確定申告の基本

電子申告(e-Tax)のメリットとデメリットは?私が郵送で提出をおすすめする理由

国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、税務署への提出方法として「e-Tax(イータックス)」または「書面提出」が選べます。

確定申告の書面提出

書面提出とは、で印刷して税務署に郵送か直接提出することをいいます。

私は、確定申告初心者の方には書面提出をおすすめしています。

理由は簡単で、電子申告(e-Tax)は手間もお金もかかるからです。

  • 手間:事前の手続きが面倒
  • お金:ICカードリーダライターの購入費用がかかる

国税庁や税務署がアピールするように、簡単でもなければ無料でできるわけでもありません。

もし、住宅ローン控除の初年度をするだけで2年目以降に確定申告なんてしないよという方は、電子申告(e-Tax)をやるメリットはあまり感じられません。

一方、個人事業者で今後も確定申告をし続ける方は導入してもいいかもしれません。

電子申告とは?

e-Taxというは、インターネットで所得税を含む国税に関する申告や納税、申請・届出などの手続ができるシステム全体のことです。

このうち、国税に関する申告のことを「電子申告」、国税に関する納税のことを「電子納税」と言ったりします。

つまり、電子申告はe-Taxの一部なのですが、そんな細かいことはさておき、具体的なメリットとデメリットを見ていきましょう。

電子申告のメリット

電子申告のメリットに、国税庁は次の4点をアピールしています。

メリット1:自宅からネットで申告OK

やっぱりネットを使うメリットといえば、自宅からネットで申告できることですよね。

国税庁の確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作ったら、税務署に行かなくても申告書を提出することができます。

ただし、後の「デメリット2」で書くように、電子申告に必要なマイナンバーカードを取得するために市役所・町村役場に1度行く必要があります。

そのため、税務署に行かない代わりに市役所・町村役場に行くことになります。

メリット2:添付書類の提出が省略OK

「給与所得の源泉徴収票」は、その記載内容を入力して送信することで原本を提出する必要がありません(5年間、税務署から書類の提出または提示を求められることがあるので保管は必要です)。

源泉徴収票抜粋

マイナンバー(個人番号)に関する本人確認書類(※)についても、e-Taxで送信すれば提示または写しの提出が不要となります。

※マイナンバーカード(個人番号カード)、または、通知カードと運転免許証等

ただし、「デメリット4」で書くように書類を電子化するのに手間がかかる点がネックとなります。

【平成29年分確定申告に関する追記】

医療費控除を受けるための「医療費の領収書」については、平成29年分から「医療費控除の明細書」の提出が原則となりました。

そのため、電子申告をしなくても領収書は提出不要になったため、医療費控除に関して言えば電子申告のメリットはかなり小さくなくなりました。

関連 「医療費控除の明細書」を領収書に替えて提出に!29年分の確定申告の注意点

メリット3:還付が早い

電子申告された場合は、3週間程度で還付が行われます。

特に1月や2月に申告した場合は、2~3週間程度ともう少し早いです。

ただし、紙で提出しても1か月程度と少し遅いだけで、そんなに早くお金がほしいというわけでなければ特にメリットとは言いがたいところです。

メリット4:24時間受付

確定申告期間中は、24時間e-Taxで申告書の提出が可能となっています。

平成30年1月15日(月)~3月15日(木)

・全期間 (土日祝日を含む。)

24時間 (メンテナンス時間を除く。)

