社会保険

複雑になった主婦の「収入の壁」 注意すべき3つの壁と、一番大切な壁について説明します。

働く主婦が注意する「3つの壁」



2018年から、主婦の働き方が変わりました。

主婦がパートで働く場合、収入によって注意する3つの壁があります。
・ 壁1 配偶者控除の壁
・ 壁2 会社の社会保険に入る壁
・ 壁3 夫の扶養の壁
3つの壁について、1つずつ見ていきましょう。


壁1 配偶者控除の壁

今までは、

・ 夫(世帯主)がサラリーマンだったり、夫が自営業者でも夫と一緒には働いていない(青色申告、白色申告の事業従事者でない)

・ 妻の年収が103万円以下

上記の場合なら、夫は所得から38万円の配偶者控除を差し引くことができました(住民税は33万円)。

また、夫の年収が1,220万円(年間の合計所得金額が1,000万円)以下なら、妻の年収が103万円を超えても、141万円までは夫は配偶者特別控除も受けることができました。

変更後


・ 年収103万円だった妻の働く壁が、2018年からは大幅に引き上げられて150万円になりました。

正しくは、配偶者控除は103万円までですが、配偶者特別控除が150万円まで配偶者控除と同額ついています。

・ 配偶者特別控除も201万5,999円ならまでつきます。

夫の年収が1,220万円を超えている人は、配偶者控除そのものが受けられなくなりました

年収1,120万円(合計所得900万円)以上は、控除が段階的に減ります

税金について


今まで、配偶者控除の103万円の壁を気にして、それ以上は稼がないようにしていたという方も多かったようです。

実は、一般的なご家庭の主婦なら、103万円を超えて住民税や所得税を払っても、家計全体の収入を考えると増えるご家庭がほとんどでした。

それでも、気にする人が多かったのですが、今年からは、それが全くなくなったということです。




壁2 会社の社会保険に入る壁

2016年10月から、従業員が501人以上の企業に勤め、労働時間が20時間以上、年収が106万円以上(月8万8,000円以上、残業代は対象外)、勤務期間が1年以上の見込みの方は、会社の社会保険に加入することになりました。

配偶者控除の壁は主婦が働きに出る時の夫の税金の控除の壁ですが、実はこの106万円壁というのは、税金の壁ではなく社会保険料の壁です。

106万円を超えても、150万円までは税金配偶者控除は満額つかえます


もともと週30時間以上働く人は、会社の厚生年金保険、健康保険にパートでも加入しなくてはなりませんでした。

これが、従業員501人以上の会社で働く人はパートでも年間収入が106万円を超えると、会社の厚生年金保険、健康保険に加入しなくてはならなくなったのです。

さらに2017年4月からは、労使の合意があれば、従業員500人以下の企業でも厚生年金保険、健康保健に入れるようになりました

パートでも手厚い保障を確保しやすくなる


パートでも、会社の社会保険制度に加入しておけば、将来的には基礎年金に厚生年金部分が上乗せされるので、もらえる年金が多少増えます

また、病気や怪我などで会社を休まなくてはならなくなった時には、傷病手当金として、給料の3分の2を休んでいる間はもらえます

傷病手当金は最長で1年半有効なので、そうした状況になったら国民健康保険に加入しているよりも手厚い保障を確保できます。

また、子供を出産するときなども優遇されます。

自己負担が軽くなる「労使折半」


さらに、会社の社会保険料は労使折半になるので、自営業者の社会保険料よりは割安です。

独身やシングルマザーで働いている女性にとっては、負担が軽くなるという面があります。

ただし、サラリーマンの妻でそれまで社会保険料を支払っていなかった人は、会社で給料から社会保険料が天引きされるようになるぶん、手取りが減ります




壁3 夫の扶養の壁

現状では、収入が106万円を超えても、会社の社会保険には加入せずに働くパートの主婦の方がたくさんいます。

また、従業員数501人以上で年収が106万円を超えていても、月に常に8万8,000円を超えている必要があるので、ある月は7万円だったなどという人は、会社の社会保険には加入できません

