を示しますので、保険者が複数になる場合とは、例えば本業の方が組合健保で、副業の方が協会けんぽになる場合です。



2枚の健康保険証を所有する場合


こういった場合には一人の方が、2枚の健康保険証を所有する可能性がありますが、実際に使用するのはメインに決めた保険者のものだけになるので、メインでない方は返却しなければなりません。

このように本業と副業の両方で社会保険に加入すると、保険料が上がるだけでなく、事務手続きの負担が増えます

副業は
・ 社会保険に加入しない程度の時間だけ働く

・ 社会保険に加入する必要のない小規模の個人事業
など、自分で始めてみるのが良いと思うのです。(執筆者:木村 公司)

「パートで働く主婦は、個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用すると、老後資金720万が準備できる!」と筆者が強くおススメする理由。

iDeCoをもっと活用しよう



2017年1月より、会社員の妻(いわゆる第3号被保険者)も個人型の確定拠出年金(iDeCo)に加入できるようになったことはご存じの方も多いでしょう。

確定拠出年金は、その掛金が全額所得控除になるのが一番のメリットである。

なお、所得控除の種類は年金の掛金だから社会保険料控除になると思われがちだが、実際は「小規模企業共済等掛金控除」として扱われる

とにかく、自身の老後の備えをしながら毎年税金の一部が戻ってくる(所得税還付)という魅力的な制度だから使わない手はない。


夫の配偶者控除があるから関係ない

夫の配偶者控除から外れないようにパート年収を103万円に抑えている主婦の人たちは、そもそも所得税を払っていない。
「所得税が戻ってくるメリットがないのなら、個人型確定拠出年金に加入する意味はないのではないか?」
と考える方もいるだろう。

でも、それは浅はかな考えというもの。逆転の発想をしてもらいたい。


筆者の考えを聞いて欲しい

例えば、あと月額2万円収入を増やすよう頑張って働いて、その分を確定拠出年金の掛金に充てて所得控除を受けることを提案したい。

年間の税金の仕組みが分かると、提案のメリットが理解できるだろう。

以下に具体例で説明しよう。

現在、パート年収を103万円に抑えている場合


パート収入103万円 − 給与所得控除65万円 − 基礎控除38万円 = 課税所得0円

よって、所得も税金も0円になる。

月額2万円、年間24万円収入を増やすため多く働いた場合


現状の控除額は、給与所得控除と基礎控除を合わせて103万円だ。

年間収入127万円(103万円+24万円)から控除額を差し引くと課税所得は24万円となり、税率5%を掛けると所得税1万2,000円の税負担が発生する。

便宜上、住民税における課税所得を所得税と同じ24万円と仮定し、一律の税率10%を掛けると住民税は2万4,000円となる。

住民税の計算について

住民税の計算を正確に行えば、基礎控除の金額が所得税における38万円ではなく33万円であるため、課税所得を正確に計算すると29万円(収入127万円−給与所得控除65万円−基礎控除33万円=29万円)になる。

よって、税率10%を掛けると支払う住民税は2万9,000円と計算されるが、分かりやすい例を示すために、上記のような便宜的な仮定のもと計算した

所得税・住民税を合計した年間の税額は3万6,000円


結果として、年間収入を24万円増やした一方で、3万6,000円の税負担が発生してしまう。

そこで、多く働いて得た増収分24万円をそのまま自分自身の老後資金として「確定拠出年金」の掛金に充てれば、全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となる



