相続・贈与・エンディングノート

【配偶者に居住権】約40年ぶりの相続分野の見直しは、相続にどう影響するのか検証しました。

配偶者に居住権



民法改正案として「配偶者に居住権」ということが、先日新聞に大きく図解とともに載っていました。

この改正案が実際の相続にどう影響するのか検証してみました。


改正の趣旨

「高齢の配偶者の住む場所と生活資金の安定的な確保が狙い。子供が家の所有権を受け継いても住み続けることができるように」
とのことです。

配偶者と子で遺産争いが現実にあるか?


筆者は愛知県で500件以上の遺産分割を経験しましたが、筆者の知る限りにおいてほとんどなかったです。

きょうだい間は、確かに程度の差はあれ調整に苦慮し譲りあってまとめることになります。

「きょうだい」間では預貯金のみを法定割合で分け、のこりの財産は残された配偶者がまず相続し、次に残された配偶者が亡くなった段階で最終調整をするといったパターンが多いように思います。



意外ともめる「ひとりっこ」


最近「気づいたのが一人っ子の相続です。

このケースは意外にも揉めることが分かりました。

つまりこの民法の改正案は「一人っ子」が多くなり、親と一人っ子がもめる事案が増えてきたことが原因だったのかもしれませんね。

参照記事:最近の相続で問題になるのは、実は「一人っ子の相続」です相続問題は「一人っ子」でも起きる そこには根深い確執が…


民法の決まりはあくまで「もめた時の」ルール

相続が発生し、遺産分割協議をする際、民法通りに行わなくても違法ではありません
「相続人全員が合意すればよい」

「配偶者が相続しなくても、当事者が納得していればよい」
まずは「話し合い」です。

夫婦がともに資産家の場合も現実にあります。


子供のいない方が多くなりました

筆者が体験しなかで、今回改正に出てきた「配偶者の居住権」の問題が出てきた唯一の事例が、子供のいないご夫婦でした。

子供であれば、親の財産は両親が亡くなればいずれ子供に流れます。

お子さんのいらっしゃらない配偶者にとっては、相続人は
・ 故人のきょうだい(故人の直系尊属が生きていればその直系尊属)

・ 残された配偶者
です。

残された配偶者と血縁関係のない「きょうだい」が争ったことはありました。



おそらく結婚された時から、いろいろあったのでしょう、それは壮絶でした。

ひょっとしたら今回の改正は「一人っ子」、「子供のいない方」を見据えて考え出された制度かもしれませんね。


相続税への影響は?



法定相続分の変更ではありませんので、相続税の総額には変更はないと思われます。

相続税評価はどうでしょう。

夫の家に妻が住んでいる場合(扶養関係にあるから無償で)


今のところ居住権はないと思います。

居住権を認めた遺産分割が行われるようになると居住権と所有権を分ける必要があるかもしれません。

小規模宅地等の適用の有無はどうなる?


居住権が借地権であれば使えそうですが、借家権に近いと思いますので使えないような気もします。現時点では不明です。

そのあたりの法整備は今後行われるかと思います。(執筆者:橋本 玄也)

亡くなった人の確定申告「準確定申告」はどうすればいいの?

確定申告で忙しくなる年明けですが、確定申告が必要なのは生きている人間だけではありません。

実は、亡くなった人にも確定申告が必要なのです。

どのような場合に必要なのでしょうか。

また、どのように確定申告を行えばよいのでしょうか。




亡くなった人が主役の「準確定申告」とは

亡くなった人の確定申告のことを、通常の生きている人の確定申告と区別して「準確定申告」といいます。

準確定申告とは、年の途中で亡くなった方(被相続人)の所得と納税を、相続人が被相続人本人に代わって行う手続きです。

準確定申告は、次の2パターンに分けて考えます。

1.被相続人が亡くなる前年分の確定申告を行い、かつ、年の途中に亡くなった場合


亡くなった年分の確定申告を相続人が準確定申告として行います

2.確定申告をしなければならない被相続人が、所得が発生した年の翌年の確定申告期限(通常は3月15日)までの間に確定申告書を提出せずに亡くなった場合


所得が発生した年分と翌年1月1日から被相続人が亡くなった日までの間の分の2つの確定申告を相続人が準確定申告として行います。

なお、準確定申告の申告期限及び納付期限は、通常の確定申告と異なり、その相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。