こうした人は国民年金、国民健康保険に加入しますが、サラリーマンの妻の場合、第3号被保険者なので、パートの収入が129万9,999万円までは夫の扶養に入れます

夫の扶養に入っていれば、社会保険料は夫が加入している厚生年金から出してもらえることになっています。

自分では保険料を支払わなくても、病気や怪我をしたら国民健康保険が使えますし、将来、年金をもらったり、障害年金、遺族年金なども受けることができます

要注意

収入が130万円になった途端に、それまで払わなくてよかった国民年金保険料、国民健康保険料の合計額約25万円を、自分で支払います

そうなると、配偶者控除が使えてもマイナスのほうが大きくなる可能性があります。


パート主婦が1番気を付ける壁とは



パート主婦が一番気にしなくてはいけないのは、
「夫の扶養に入れなくなる130万円の壁」
です。

今まで払わなくてよかった国民年金保険料、国民健康保険料の合計額約25万円が増えます。

もし収入が130万ここを超えるなら、160万円くらいまで一気に増やす働き方を考えましょう。(執筆者:荻原 博子)

やがて「総合合算制度」へ? 医療と介護の合算制度ならすでにあります。

社会保障制度に関する衆院選公約で、「総合合算制度」という言葉を聞いたことがあるかと思います。

医療・介護・障害・子育て(保育)などに直面すると大きな負担を覚悟しないといけませんが、それらを合算して上限額を設定する制度です。

もともと消費税増税に伴う低所得者対策として導入される予定でしたが、軽減税率の導入により実現可能性が低まっています。

ただ医療・介護に限定すれば、すでに合算制度は導入されています。




医療と介護にまたがる「高額介護合算療養費制度」

医療費に関する上限を定めた高額療養費制度は、ご存じの方も多いと思います。

介護に直面している方であれば、介護費用に関する高額介護サービス費制度を活用している方もいらっしゃるでしょう。

70歳未満の方は、医療費の自己負担が月額2万1,000円を超えた場合にのみ対象となるのですが、世帯に対して、1年間(8月1日~翌7月31日)の医療費・介護サービス費を合算しての限度額が設けられています。



社会保険の報酬月額は、被保険者のおおよその月給平均です。

国民健康保険の旧ただし書き所得は各種所得合計から33万円を控除した金額を世帯全体で合計したものになります。

平成20年4月から始まった制度ですが、制度的には健康保険制度をベースに、介護サービス費も対象にする形で世帯合算して適用という設計になっています。

そのため、同一の健康保険に加入している方を対象に合算することになっています。

高額療養費制度と高額介護サービス費制度に関しても同様に、収入・所得に応じた限度額の区分があります。

ただ年間ではなく月間で、高額療養費は3万5,400円~十万円単位、高額介護サービス費は1万5,000円~4万4,400円が上限になっています。

計算事例


例えば、国民健康保険に加入している世帯で

68歳被保険者の介護自己負担額44万円・医療自己負担額64万円(平成28年8月~平成29年7月)
世帯の旧ただし書き所得:500万円(平成28年分の所得に基づく)

の場合、高額介護合算療養費制度により44万円+64万円―67万円=41万円の給付が生じます。

まず毎月、高額療養費制度と高額介護サービス費制度の計算をして、医療と介護それぞれで自己負担限度額を超えた費用を払った分は給付対象となります(上記44万円・64万円はこの計算が終わった後の数値です)。

さらに8月~翌7月の年間で合算制度の限度額を超えた金額が給付対象になるという計算(この計算が上記事例)です。


さらに範囲を広げれば総合合算制度

医療・介護の合算制度が上記の高額介護合算療養費制度であるならば、これを保育料・障害の自己負担にまでベースを広げて限度額を設けるのが「総合合算制度」ということになります。

ただ高額介護合算療養費制度の計算も段階を踏んでいるため、より段階を踏んだ計算が必要になり、さらに複雑化します。

また残念ながら、これまででも政府や各党内で具体的設計が進んでいる気配がなく、保育は個別に教育無償化で軽減を図ろうとしています。


診療・介護報酬ダブル改定が保険料や医療・介護費用に影響?