(注1) 1月15日(月)は、午前8時30分からご利用できます。

(注2) メンテナンス時間は、毎週月曜日午前0時~午前8時30分を予定しております。

出典:平成29年分の所得税確定申告期におけるe-Tax及びe-Tax・作成コーナーヘルプデスクの受付時間について|e-Tax

いやいや、ネットでやってるんだから当たり前でしょとツッコミを入れたいメリットです。

紙で印刷する場合であっても「郵送」で送れば、ある意味24時間受付ですが・・・。

電子申告のデメリット

デメリット1:事前の手続が多くてわかりづらい。

ネットで申告できるならパソコン開いて申告書作ったら、後はポチっとボタンを押すだけだろう・・・って思いますよね。

全然違いますよ。

e-Taxを利用するためには、次の手続きが必要です。

  1. 電子証明書の取得
  2. 開始届出書の提出
  3. 利用者識別番号の確認
  4. 各種ソフトのインストール

もうなんか、これだけで面倒そうですよね。

実際にやってみると分かりますが、事前に電子申告をするための届出を出したりソフトのダウンロードをしたりとやることがいろいろあります。

そのため、あまりパソコンに詳しくない方だと前に進めず手が止まってしまう可能性があります。

この点は、今後見直しが予定されています。

デメリット2:マイナンバーカードの取得で役所に行く必要あり

せっかく自宅でネットでポチッでできると言っておきながら、台無しなのが「マイナンバーカード(個人番号カード)」を取得するために自分で住んでいる市役所・町村役場に行かないといけないという点です。

事前準備の中で「電子証明書」の取得というのがありますが、その証明書の1つがマイナンバーカードです。

マイナンバーカード自体の発行は原則無料ですが、本人確認の管理が厳しいため郵送で送ってもらえません。

マイナンバーカードを自分で役所に取りに行くことになります。

デメリット3:無料ではできない。

誤解がないように言うと、電子申告自体は無料です。

しかし、事前準備の中で「電子証明書」の取得というのがあって、このためにお金が必要になります。

それがマイナンバーカードのICチップの情報を読み取るための「ICカードリーダライター」です。

ネットや家電量販店で1,000円~3,000円くらいで売ってます。

※マイナンバーに対応していないものを買わないように注意しましょう。

おいおい、こういうのこそスマホでできないのか、と思うところですが、実はできます!

でも、残念ながら、iPhoneは対応機種ではありません。

  • AQUOS EVER SH-02J SH-02J シャープ:ドコモ
  • AQUOS U SHV37 SHV37 シャープ:KDDI
  • AQUOS SERIE mini SHV38 SHV38 シャープ:KDDI
  • AQUOS U Xx3 mini Xx3 mini シャープ:ソフトバンク
  • arrows F-01J F-01J 富士通コネクテッドテクノロジーズ:ドコモ

すごいな、シャープ。

デメリット4:住宅ローン控除は添付書類がPDFで送れるけど面倒

以前は登記事項証明書のコピーなどの添付書類について、電子申告をした場合であっても別途税務署に対して郵送をしないといけませんでした。

「それなら最初から郵送でいいじゃないか!」となっていたため、平成29年1月4日から住宅ローン控除の添付書類もイメージデータ(PDFなど)として送信が可能となりました。

  • 登記事項証明書
  • 請負(売買)契約書の写し
  • 住宅借入金等の残高証明書(初年度のみ)
  • 補助金等の額を証する書類
  • 長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し
  • 住宅用家屋証明書若しくはその写しまたは認定長期優良住宅建
    築証明書
  • 検査済証の写し
  • り災証明書(その写しを含む) など

確かに可能ですが、これらの書類を全て指定された形式にポチポチイメージデータ化するのが意外と面倒です。

紙でコピーして「はい、提出」の方が簡単です。

まとめ

というわけで、正直、1回こっきりの住宅ローン控除や医療費控除なら、別に無理して電子申告をする必要はないと考えます。

一方、自営業の方や毎年確定申告をする方は初年度は手間とお金がかかりますが、チャレンジしてもいいかな、というところです。

税務署側からすれば、「紙」の申告書と「電子データ」による申告書は全く違います。

電子データの方が税務署職員の事務作業が減ります(=ムダな税金を使わせないことにつながる)。

そういう意味では、電子申告をして協力するのは、これは意味があるかもしれません。

※国として電子申告をすすめていくので、今後はメリットとデメリットがどんどん変わると思います。

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電子交付された源泉徴収票は自分で印刷して確定申告で使っていいの?

答えは「ダメ」です。

ペーパーレス・コスト削減などの名目で上場企業などで「給与所得の源泉徴収票」の電子交付が増えていますが、確定申告ではあくまで紙の「原本」を提出するのでご注意ください。

電子交付

でも、「電子交付された源泉徴収票は確定申告で使えませんよ」と言われても、「書いてあることは同じなのに!」と納得がいきませんよね。

この記事ではその根拠もご紹介します。

現在のルールは『原本』以外認めない!