複数の相続人がいる場合には、連署で申告書を提出することになりますが、他の相続人の氏名を付記して別々に申告することも可能です

ただし、準確定申告書を提出した相続人は、その内容を他の相続人にも通知しなくてはなりません


準確定申告が必要となるケースとは

準確定申告が誰でも必要なわけではありません。

給与所得だけを受け取っていたサラリーマンが亡くなったことにより会社を退職した場合は、会社で年末調整を行ってくれます

準確定申告が必要なケースは、通常の確定申告とほぼ同様です。具体的には次のようになります。

・ 生前の給与収入が2,000万円を超えている
・ 2か所以上から給与を受け取っている
・ 公的年金等の収入が400万円を超えている
・ 給与所得以外の所得の合計あるいは公的年金等以外(雑所得)の所得の合計が20万円を超えている
・ 生命保険の満期金の受取などにより一時所得がある
・ 土地や建物の譲渡により譲渡所得がある
・ 事業所得や山林所得、不動産所得などがある


準確定申告をした方がよいケースとは

以下のような場合は「しなくてもいいけどしたほうがいい」場合に該当します。

【生前に高額医療費を支払っていた場合】
被相続人が生前に支払ったものに限ります。

【各種控除などがある場合】
生命保険料控除などについては被相続人が生前支払ったものにかぎります。また、配偶者控除や扶養控除については死亡の時の現況で判断します。

【給与所得や公的年金等の源泉徴収された所得税がある場合】
死亡以前に退職した場合などが該当します。

上記のケースで発生した還付金は被相続人に帰属するものであるため、相続財産に加算されることになります

ただし、還付加算金については、相続人の雑所得に該当します


最後に



相続税の申告だけでも大変なのに、所得税の申告もあるとは負担が大きくなりますね。

そして、所得税の申告は期限が早く到来します。

亡くなった人を悼む時間がほしいところですが、少しずつでもよいので、準備を進めておきましょう。(執筆者:鈴木 まゆ子)

メモリード・ライフの葬儀保険「家族の証」、ぶっちゃけどうなのか徹底解説!