総合合算制度実現の可能性は低くなりましたが、医療と介護に関しては平成30年4月に診療報酬・介護報酬のダブル改定をむかえようとしています。

診療報酬は病院・調剤薬局など医療機関の報酬、介護報酬は介護事業所の報酬であり、国民が負担する健康保険料・介護保険料をこれらの報酬に回しています。

方向性としては報酬を下げることで、国民の負担する保険料や医療費・介護費用の上昇にブレーキをかけるようにという方針があります。

医療では薬価引き下げ、かかりつけ薬局での引き上げと門前薬局での引き下げ、介護では生活援助サービスに関する報酬の引き下げなどが検討されています。

ただ介護は待遇が悪く人材難のため、介護報酬減がさらに悪い方向にはたらく恐れがあります。

こういった動きの末に医療・介護の自己負担や保険料負担に影響する可能性はありますので、報酬改定の動きにも気をつけておきましょう。(執筆者:石谷 彰彦)

【年末調整】慌てないための早目のおさらい。当てはまる控除を見れば、書類記載方法や添付資料などの情報がまるわかり。

今年もすでに11月が目の前に。来月12月には年末調整が行われます。年末調整と言えば大概の人は今まで差引かれていた所得税が戻ってくるもの、給料の手取りも増えてうれしいものですね。

この記事では年末調整を受ける前に年末調整で適用される所得控除、税額控除についておさらいしましょう。




年末調整で適用される制度

(1) 配偶者控除
(2) 配偶者特別控除
(3) 扶養控除
(4) 障害者控除
(5) 寡婦控除又は寡夫控除
(6) 勤労学生控除
(7) 基礎控除
(8) 生命保険料控除
(9) 地震保険料控除
(10) 社会保険料控除
(11) 小規模企業共済等掛金控除
(12) 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)


1. 人的控除に関する事項

それぞれの制度の概要及び年末調整の際にその適用を受けるにあたって必要な事を確認しましょう。

上記で列挙した(1) ~(7) は人的控除と呼ばれ、その人の個人的事情を考慮し、最低生活費を保証する事を目的として設けられている制度です。

これらについては配偶者特別控除を除いて給与所得者の扶養控除等(異動)申告書*(以下、「〇扶」と呼びます。)に記載する事によって適用を受けます

(1) 配偶者控除


配偶者控除とは、同一生計で合計所得金額*が38万円以下の配偶者がいる場合に38万円(12月31日時点で70歳以上の配偶者の場合には48万円)をその年分の所得金額から控除できる制度です。

この制度の適用を受ける場合には〇扶のA欄にその配偶者の情報を記載します。




その配偶者が青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けている場合または白色申告者の事業専従者となっている場合には、配偶者控除の適用はありませんので注意してください。

この要件は次の配偶者特別控除、扶養控除でも同様ですのでここでまとめて覚えておいてください。

合計所得金額とは、すべての所得金額(特別控除適用前)の合計額の事で、給与収入のみの方は年収103万円以下であれば合計所得金額は38万円ですが、他にも所得がある場合は他の所得もすべて合計した上での金額です。

合計所得金額は他の所得控除でも出てくる言葉なのでここでしっかり理解しておいてください。

(2) 配偶者特別控除


配偶者特別控除とは、配偶者の合計所得金額が38万円を超える場合においても配偶者控除に代えて、合計所得金額76万円未満までは38万円から3万円までの間で段階的に縮小した所得控除が受けられる制度です。

この制度の適用を受ける場合には給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書*(以下「〇保」と呼びます。)の配偶者特別控除の欄にその配偶者の情報を記載します。




適用を受けようとする人のその年の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用がありません

ところで巷では改正により給与収入150万円までは38万円の控除が受けられるとの話題がありますが、改正は平成30年分の所得税から適用される配偶者特別控除の話ですので平成29年度は例年通り変わりありません

合計所得金額が76万円未満となる給与収入は141万円未満ですので参考にしてください。

(3) 扶養控除


扶養控除とは

1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。

2. 納税者と生計を一にしていること。

3. 年間の合計所得金額が38万円以下であること。 (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

参照:国税庁HP

上記4つの要件のすべてに当てはまる人です。

その人がいる場合、その人一人につき38万円をその年分の所得金額から控除できる制度です。

控除額は、扶養親族の年齢、同居の有無等により変わります。

・ その年12月31日時点で19歳以上23歳未満の場合は63万円

・ 同時点において70歳以上の場合には48万円

・ 70歳以上で本人または配偶者の父母・祖父母などで納税者と同居している場合には58万円

この制度の適用を受ける場合には〇扶のB欄に扶養親族の情報を記載します。



所得税においては16歳未満の人は扶養控除の適用はないのですが、住民税について所得控除の適用があるため、16歳未満の人の情報は住民税に関する事項の欄に記載します。



(4) 障害者控除


障害者控除とは、納税者本人、配偶者控除または扶養控除の対象となる配偶者又は扶養親族(16歳未満含む。)で障害がある人一人につき27万円をその年分の所得金額から控除できる制度です。