平成19年(2007年)1月から会社が従業員に対して「給与所得の源泉徴収票」を電子交付してもOKになりました。
源泉徴収票
給料明細や源泉徴収票もペーパーレス化の影響で、社内LANなどにアクセスして、自分専用のIDとパスワードを入力して閲覧する仕組みになっている企業も多いかと思います。

しかし、確定申告の時には給与所得の源泉徴収票の「原本」が必要です。

では電子化されているものをプリントアウトすればいいかというと、それもダメです。

実は、電子交付された源泉徴収票を印刷して使うのはダメと国税庁のQ&Aにもはっきり書いてあります。

国税庁「給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A

(問15)

電子交付を受けた給与所得の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票又は公的年金等の源泉徴収票をプリントアウトして確定申告書に添付してもよいか。

(答)

確定申告書に添付する給与所得の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票又は公的年金等の源泉徴収票は、法令上、給与等、退職手当等又は公的年金等の支払者(交付者)から書面で交付を受けたものと規定されていますので、電子交付を受けた各源泉徴収票をプリントアウトして確定申告書に添付することはできません

勤め先から「紙」でもらうのが原則

紙の源泉徴収票

ではどうすればいいのでしょうか。

このQ&Aには続きがあって、

国税庁「給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A

(問15)

(省略)

給与等、退職手当等又は公的年金等の支払者(交付者)から、書面により各源泉徴収票の交付を受けた上で、確定申告書に添付してください。

とあります。

つまり、確定申告のためには勤め先から別途「書面(紙ベース)」でもらいましょう、ということになります。

従業員から「紙でほしい」と言われたら会社は交付する義務があります。

国税庁「給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A

(問1)

給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)制度とは、どのような制度か。

(答)

(省略)

ただし、給与所得の源泉徴収票等、退職所得の源泉徴収票等又は公的年金等の源泉徴収票等の電子交付について受給者(交付を受ける者)から承諾を得ている場合であっても各源泉徴収票等について書面による交付の請求があるときは、書面により源泉徴収票等を交付しなければなりません(所法226第4項ただし書、231第2項ただし書)。

実際には従業員から請求があっても拒否する会社もあるそうですが、法律に提出の義務が書かれています。

なお、毎月の給料明細は「電子交付」をして、給与所得の源泉徴収票だけは「書面(紙ベース)」で交付する会社もあります。

※電子交付を受けた源泉徴収票でも、一定の条件を満たせば電子申告(e-Tax)の添付書類としてオンライン送信が可能となります。そのため電子申告をするのも1つですが、「電子申告(e-Tax)のメリットとデメリットは?私が郵送で提出をおすすめする理由」に書いたように、毎年確定申告をしないのであればあまりおススメしません。

プリントアウトしたものでも税務署が受け付けてくれたのはなぜ?

さて、ここまで書いておきながら、税務署によってはプリントアウトしたものを受け付けている場合があると耳にします。

逆に、税務署によってはプリントアウトしたものに会社の印がないとダメという話も聞きます。

・・・一体、何が正しいのでしょうか?

国税庁の公式見解としては、本来、プリントアウトしたものは受け付けてはいけないものです。

ただ、現場の税務職員の方が知らないとか、知っているけど確定申告で忙しい時期だから黙認しているとか、受付可能な理由は諸説あります。

しかし原則がプリントアウトNGとハッキリ書かれている以上、これから住宅ローン控除や医療費控除のために確定申告をする方は、最初から勤め先に「書面(紙ベース)」で給与所得の源泉徴収票をもらっておくことをおすすめします。

まとめ

将来的には年末調整と確定申告はどんどん電子化が進んでいくことが計画されています。

そのため、ゆくゆくは原則「電子交付」で「紙」の方が例外になっていく可能性もあります。

確定申告と年末調整の電子化

出典:政府税制調査会「第16回 税制調査会(2017年11月20日)資料」より抜粋

といっても今すぐではなくこれから数年かけて少しずつ実現していく話です。

そのため、まずは勤め先の源泉徴収票が書面交付なのか電子交付なのか確認し、電子交付なら「紙」で源泉徴収票がもらえるように勤め先にお願いしましょう。

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