大切な人との別れとなるお葬式は、できるだけ盛大に行いたいもの。

しかし、盛大に行うとそれだけ費用がかかり、残された人にとっては大きな負担です。

先立つかもしれない人も、「残される人に金銭的負担をかけたくない」という気持ちがあるでしょう。

そこで最近注目を集めているのが、「葬儀保険」です。


≪画像元:メモリード・ライフ


今回は、テレビCMも放送しているメモリード・ライフの葬儀保険のメリットやデメリット、他の保険との比較もしちゃいます。


葬儀費用は結構かかる

何となく分かっている人も多いと思いますが、葬儀費用は結構掛かります。

地域や規模などによって費用は異なり、一つとして同じ葬儀はありません。

参考までに、平成29年に一般財団法人日本消費者協会が発表した「葬儀についてのアンケート調査」における、葬儀の平均費用についての結果を紹介します。



首都圏の中心ほど葬儀費用は安く、離れるほど葬儀費用は高くなる傾向です。特に、千葉・茨城・群馬・栃木は、全国平均よりも高額ですね。


メモリード・ライフ葬儀保険「家族の証」の概要

「家族の証」は1年ごとの自動更新で、「保険金一定プラン」と「保険料一定プラン」があります。

「保険金一定プラン」は年齢に応じて保険料が変わる


保険金一定プランは、もらえる保険金は一定ですが、同じ保険金をもらおうとすると、高齢者ほど保険料負担が多くなります。

例えば、男性が300万円の保険金を受け取ろうとすると、以下のようになります。



「保険料一定プラン」は年齢に応じてもらえる保険金が変わる


一方の保険料一定プランは、保険料は一定ですが、年間保険料の支払いを一定にしていると、高齢者ほどもらえる保険金が少なくなります。

例えば、男性が年間保険料8,000円で加入すると、以下のようになります。





メモリード・ライフ葬儀保険「家族の証」、4つのメリット

(1) 高齢者でも申し込める

「家族の証」は、20歳~89歳まで新規に加入でき、更新は99歳まで可能です。

高齢のため保険を諦めていた方でも入れます。

(2) 持病があっても入りやすい


「家族の証」は、医師の診断書は必要なく、健康状態に関する簡単な告知書を記入するだけです。

生命保険や医療保険の場合、医師の診断書が必要な場合が多く、持病があると入れない可能性が高くなります。

ほとんどの高齢者は何らかの持病があるので、これはうれしいですね。

(3) 保障額を自分で選べる


「家族の証」は、死亡保険金を30万円~300万円、災害死亡保険金を0円~300万円の範囲内で、自由に設定できます。

自分のお財布具合と保障内容を考えて、ちょうどいい保険が作れるのです。

(4) すぐに保険金が受け取れる


「家族の証」は、保険金請求の翌営業日に、保険金額の100%を受け取ることができます。

この保険は、もちろん受取人を指定できますので、被保険者の死後に財産でもめることもありません。

また、死んだ人の預金口座は凍結されてしまい、葬儀費用に使おうとしてもすぐには使えません。

この保険は受取人の口座に振り込まれますので、口座凍結の心配がありませんね。


メモリード・ライフ葬儀保険「家族の証」、実際どうなの?

ここまで、「家族の証」の概要やメリットを紹介してみましたが、実際のところどうなんでしょうか?

保険をかけ続けないと無駄になる


「家族の証」は掛け捨ての保険であり、解約返戻金がありません。

よって、解約してもお金が戻ってくることはありません。

「家族の証」に加入したものの、高齢になるにしたがって割に合わなくなる商品ですので、解約した直後に亡くなってしまったら、もちろん保険金は入ってきません。

これでは、支払った保険料が無駄になってしまいますね。

死亡保険の「定期保険」でも代替可能


「残された家族に金銭的負担をかけたくない」のであれば、あえて葬儀保険にこだわらず、死亡保険(生命保険)を選ぶという手もあります。

特に、死亡保険の「定期保険」がおすすめです。


≪画像元:オリックス生命


オリックス生命の死亡保険「ブリッジ」は、「家族の証」と同様に掛け捨てで、医師の診断書が必要ありません。

ただし、「家族の証」とは異なり、定期保険にすることで、保険料も死亡保険金も一定にすることができます。

保険金500万円、保障年齢80歳までの男性の場合、年間保険料は以下の通りです。



満期まで支払う保険料が分かりやすく、保険金も減らされることがないので、安心できます。


高齢になって保険を検討する人にはおススメ

「家族の証」は、高齢になってから保険を検討している人にはいいでしょう。

「ブリッジ」は、70歳では新規加入ができませんが、「家族の証」(保険金一定プラン)ならば、89歳まで加入できます。

その分保険料は高くなりますが、金銭的に余裕がある人ならばOKです。

自分が死んだら自分の口座は凍結されてしまうので、「自分の預金口座以外で残された人にお金を残したい」と考えている人にもいいですね。(執筆者:)

贈与税「高額」「一括」「預貯金」には要注意。課税と非課税のポイントを説明します。

基本的には家族の間でも贈与税がかかる



基本的に、個人から個人へのお金のやり取りは、年間110万円を超える金額になると贈与税が課されます。

しかし、扶養義務のある人が提供する生活費と教育費において
「通常必要とみなされるもの」
非課税です。

一緒に生活をしている親族間において「生活に必要な範囲」でやり取りされるお金には税金はかかりません

夫から妻に生活費を渡す、親から子どもにお小遣いをあげることは生活の範囲内であれば全く問題ありません。

けれども、扶養関係にあっても「生活に必要な範囲」を超えるあまりにも高い金額を手渡した場合には生活費やお小遣いについても課税対象と判断されることもあります。

ちなみに、親族間の贈与税率は血縁関係にない個人との金銭のやり取りより優遇されているとはいえ、
・ 200万以下… 10%
・ 400万以下… 15%(10万の控除有)
・ 600万以下… 20%(30万の控除有)
・ 1000万を超えると30%、40%となり、最大で55%
も課税対象です。