重度の障害がある特別障害者の場合には40万円またはその特別障害者が納税者自身、配偶者、同一生計親族のいずれかと同居を常としているならば75万円です。

この制度の適用を受ける場合には〇扶のC欄にその情報を記載します。



(5) 寡婦控除または寡夫控除


寡婦控除とは、女性の場合で、夫と死別しまたは離婚後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない人で扶養親族または同一生計の子で合計所得金額に損失の繰越控除を適用した金額が38万円以下でかつ、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない子がいる場合、または扶養親族および子がいない場合でも本人の合計所得金額が500万円以下の場合には27万円、扶養親族である子がいて合計所得金額が500万円以下である場合には35万円をその年分の所得金額から控除できる制度です。

下記2つの要件のいずれかに当てはまる人です。

1. 夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人です。

この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。

2. 夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。

この場合は、扶養親族などの要件はありません。*「夫」とは、民法上の婚姻関係をいいます。

参照:国税庁HP

寡夫控除とは、男性の場合で、妻と死別しまたは離婚後婚姻をしていない人や妻の生死が明らかでない人で、寡婦控除と同様の子がいる場合に27万円をその年分の所得金額から控除できる制度です。

下記3つの要件のすべてに当てはまる人です。

1. 合計所得金額が500万円以下であること。

2. 妻と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。

3. 生計を一にする子がいること。

この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。*「妻」とは、民法上の婚姻関係をいいます。

参照:国税庁HP

これらの制度の適用を受ける場合には〇扶のC欄にその情報を記載します。



(6) 勤労学生控除


勤労学生控除とは、納税者自身が給与所得、事業所得などの勤労による所得があること、合計所得金額が65万円以下(給与収入のみの場合給与収入130万円以下)で勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること、特定の学校の学生、生徒であることの要件を満たす場合、27万円をその年分の所得金額から控除できる制度です。

下記3つの要件のすべてに当てはまる人です。

1. 給与所得などの勤労による所得があること

2. 合計所得金額が65万円以下で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること。

例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除65万円を差し引くと所得金額が65万円以下となります。

3. 特定の学校の学生、生徒であること

この場合の特定の学校とは、次のいずれかの学校です。

イ. 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など

ロ. 国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの

ハ. 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの

以上のいずれかの学校に当てはまるかどうか分からないときは、通学している学校の窓口で確認してください。

参照:国税庁HP

この制度の適用を受ける場合には〇扶のC欄にその情報を記載します。



(7) 基礎控除


納税者本人の最低生活費の保証として一律に38万円をその年分の所得金額から控除できる制度です。

この制度については、手続きをすることもなく適用されます。


2. 物的控除に関する事項

(8) ~(11)に列挙した事項は物的控除と呼ばれ、納税者の支出の状況から最低生活費の保証だけでなく、政策的な目的なども含めて設けられている制度です。

これらについてはここまでですでに出てきている〇保に記載する事によって適用を受けます。

(8) 生命保険料控除


生命保険料控除とは、納税者が本人または配偶者もしくは親族(個人年金保険については親族は含まない。)を受取人とする
・ 生命保険
・ 介護医療保険
・ 個人年金保険
の保険料を支払った場合に、その支払った金額に応じて一定額をその年分の所得金額から控除できる制度です。

具体的な控除額は新契約(平成24年1月1日以後の契約)と旧契約(平成23年12月31日以前の契約)で計算方法が異なり、その計算方法は

・ 生命保険
・ 介護医療保険
・ 個人年金保険

毎に次の表のとおりに計算した金額となり、それぞれの保険料の控除額の合計額が12万円を超える場合には、上限として12万円までです。



新契約と旧契約の双方がある場合には、(1) と(2) に基づき算定した金額の合計額で、最高4万円です。

この制度の適用を受ける場合には〇保に生命保険会社から送付されてくる控除証明書を添付して、生命保険料控除の欄にその支払った(支払見込を含む。)保険料の内容を記載します。