結果、課税所得はゼロで税負担は発生しない


年間収入127万円 − 給与所得控除65万円 – 基礎控除38万円 – 小規模企業共済等掛金控除24万円 = 課税所得0円

したがって、パートで年間24万円多く収入を得ても、同時に確定拠出年金に加入することで税金(上記の計算例では3万6,000円)を支払わずに済むというわけだ。


老後資金720万円確保

現在30歳の主婦であれば、60歳まで年間24万円税負担なく貯金をするイメージで、720万円の老後資金が準備できることになる。

実際の確定拠出年金では、投信などで運用する場合が多いので、運用益&運用益非課税の恩恵を受けて老後資金は720万円より増えることが十分に想定される

月額2万円のパート収入アップであれば、それ程無理なく働けば十分可能ではないだろうか。

昨今の人手不足の状況であれば、雇用主の方からパート時間延長を依頼してくることも多いだろう。

確定拠出年金のメリットは将来の受け取り時にもある


60歳になるまでに積み立てた720万円(運用益が全くない場合)を受け取る際、このお金にも実は税金がかからない

これは退職所得控除を受けられるためで、30年間iDeCoに加入した場合は、控除額は1,500万円になる。

60歳以降に受け取る金額は、たとえ運用がうまくいって払い込んだ掛金の2倍に増えたとしても全額が非課税となるのだ。

40万円 × 20年 + 70万円 ×(30年-20年)=退職所得控除1,500万円
最終的に個人型確定拠出年金/iDeCoで運用益が出るかどうかはともかくとして、パート収入が毎月2万円増えた分をiDeCoの掛金に充てることで、
・ 長期にわたって自身の老後資金を準備できること

・ 税金メリットが受けられるだけでなく、ライフプラン上も有効であること
を主婦の皆さんにはぜひ知ってもらいたい。




朗報

年収103万円を超えてしまうことで、世帯主である夫が配偶者控除(38万円)を受けられなくなるというデメリットがあった。

しかし2018年(平成30年度)分からは、世帯主が配偶者控除額38万円を受けられる配偶者の範囲が拡大されて、配偶者のパートによる年間収入が150万円(所得85万円)までとなる

つまり、これまでの103万円の上限を気にせず150万円まで収入を増やしても夫の配偶者控除や税負担に影響がなくなるのだ。

2018年は主婦がパート収入アップとiDeCo加入で老後資金の準備を始める好機となるといえよう。

唯一の注意点


従業員501人以上の会社に勤めるパート社員は、2016年10月より年収106万円以上で社会保険加入が義務となったので、パート収入が年間130万円以上の収入になると、妻自身の社会保険料負担が発生してしまうことだろうか。

この場合、より頑張って働いて社会保険料の負担をカバーすべく、年収150万円くらいを目指してみてはどうだろうか

その際、iDeCoを有意義に活用するため、毎月の掛金を上限2万3,000円(年間27万6,000万円)に設定し60歳まで積み立てをする。もちろん、掛金全額の所得控除をしっかり受けよう。

ただし、月2万円の収入増加なら年収は127万円になるので年間130万円未満に収まり、妻が社会保険料(国民年金保険料・国民健康保険など)を支払う必要はない


ムリなく働き、メリットを享受!



税制や社会保険への加入義務などを気にして、主婦の働き方が事実上制限されるという日本の制度は、全くもって不健全といわざるを得ない。

しかし主婦が無理のない範囲で働き収入を得て、税金メリットを享受しながら老後資金の準備を早くから始めるためには、まさに
「iDeCoを活用しなければ損だ!」
といえよう。(執筆者:完山 芳男)

複雑になった主婦の「収入の壁」 注意すべき3つの壁と、一番大切な壁について説明します。

働く主婦が注意する「3つの壁」



2018年から、主婦の働き方が変わりました。

主婦がパートで働く場合、収入によって注意する3つの壁があります。
・ 壁1 配偶者控除の壁
・ 壁2 会社の社会保険に入る壁
・ 壁3 夫の扶養の壁
3つの壁について、1つずつ見ていきましょう。


壁1 配偶者控除の壁

今までは、

・ 夫(世帯主)がサラリーマンだったり、夫が自営業者でも夫と一緒には働いていない(青色申告、白色申告の事業従事者でない)

・ 妻の年収が103万円以下

上記の場合なら、夫は所得から38万円の配偶者控除を差し引くことができました(住民税は33万円)。

また、夫の年収が1,220万円(年間の合計所得金額が1,000万円)以下なら、妻の年収が103万円を超えても、141万円までは夫は配偶者特別控除も受けることができました。