扶養義務のある親子間でも贈与税がかかるケース

通常必要とみなされる生活費と塾や習い事を含めた広い範囲の教育費に対しては贈与税がかかりません。

1. 高額の資金を現金で渡す


通常の範囲を超えた金品に対しては親子間であっても原則として贈与税の課税対象です。

時々耳にする、
親や祖父母が高額の時計や車を買い与える際に、購入資金を現金で渡す
といった話の場合には注意が必要です。

2. 将来分を一括で渡す


通常の生活や教育に必要な資金をその都度受け取る場合は問題ありませんが、将来分までまとめて一括で受け渡しし、そのお金を銀行に預けるようなことがあれば、贈与税の対象となることがあります。

それは、一度貯金とすることができ、他のことにも使える可能性ができてしまうためで、株式の買入代金もしくは不動産などの買入代金に充当したような場合には、通常必要と認められる範囲外となってしまいます。

3. 貯金や運用に使う




貯金に回したり、それを運用したりすることは通常必要な資金と認められません

それは生活するための住宅購入資金であっても同じで、通常必要なお金とはとみなされない場合があります。

4. 子供が親元を離れた場合


子どもが小さいうちは、子ども名義の口座に教育資金を積み立てていても、その口座の管理者が親と判断される場合が多いので、実質は金銭のやり取りはなく、その都度生活費や教育費を必要に応じて親が出していると判断されます。

しかし、高校や大学の進学で親元を離れて、子ども名義の口座を子どもが管理するようになった場合は、まとめての送金には気をつけた方が良い場合もあります。

 

期間限定の「非課税制度」

生計を別にしている祖父母などからの援助には期間限定の非課税制度の利用がおススメです。

基本的には年間110万円の控除額を超える部分については、受け取った金額に応じて贈与税が課されます。

個人から受けるお祝い等の金品は、社交上の必要によるもので社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象となりません

ただし、年110万を超えて祖父母などから資金援助を受けるようなこともあるでしょう。

その主なものとして挙げられるのが、
子、孫への教育資金と結婚や新生活、子育てにかかる費用
です。

教育資金の一括贈与を受けた場合や結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合には2019年の3月末(結婚・子育て資金については6月末)までですが、期間限定で贈与税の非課税措置枠が設けられています。

これらは専用の口座を開設して受け取る必要があるなど手続きが必要です。

事前にしっかりと情報を調べたうえで贈与を行うことで、大きな節税につながる制度です。


離婚した際の養育費にも贈与税がかかる場合がある



離婚などで養育費をもらう場合、扶養義務に基づき履行されるものですから、「通常認められるもの」であれば贈与税の課税対象とはなりません

毎月もらう場合は問題ないのですが、
途中でもらえなくなるリスクがあるため養育費を一括払いで払ってもらう
という方もいるかもしれません。

これまで述べてきたように、扶養の義務のある者から「生活に必要な範囲」でその都度お金をもらう場合は問題ありませんが、
一括でもらって貯金した場合、またそのお金を一度別の費用に充ててしまった場合
には、贈与税のかかる場合があるのでこちらも注意が必要です。

ただし、離婚においては関係性において、行政も一括払いの必要性を考慮するなど、事情を考慮してはくれるようです

なお、同じ理由で保険金の一括受け取りの際にも注意が必要です。


「高額」、「一括」、「預貯金」には要注意

一括で大きな金額を渡す場合は、扶養や家族関係があっても注意が必要です。

年間で110万円超えるお金の受け渡しで実際に生活費や教育費として使用されず、預貯金になってしまったりしている部分については贈与税の対象になることがあります。

新生活の費用として、高額な習い事や留学の際の費用などであれば期間限定の特定控除の制度をうまく利用しましょう。


不必要な税金は払わない



贈与は手順次第で払わずに済む税金が大きくなるものです。仕組みきちんと理解し、手順を踏まえれば、払わずに済む税金があります

払わずに済むお金を払うことは、一番の無駄遣いとなりかねません。

せっかくの贈与、厚意でいただいたそのお金ですから、無駄な税金を納めずに教育費や生活費に回したいものです。(執筆者:小柳 結生)