(9) 地震保険料控除


地震保険料控除とは、納税者が自己は同一生計の配偶者その他の親族の居住用家屋などに対する地震保険または平成18年12月31日までに契約した満期返戻金のある保険期間10年以上の損害保険料(旧長期損害保険料といいます。)を支払った場合に、その支払額に応じて一定額をその年分の所得金額から控除できる制度です。

具体的な控除額は次の表の通りです。



この制度の適用を受ける場合には〇保に損害保険会社から送付されてくる控除証明書を添付して、地震保険料控除の欄にその支払った(支払見込を含む。)保険料の内容を記載します。



(10) 社会保険料控除


社会保険料控除とは、納税者が自己または同一生計の配偶者やその他の親族の負担すべき
・ 国民年金
・ 国民健康保険
・ 国民年金基金
・ 介護保険
・ 後期高齢者医療保険
支払った場合、または給与から差引かれた社会保険料がある場合に、その支払ったまたは差引かれた金額をその年分の所得金額から控除できる制度です。

この制度の適用を受ける場合には国民年金または国民年金基金についてのみ証明書の添付が必要なこと以外には、〇保の社会保険料控除欄への記載のみでこと足ります

給与から差引かれる社会保険料については何らの記載もする必要はありません



(11) 小規模企業共済等掛金控除


小規模企業共済等掛金控除とは、納税者が
・ 小規模企業共済の掛金

・ 確定拠出年金の企業型年金加入者掛金(いわゆるマッチング拠出分)および個人型年金加入者掛金(いわゆるiDeCoの掛金)

・ 心身障害者扶養共済制度の掛金
支払った場合に、その支払った金額をその年分の所得金額から控除できる制度です。

この制度の適用を受ける場合には〇保にそれぞれについて加入団体が発行した証明書を添付して、小規模企業共済等掛金控除の欄にそれぞれの支払った金額を記載します。




3. 税額控除に関する事項

(12) の住宅ローン控除については、これまでの税金計算の基礎となる所得金額を減らす所得控除とは違い、税額そのものを減らす税額控除に関する事項です。

住宅ローン控除とは、居住年によって違いますが、最近の制度では住宅ローンの年末残高の1%を算出した税金の額から控除する制度です。

控除できる金額には上限があり、これも居住年によってまちまちですが、最近の制度の場合は40万円です。

納税者がこの制度の適用を受けようとする年分の合計所得金額が3,000万円を超える場合には、この制度の適用はありません

この制度は、居住年については年末調整で適用を受ける事はできないので、初年度は自身で確定申告を行う必要があります

2年目以降


年末調整で適用を受ける事ができるので、その際には
税務署から送付される
「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」
金融機関から送付される
「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
添付して勤務先に提出します。

以上が年末調整で適用が受けられる制度の概要でした。


確定申告が必要な控除

・ 支払った医療費に対する医療費控除

・ 災害などや盗難などで資産に損害を受けた時の雑損控除

・ 一定の寄付をしたときの寄付金控除

・ 配当控除他住宅ローン控除以外の税額控除

については確定申告をしないと適用を受ける事ができませんので、それらに心当たりがある場合には注意が必要です。(執筆者:寺田 悟)

配偶者控除が拡大で「パートの壁」の年収の目安は103万円から150万円へ 「4分の3基準」に注意ってどういう意味?

2016年10月からは皆さんもご存じのように、社会保険(健康保険、厚生年金保険)の適用が拡大されました。

具体的には次のような要件をすべて満たすと、本人の意思の有無にかかわらず、社会保険に加入する必要があります。



(A) 1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であること

(B) 1か月あたりの賃金が8万8,000円以上(年収に換算すると106万円以上)であること

(C) 雇用期間の見込みが1年以上であること

(D) 従業員数が501人以上の会社で働いていること

この社会保険が適用される新たな基準は、(B)の中にある「年収に換算すると106万円以上」から、一般的に「106万円の壁」と呼ばれております。

なお2017年4月からは(D)の要件が少しだけ変更され、労使(労働者と使用者)の合意がある場合に限って、従業員数が500人以下の会社であっても、社会保険が適用されるようになりました