変更後


・ 年収103万円だった妻の働く壁が、2018年からは大幅に引き上げられて150万円になりました。

正しくは、配偶者控除は103万円までですが、配偶者特別控除が150万円まで配偶者控除と同額ついています。

・ 配偶者特別控除も201万5,999円ならまでつきます。

夫の年収が1,220万円を超えている人は、配偶者控除そのものが受けられなくなりました

年収1,120万円(合計所得900万円)以上は、控除が段階的に減ります

税金について


今まで、配偶者控除の103万円の壁を気にして、それ以上は稼がないようにしていたという方も多かったようです。

実は、一般的なご家庭の主婦なら、103万円を超えて住民税や所得税を払っても、家計全体の収入を考えると増えるご家庭がほとんどでした。

それでも、気にする人が多かったのですが、今年からは、それが全くなくなったということです。




壁2 会社の社会保険に入る壁

2016年10月から、従業員が501人以上の企業に勤め、労働時間が20時間以上、年収が106万円以上(月8万8,000円以上、残業代は対象外)、勤務期間が1年以上の見込みの方は、会社の社会保険に加入することになりました。

配偶者控除の壁は主婦が働きに出る時の夫の税金の控除の壁ですが、実はこの106万円壁というのは、税金の壁ではなく社会保険料の壁です。

106万円を超えても、150万円までは税金配偶者控除は満額つかえます


もともと週30時間以上働く人は、会社の厚生年金保険、健康保険にパートでも加入しなくてはなりませんでした。

これが、従業員501人以上の会社で働く人はパートでも年間収入が106万円を超えると、会社の厚生年金保険、健康保険に加入しなくてはならなくなったのです。

さらに2017年4月からは、労使の合意があれば、従業員500人以下の企業でも厚生年金保険、健康保健に入れるようになりました

パートでも手厚い保障を確保しやすくなる


パートでも、会社の社会保険制度に加入しておけば、将来的には基礎年金に厚生年金部分が上乗せされるので、もらえる年金が多少増えます

また、病気や怪我などで会社を休まなくてはならなくなった時には、傷病手当金として、給料の3分の2を休んでいる間はもらえます

傷病手当金は最長で1年半有効なので、そうした状況になったら国民健康保険に加入しているよりも手厚い保障を確保できます。

また、子供を出産するときなども優遇されます。

自己負担が軽くなる「労使折半」


さらに、会社の社会保険料は労使折半になるので、自営業者の社会保険料よりは割安です。

独身やシングルマザーで働いている女性にとっては、負担が軽くなるという面があります。

ただし、サラリーマンの妻でそれまで社会保険料を支払っていなかった人は、会社で給料から社会保険料が天引きされるようになるぶん、手取りが減ります




壁3 夫の扶養の壁

現状では、収入が106万円を超えても、会社の社会保険には加入せずに働くパートの主婦の方がたくさんいます。

また、従業員数501人以上で年収が106万円を超えていても、月に常に8万8,000円を超えている必要があるので、ある月は7万円だったなどという人は、会社の社会保険には加入できません

こうした人は国民年金、国民健康保険に加入しますが、サラリーマンの妻の場合、第3号被保険者なので、パートの収入が129万9,999万円までは夫の扶養に入れます

夫の扶養に入っていれば、社会保険料は夫が加入している厚生年金から出してもらえることになっています。

自分では保険料を支払わなくても、病気や怪我をしたら国民健康保険が使えますし、将来、年金をもらったり、障害年金、遺族年金なども受けることができます

要注意

収入が130万円になった途端に、それまで払わなくてよかった国民年金保険料、国民健康保険料の合計額約25万円を、自分で支払います

そうなると、配偶者控除が使えてもマイナスのほうが大きくなる可能性があります。


パート主婦が1番気を付ける壁とは



パート主婦が一番気にしなくてはいけないのは、
「夫の扶養に入れなくなる130万円の壁」
です。

今まで払わなくてよかった国民年金保険料、国民健康保険料の合計額約25万円が増えます。

もし収入が130万ここを超えるなら、160万円くらいまで一気に増やす働き方を考えましょう。(執筆者:荻原 博子)

介護保険料は満40歳から強制加入 保険料、介護給付費の仕組みはどうなっている?

介護保険の使い方はなんとなくわかってきたけど、介護保険料、いつから徴収されるのかご存じですか?