年末に増える芸能人の離婚や財産分与 税金がかかる要注意ケースはこれ

年末になり、芸能人の離婚のニュースがたびたび流れるようになりました。

ここで地味に気になるのが財産分与。芸能人の方だとそれなりの資産が対象になりそうな気がします。

一般人の我々も含め、離婚の際の財産分与について、税金はどうなっているのでしょうか。




原則:財産分与は非課税

離婚して別れたパートナーから財産をもらった場合、基本的にはどちらにも税金はかかりません。その理由は、分与する財産の性質にあります。

通常、所得税や贈与税の対象となるのは、これまで自分の手元になかったものを新たに取得した場合にかかります。

しかし、離婚の際の分与対象となる財産は、新たに取得したものではなく、結婚してから夫婦二人で築き上げたものです。

財産分与は、それまで夫婦が蓄積した財産関係の清算に過ぎません。さらに、離婚の財産分与は離婚後の生活保障の意義もあります。

そのため、税金を課するにはふさわしくないと考えられています。

ただし、その内容によっては、贈与税あるいは所得税が課税されることがあります。


財産を貰う側:贈与税がかかることも

原則として離婚の際の財産分与について、税金はかかりません。ただし、次のいずれかに該当する場合は、財産を貰う側に贈与税が課されます

1.分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多すぎる場合

2.離婚が相続税や贈与税の課税逃れのために行われたと認められる場合

1.については「多すぎる」と思われる部分について課税されます。

一般的に妥当と認められる財産分与の割合は2分の1とされています。これをはるかに上回る額の分与については注意が必要です

また、2.については、離婚によってもらった財産すべてについて課税されます。

税法では、見た目ではなく実質を総合勘案した上で課税をすることとされています。

そのため、実質を伴わない離婚については、分与財産すべてについて課税がなされます。


財産を渡す側:所得税と住民税がかかることも



さらに、分与する財産が金銭以外の場合、内容によっては所得税が課税されることがあります。

課税の対象となる財産は次の条件を満たしたものとなります。

1.土地や建物などの不動産、株式などの有価証券、高額な美術品、ゴルフ会員権など

2.譲渡時の時価が取得時の時価よりも上回っているもの

1.については、「生活必需品以外のもの」というイメージを持っていただくとよいかと思います(自宅については後述します)。

これらの財産を別れた相手に渡した場合、「持ち主がいったん売却して金銭を取得し、その取得した金銭を相手に財産分与として渡した」と考えます。

財産の保有期間が5年を超える場合は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)、5年以下の場合は39.63%(所得税30.63%、住民税9%)の税率で課税されます。


自宅の財産分与は状況とタイミングを見計らおう

先ほど譲渡所得の対象の一つに土地や建物などの不動産を挙げました。これは自宅も含みます。

ただし、自宅は生活用財産でもあることから、特例措置が施されています。

自宅など居住用不動産については、譲渡時の時価と取得時の時価の差額が3000万円以下なら特別控除の特例により所得税はかかりません。

ただし、譲渡相手が親子や配偶者など特殊な関係にある者だと特例の対象外となりますもし譲渡するなら離婚後にしたほうがよいでしょう。

離婚はただでさえもエネルギーを使います。

感情的になる場面も生じたりしますが、感情的になりすぎて高い税金を払う破目になっていては、人生の再スタートの足を引っ張ることになりかねません。

どちらもできるだけ冷静になって、財産分与も含めて話し合いができるようにしたいところです。(執筆者:鈴木 まゆ子)

子どもへの「お年玉」や「お祝い金」は誰のもの? 家族間のお金のやり取り金額が大きいと、贈与とみなされる場合も

もらってうれしい「お年玉」は誰のふところに?

クリスマスにお正月、年末年始はプレゼントやお年玉をもらえるとあって子どもたちはウキウキする季節ですね。

大人はというと、年末年始は忘年会や新年会、お歳暮や年賀状などただでさえ出費が多いのに、さらに出費の重なる季節とも言えるでしょうか。

さて、お正月と言えば「お年玉」、子どもがお年玉をもらったら、そのお金はどうしていますか? 