社会保険の適用が拡大してから、働き方を変える方が増えている

しゅふJOB総研は「社会保険適用拡大」をテーマに、働く主婦層(有効回答数406件)に対して、アンケート調査を実施しました。

この中で特に興味深いと思ったのは、2016年10月(社会保険の適用が拡大された直後)に取得したアンケート結果と、2017年9月(社会保険の適用が拡大してから一年後)に取得したアンケート結果の比較であり、それは次のようになっております。



≪画像元:PRTIME 社会保険適用拡大から一年、働く主婦はどうしたか?≫


これを見ると社会保険の適用拡大から一年の間に、「扶養枠内に収めて働くことにした」が10.5%減少し、「扶養枠を外して働くことにした」が5.6%増加しているのです。

またこれとは別の厚生労働省の調査によると、2016年10月以降に新たに社会保険に加入した方は、2017年5月末時点で約32万人となり、当初の予想である約25万人を上回っております

こういった調査結果を見ると社会保険の適用者は、着々と増えていると推測されます。


配偶者控除が拡大され、年収の目安は103万円から150万円へ

2018年からは皆さんもご存じのように、夫が38万円の配偶者(特別)控除を受けるための妻の年収制限が、「103万円以下」から「150万円以下」に拡大されます。

また年収が103万円を超えても「141万円以下」なら、減額された配偶者(特別)控除を受けられますが、これも「201万円以下」に拡大されます。

ただ従来とは違って、夫の年収が「1,120万円超」だと控除できる額が減っていき、また夫の年収が「1,220万円超」の場合には、配偶者(特別)を受けられなくなるのです。

そのため改正により得をする方と、損をする方がおりますが、いずれに該当する場合であっても、妻が収入を抑えようとする気持ちは、以前より低くなると思うのです。


会社の規模などによって、社会保険が適用される規準が変わってくる

従業員数が501人以上の会社で働いている場合には、年収が103万円を超えると上記のように、「106万円の壁」がすぐ前に待っているので、社会保険に加入するか否かの選択を迫られます。

しかし従業員数が500人以下で、労使の合意がない会社で働いている場合には、「106万円の壁」はまだないので、社会保険に加入するか否かの選択を迫られません。

こういった方が選択を迫られるのは、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の、「4分の3以上」になる時です

これは一般的に「4分の3基準」と呼ばれており、「106万円の壁」ができる前は、こちらを基準に判断していたため、ご存じの方も多いのではないかと思います。

また「106万円の壁」ができた後は、「4分の3基準」はなくなったと思っている方もいるようですが、これは引き続き存続しているので、現在は会社の規模などによって、社会保険が適用される規準が2種類あるのです。


年収が103万円を超えるなら、「4分の3基準」に注意する必要がある

例えば一般社員の労働条件が、「1週間の所定労働時間:40時間、1か月の所定労働日数:22日」の会社があったとします。

こういったケースでは「1週間の所定労働時間:30時間以上、1か月の所定労働日数:16.5日以上」という、両者の要件を満たした場合には、「4分の3基準」により、パートやアルバイトであっても社会保険に加入するのです。

夫が38万円の配偶者控除を受けるため、年収を103万円以内に抑えている場合には、このような基準の存在を意識しなくても、特に問題はなかったと思います。

しかし2018年以降に年収を103万円超にする場合には、「106万円の壁」が生まれて存在感が薄くなった「4分の3基準」を、意識して働く必要があり、またこの基準が再注目されると思うのです。

もちろん社会保険の扶養の基準となる「年収130万円未満」も、意識する必要があります




扶養から外れると同時に、社会保険に加入した方が良い

年収が130万円以上になり、社会保険の扶養から外れてしまったけれども、労働時間や労働日数が短いため、社会保険が適用される規準を満たしていない場合があります。

こういったケースでは市役所の窓口まで行き、国民健康保険や国民年金の加入手続きをする必要があり、また加入後はこれらの保険料を、自分で納付する必要があるのです。

これは手間がかかるため、社会保険の扶養から外れるタイミングと、社会保険に加入するタイミングを同じにして、お勤め先の会社に加入手続きなどをやってもらった方が良いと思うのです。

また社会保険に加入すれば、お勤め先の会社が保険料の半分を負担してくれるため、損得の面でも両者のタイミングを、同じにした方が良いと思います。(執筆者:木村 公司)