社会保障制度の1つである介護保険制度の被保険者は一定の条件に該当することで本人の加入や非加入の意思の確認なく、また手続きもなく資格を取得することとなります

いわゆる強制適用(強制加入)ということになります。

近年の日本においては、超高齢化社会となってきており介護保険の利用者の増大が問題になりつつあります。

介護による離職を免れるためにも、介護保険サービス事業所の新たな増設などが必要となり国としての予算も今後は莫大にとっていくことが予想されます。

そんな中、強制加入である介護保険

どんな人が保険料を支払い、どれぐらいの料金の支払いを余儀なくされるのか調べてみました。




介護保険被保険者とは?

介護保険の被保険者には資格要件があります。

市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者(第1号被保険者)。
市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者であって、特定疾患に該当する者(第2号被保険者)

です。

市町村の区域内に住所を有することによって、加入非加入の有無を問わず、また届け出ることなく被保険者となるのです。

生活保護受給者であっても65歳以上は第1号被保険者となります

しかし、第2号被保険者であって医療保険に未加入者については被保険者にはなれません。

外国人については当該市町村に住所を有している方についても被保険者となります。

ただし、住所移転等は新たに市町村の第1号被保険者の資格を取得しなければならず、転入後14日以内に転居届を市町村に提出しなければならないこととなっています。


介護保険はいつから?

介護保険料は満40歳に到達したときより徴収開始となります。

満40歳到達とは誕生日の前日のこととなります。

その日が属する月から介護保険の第2号被保険者となり、介護保険料が健康保険料と一緒に天引きされます

その後、65歳以上からは第1号被保険者となりますので、65歳到達前日に属する月より介護保険第1号被保険者となり、年金等より天引きされるようになります。

2か月に一度の年金の日に2か月分の介護保険料が天引きされているのです。

その時点で健康保険料を支払っている人に関しては40歳以上から同様、健康保険料と合わせて天引きされることとなります。

介護保険料の支払いについては、いつまでという設定はなく、亡くなるまで支払いを続けていくことになります。

皆で支える介護保険。40歳以降は亡くなるまで終わることなく支払いは続きます。

元気な高齢者の方も介護サービスを使わないと損! と考えてしまいますよね。利用できないのは元気な証拠です。

介護サービスは便利で魅力的に見えますが、健康で元気なお体にはかないませんよ。なんでも自分でできるというのは一番の宝です。




保険料について

介護保険制度における保険料は制度を支える中心的な財源です。

すべての被保険者から負担能力に応じた保険料負担を確実に求めることが、負担の公平とし制度の安定的な運営につながっています。

保険料の保険料率は、保険者である市町村が政令で定める基準に従って条例で定め、3年に一度設定しています。

保険料率の算定基準も負担能力に応じた負担をということから、低所得者に対しては負担を軽減し高所得者への負担は所得に応じたものとなっています。

保険料は、第1号被保険者は市町村が算定して徴収する形がとられています。

特別徴収と普通徴収によるものがあり、特別徴収は「老齢年金・遺族年金・障がい年金」の受給者であるものの年金支給時に年金保険者が年金から天引きする方法です。

一方、普通徴収は、特別徴収対象外の方に市町村が直接納付書を交付して年一回または分割によって徴収する方法です。


介護給付費の仕組み

介護保険料は税金で全体の50%が賄われています。

国の負担が2.5%都道府県が12.5%市区町村が12.5%です。

そして、50%は保険料で賄われています。40歳から65歳の第2号被保険者、65歳以上の第1号日保険者が負担する保険料です。

介護保険制度がスタートした時には、被保険者の負担金は全国の平均としては月額2,011円という数字でしたが、2017年度は5,514円そして2025年には8,165円になるのではないかと厚生労働省で予想されています