子どもがすぐに好きなものを好きなだけ買ってしまうというのは現状で少なくて、やっぱり貯金という家庭が多いかもしれません。

子ども自身がタンス預金ならぬ自宅の貯金箱で保管ということもあるでしょうが、子ども名義の通帳に入れることもありますね。

でもちょっと待ってください!
 

税法上は子ども名義の口座は口座管理者のものと判断される

子どもの通帳にしっかり入れてあげたと親子ともに満足しているかもしれませんが、それは「親が預かっておく」と言って、親の財布にそのまま入れてしまう行為と同じになるかもしれません。

というのも、子ども名義の貯金口座は、税法上は実際にその口座を管理している親のものとして取り扱われます。

あまり問題になることはありませんが、離婚した場合や金額が大きい場合などは贈与税にも絡んできますし、もしものときの相続税の計算において、このような預金の取り扱いが問題となることもあります。

本当に子どもの財産として計上するためには、最低でも通帳と印かんを子ども自身が自由に持ち出せる、もしくはキャッシュカードは子どもが管理し、子どもが自由に使える状態となっていなければなりません


基本的には、誰かから誰かにお金を無償で手渡した場合には贈与



お祝いなどで、基本的に個人から受ける金品は、社会通念上相当と認められるものについては、贈与税の課税対象となりません。

もちろん、親や祖父母が子どもにあげるお小遣いも通常は贈与となりませんが、金額によっては注意が必要です

お年玉の金額が大きいと、贈与とみなされる場合もあります。

年間110万円を超えなければ贈与税はかかりませんが、お祝い事が重なった場合などでも注意が必要です。

出産祝い、節句などのお祝い、入園・入学のお祝いに加えて、子どもにとっては祖父母からの教育資金の援助や住宅資金の援助などもすべて含みます。

親が管理している子どもの通帳にお金が入れば、親への贈与となりますので(親族から子どもへの贈与、子どもから親への贈与)子どもの通帳に入ったお金と親自身がもらったお金を合わせて計算することになります。

お祝いごとが重なった場合は要注意


例えば、小学校入学と同時に家を買い、その頭金を子どもからみると祖父母に出してもらい、その上入学祝をもらい、小学生になるからとお年玉もはずんでもらった場合などは要注意でしょう。

ちょうど私立の小学校に入学してその入学金などの教育費を援助してもらったり、下の子が産まれて重ねて出産祝いももらったり、女の子であれば7歳の七五三のお祝いももらったという場合は当てはまる方も多いかもしれませんね。

これは周りであった話ですが、親や祖父母に車をもらってもらったという話を聞きましたが、扶養関係がない場合や扶養関係にあっても生活に必要な範囲を越えている場合、そこに贈与税が発生する可能性もありますのでご注意ください。(執筆者:小柳 結生)

「父が亡くなり口座が凍結」公共料金の引き落としができずに、相続人がブラックリストに…よくある問題の対処方法

よくある相談


父が亡くなると、銀行の口座が凍結されてしまい、電気、水道などの料金が引き落とされなくなると聞きました。どうしたらいいのだろう?
公共料金の引き落しが、父の通帳より行っている方からの相談です。