高齢者の増加とサービスの利用率の増加に伴いどんどんと金額があがってきています。ぎょっとしてしまいますよね。

働き盛りの人たちなら何とか支払うことはできたとしても、年金暮らしの高齢者の方々から徴収するのはちょっと大変なこととなってしまいます。


介護保険滞納者について

介護保険は強制加入となっており多くの人が天引きなため支払いを忘れることも少ない状況となっておりますが、中には滞納されている方も中にはいます。

介護を必要としないという保証のない中で、毎月請求が来ても支払わないことを選択してきた人については介護を必要となった時には大きなペナルティーが起こります。

介護保険料を一年以上滞納した場合


利用料金の支払いが、1割または2割で利用できるのですが、滞納分の納付が完了後に利用したサービスの利用料金をまずは10割負担を支払のちに領収書等を提出します。

役所へ申請手続きが終わってから9割が返還されるという形をとることとなります。

介護保険料を一年半以上滞納した場合


介護サービス費用を全額支払い。されに後日申請すれば払い戻されることになっている金額が一時差し止めされます。

2年以上滞納した場合


保険料を2年以上滞納してしまうと、自己負担が1割から3割に引き上げられてしまいます

第2号被保険者の者であって医療保険も滞納している場合、保険給付がすべてまたは一部が差し止めになる場合があります




まとめ

介護保険料は、年々高くなってきています。

利用料金が1割の人も2割負担の人もいます。今後所得により3割負担の人もいることとなります

超高齢社会の日本にとって、みんなでお互いに支え合っていかなければならないため、滞納することなく支払を行う必要があります。

また、実際の介護サービスについても過度、不要な利用は避けたいものです。

安心で便利な介護サービスに頼りたい気持ちは当然ですが、適切な利用をしていくことが今後の介護保険料の向上を抑えるカギになりそうです。(執筆者:佐々木 政子)

やがて「総合合算制度」へ? 医療と介護の合算制度ならすでにあります。

社会保障制度に関する衆院選公約で、「総合合算制度」という言葉を聞いたことがあるかと思います。

医療・介護・障害・子育て(保育)などに直面すると大きな負担を覚悟しないといけませんが、それらを合算して上限額を設定する制度です。

もともと消費税増税に伴う低所得者対策として導入される予定でしたが、軽減税率の導入により実現可能性が低まっています。

ただ医療・介護に限定すれば、すでに合算制度は導入されています。




医療と介護にまたがる「高額介護合算療養費制度」

医療費に関する上限を定めた高額療養費制度は、ご存じの方も多いと思います。

介護に直面している方であれば、介護費用に関する高額介護サービス費制度を活用している方もいらっしゃるでしょう。

70歳未満の方は、医療費の自己負担が月額2万1,000円を超えた場合にのみ対象となるのですが、世帯に対して、1年間(8月1日~翌7月31日)の医療費・介護サービス費を合算しての限度額が設けられています。



社会保険の報酬月額は、被保険者のおおよその月給平均です。

国民健康保険の旧ただし書き所得は各種所得合計から33万円を控除した金額を世帯全体で合計したものになります。

平成20年4月から始まった制度ですが、制度的には健康保険制度をベースに、介護サービス費も対象にする形で世帯合算して適用という設計になっています。

そのため、同一の健康保険に加入している方を対象に合算することになっています。

高額療養費制度と高額介護サービス費制度に関しても同様に、収入・所得に応じた限度額の区分があります。

ただ年間ではなく月間で、高額療養費は3万5,400円~十万円単位、高額介護サービス費は1万5,000円~4万4,400円が上限になっています。

計算事例


例えば、国民健康保険に加入している世帯で

68歳被保険者の介護自己負担額44万円・医療自己負担額64万円(平成28年8月~平成29年7月)
世帯の旧ただし書き所得:500万円(平成28年分の所得に基づく)

の場合、高額介護合算療養費制度により44万円+64万円―67万円=41万円の給付が生じます。

まず毎月、高額療養費制度と高額介護サービス費制度の計算をして、医療と介護それぞれで自己負担限度額を超えた費用を払った分は給付対象となります(上記44万円・64万円はこの計算が終わった後の数値です)。

さらに8月~翌7月の年間で合算制度の限度額を超えた金額が給付対象になるという計算(この計算が上記事例)です。


さらに範囲を広げれば総合合算制度

医療・介護の合算制度が上記の高額介護合算療養費制度であるならば、これを保育料・障害の自己負担にまでベースを広げて限度額を設けるのが「総合合算制度」ということになります。

ただ高額介護合算療養費制度の計算も段階を踏んでいるため、より段階を踏んだ計算が必要になり、さらに複雑化します。

また残念ながら、これまででも政府や各党内で具体的設計が進んでいる気配がなく、保育は個別に教育無償化で軽減を図ろうとしています。


診療・介護報酬ダブル改定が保険料や医療・介護費用に影響?


総合合算制度実現の可能性は低くなりましたが、医療と介護に関しては平成30年4月に診療報酬・介護報酬のダブル改定をむかえようとしています。

診療報酬は病院・調剤薬局など医療機関の報酬、介護報酬は介護事業所の報酬であり、国民が負担する健康保険料・介護保険料をこれらの報酬に回しています。

方向性としては報酬を下げることで、国民の負担する保険料や医療費・介護費用の上昇にブレーキをかけるようにという方針があります。

医療では薬価引き下げ、かかりつけ薬局での引き上げと門前薬局での引き下げ、介護では生活援助サービスに関する報酬の引き下げなどが検討されています。

ただ介護は待遇が悪く人材難のため、介護報酬減がさらに悪い方向にはたらく恐れがあります。

こういった動きの末に医療・介護の自己負担や保険料負担に影響する可能性はありますので、報酬改定の動きにも気をつけておきましょう。(執筆者:石谷 彰彦)

【パートの壁】減税になったのに実感がない方へ 税金の負担軽減に「iDeCo」の活用をおススメします(試算あり)

2018年以降は新聞や雑誌などで特集されているように、夫が38万円の配偶者(特別)控除を受けるための妻の年収制限が、「103万円以下」から「150万円以下」に拡大されます。

また2018年以降は夫の年収が「1,120万円超」だと、控除できる金額が減っていき、夫の年収が「1,220万円超」になる場合には、配偶者(特別)控除を受けられなくなるのです。

このような仕組みに変わるため、妻の年収が増えたとしても、夫の年収が1,220万円以下あれば、引き続き配偶者(特別)控除を受けられるので、実質的に減税になるというわけです。

しかし次のような理由により、減税になったという感覚を、あまり感じられない可能性があると思います。




年収が増えるほど負担が大きくなる税金と社会保険の保険料

例えば妻が年収を103万円以下に抑えた場合、給与所得者の必要経費である「給与所得控除」の65万円と、所得控除のひとつである「基礎控除」の38万円を控除すると、妻の課税所得は0円になります。

この0円に所得税の税率を乗じても、結果は変わりませんから、所得税の負担は発生しないのです。

また妻の年収が130万円未満であれば、社会保険の扶養に入れるので、保険料を負担する必要はありません

しかし妻の年収が103万円を超えると、給与所得控除と基礎控除を控除した後の金額が0円になりませんから、他の所得控除(例えば生命保険料控除)がない場合には、所得税の負担が発生する可能性があるのです。

また従業員数が501人以上の会社で働いている場合には、年収が106万円以上になると、社会保険に加入する必要があるので、保険料の負担が発生します

このように妻側の負担増があるため、たとえ夫側が減税になったとしても、世帯全体としては減税になったという感覚を、あまり感じられないと思うのです。


年収を150万円にすると4万円くらいの税金の負担が発生する

年収を150万円(月収が12万5,000円で、賞与はなし)にした場合の、1年あたりの雇用保険や社会保険の保険料、税金(所得税と住民税)を試算してみると、次のような金額になっております。

雇用保険(一般の事業に該当)


4,500円(375円 × 12月)

健康保険(40歳以上の介護保険対象者で、東京都の協会けんぽに加入)


8万7,396円(7,283円 × 12月)

厚生年金保険


13万8,348円(1万1,529円 × 12月)

所得税


(A) 年収(150万円)- 給与所得控除(65万円)= 給与所得(85万円)

(B) 給与所得(85万円)- 基礎控除(38万円)- 社会保険料控除(23万244円)= 課税所得(23万9,000円)

※社会保険料控除は雇用保険、健康保険、厚生年金保険の保険料の合計であり、また課税所得は1,000円未満の端数を、切り捨てにします(住民税の計算でも同じ)。

(C) 課税所得(23万9,000円)× 所得税の税率(5%)= 所得税(1万1,950円)

住民税(都道府県民税、市町村民税)


(A) 年収(150万円)- 給与所得控除(65万円)= 給与所得(85万円)

(B) 給与所得(85万円)- 基礎控除(33万円)- 社会保険料控除(23万244円)= 課税所得(28万9,000円)

(C) 課税所得(28万9,000円)× 住民税の税率(10%)-調整控除(2,500円)= 住民税の所得割(2万6,400円)

(D) 住民税の所得割(2万6,400円)+ 住民税の均等割(5,000円)=住民税(3万1,400円)

※調整控除は「所得税の基礎控除(38万円)- 住民税の基礎控除(33万円)× 5%」で算出し、また均等割は地域によって金額が変わる場合があります。

以上のようになりますが、所得税は1万1,950円、住民税は3万1,400円になるので、税金の負担としては合計で4万3,350円になります。


iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除として所得から控除する



このように年収を150万円まで増やすと、社会保険の保険料と税金の負担が大きくなるため、2018年以降に年収を増やす予定がある場合には、特に個人の努力で金額を変えられる税金の、負担軽減策を考えた方が良いと思うのです。

その候補のひとつとして挙げられるのは、個人型の確定拠出年金(以下では愛称に決まった「iDeCo」で記述)になります。

この制度に新たに加入して、月に5,000円(年間で6万円)の掛金を拠出した場合の、1年あたりの雇用保険や社会保険の保険料、税金(所得税と住民税)の金額を試算してみると、次のような金額になっております。

雇用保険、健康保険、厚生年金保険


それぞれの金額や合計額は、上記の試算と同じになります。

所得税


(A) 年収(150万円)-給与所得控除(65万円)= 給与所得(85万円)

(B) 給与所得(85万円)-基礎控除(38万円)- 社会保険料控除(23万244円)- 小規模企業共済等掛金控除(6万円)= 課税所得(17万9,000円)

iDeCoの掛金は所得控除のひとつである、小規模企業共済等掛金控除になるため、上記の試算よりも課税所得が減ります(住民税の計算でも同じ)。

(C) 課税所得(17万9,000円)× 所得税の税率(5%)=所得税(8,950円)

住民税(都道府県民税、市町村民税)


(A) 年収(150万円)- 給与所得控除(65万円)= 給与所得(85万円)

(B) 給与所得(85万円)- 基礎控除(33万円)- 社会保険料控除(23万244円)- 小規模企業共済等掛金控除(6万円)= 課税所得(22万9,000円)

(C) 課税所得(22万9,000円)× 住民税の税率(10%)-調整控除(2,500円)= 住民税の所得割(2万400円)

(D) 住民税の所得割(2万400円)+ 住民税の均等割(5,000円)= 住民税(2万5,400円)

以上のようになりますが、所得税は8,950円、住民税は2万5,400円になるので、税金の負担としては合計で3万4,350円になります。


iDeCoの掛金の引き上げは余裕のある範囲で実施する

このようにiDeCoに加入して、その掛金を拠出することにより、税金の負担が9,000円(4万3,350円 - 3万4,350円)減ったのです。

金額は決して大きくはありませんが、例えば6万円の預金をして、9,000円の利息が付いたと考えると、かなりお得ではないかと思います。

また多くの自治体では各家庭が負担する保育料を、住民税(市町村民税)の所得割を基準にして決めております

そのためiDeCoの掛金を拠出することにより、住民税(市町村民税)の所得割が低くなると、保育料が安くなる場合があるのです。

その他に授業料に充てるための就学支援金を支給する、「高等学校等就学支援金制度」の所得制限についても、住民税(市町村民税)の所得割を基準にしているため、節税効果だけではないのです。

なおiDeCoの掛金は月5,000円以上であれば、一定の上限に達するまで、1,000円単位で自由に設定できるので、上記の試算よりも拠出する掛金を引き上げすれば、さらに節税効果などを実感できます。

ただ拠出した掛金とその運用益は、原則として障害状態になったり、死亡したりしないかぎり、最低でも60歳にならないと、引き出せないルールになっているので、掛金の引き上げは余裕のある範囲で行う必要があるのです。


2018年が開始すると同時に税金の負担軽減策を実施する



所得税や住民税は暦年(1月1日から12月31日)を単位にして、課税される仕組みになっております。

またiDeCoの申し込みを開始してから、実際に掛金の引き落としが始まるまでに、2か月程度の期間がかかります。

そうなると2017年11月頃に申し込みを開始すると、新しい暦年が始まって間もなくに、税金の負担軽減策を実施できるので、これからiDeCoを始める場合には、ちょうど良いタイミングではないかと思うのです。(執筆者:木村 公司)