銀行口座が凍結されたときの対処法

銀行は「死亡による口座の凍結」をしていると、口座からの引き落としを行いません。

銀行の口座が凍結されてしまうと、

・ 公共料金の支払い
・ クレジットカード会社の支払い
・ 固定資産税の支払い
・ 住宅ローンの支払い
・ 賃貸収入

などができなくなります。

それぞれの対処について説明します。

1. 公共料金の支払いについて


引き落としができないと、電気会社などの請求元から故人あてに「引き落としができなかった」と連絡があります。

引き落としが少々遅れてもライフラインである電気代や水道を即、止められることはありません。

同居されている方(配偶者や子)があれば、その家の電気、水道料金などは通常その方が支払われるので、自動引落しの手続きを行います

2. 公共料金をクレジットカード会社経由にて支払っている場合


カード会社は、引き落とし不能でも電力会社などに支払いを代行をするので、電気代などは未納にはなりませんが、カード会社の支払い代行分は故人の債務として引き継がれます

そのため、故人に連絡しても入金が未納のままであれば相続人全員に直接連絡が行き、〇日までに支払ってくださいといった連絡があります。

督促状が届いているのに放置をしておくと、ブラックリストに載る可能性があります



3. 固定資産税について


市区町村から代表相続人の選任届などがきます。

この固定資産税を特定の相続人が支払ったからといっても、その固定資産を取得したことになるわけではありません。立替え人が決まるだけです。

4. 住宅ローンについて


住宅ローンは死亡保険がセットされていることが多く問題はないかと思います。付保されているか否か確認が大切です。

5. アパートの借入金は要注意


問題は相続税対策で建設したアパートの借入金の引き落としがあるときです。

銀行によりますが、自行の債権回収のため分割協議書ができるまで故人の通帳から引き落としを行ってくれるところもあるようです。

一応、連絡の取れる相続人から承諾はいただくようですが…

故人の通帳に数か月分の返済金がある場合は、その方法が一番簡単かもしれません。

死亡後、相続人が銀行に行き相談することをおすすめいたします。



6. 賃貸収入もストップされる?


「ストップされます。」

本来はアパートを誰が相続するのか決まらないと管理会社からも入金をしてくれません

返済のため早く入金口座を決めたいときは、暫定的に、誰の口座に入金するのか「相続人全員からの承諾書(印鑑証明添付)」が必要です。
入金口座はあくまでも返済のための預かり口座であり、誰が相続するかを決めるものではない

ということをはっきり言っておかないと、この承諾書をもらうのは難しいです。

相続手続きは、銀行など債権者の意向もくみながら行動しなければうまくゆきません


同居していない場合

故人と同居していない人がいないと、債務に相続人が気付かないこともあります。

書類がきちんと届くように、郵便局に転送の手配をしておくのもよいかもしれません。

公共料金の支払いなどは、連絡すると納付書を郵送してくれますので代表相続人が銀行やコンビニなどで支払えば大丈夫です。


債務を放置しない



死亡後の債務の手続きは相続人全員の署名は不要です。

とりあえず支払う方と手を挙げた方が払っていただければ問題ありません。

いずれにせよ、こういった故人の債務を放置しておくと相続人の全員の問題として残ります

他の相続人が支払うことになるかもしれない場合


他の相続人にも立替金であり、後日他の相続人が支払うこともあります。

大きな問題にならないように

・ 精算するお金があることを相続人全員で共有する

・ 立替え払いをする場合は相続人全員で打ち合わせる

ということが大切です。(執筆者:橋本 玄也)

「生前贈与」で相続税の負担を減らす3つの対策と注意点

関心が高まる「相続税対策」



2015年に相続税が増税されて早2年が経過しようとしています。

少子高齢化と今後の増税が見込まれる今日、高齢世代だけでなく、現役世代も相続税対策を意識しています。

そんな中で関心を集めるのが「生前贈与で相続税を減らす方法」です。

どのような方法があるのでしょうか。


対策1 毎年、暦年贈与を行う

生前贈与への贈与税課税には2種類あります。
1. 暦年課税
2. 相続時精算課税制度

「暦年課税制度」とは、毎年1月1日から12月31日までの間に贈与が行われた場合、受け取った財産について課税される制度です。

課税される金額は、「贈与する人がいくらあげたか」ではなく、
「贈与された人がいくら受け取ったか」

で決まります。

この制度では、1年間の間に受け取った財産の金額が110万円までなら贈与税はかかりません

そのため、この制度を上手に活用し、相続税を節税している人もかなりいます。

注意点


毎年この制度を活用する場合は要注意です。

毎年贈与している場合、その贈与した単年の金額ではなく、
「贈与する金額全体を分割して定期的に受け取る権利」
が贈与されたとみなされるからです。

たとえば、10年間毎年110万円を贈与していた場合、各年の110万円が贈与税の非課税となるのではなく、総額の1,100万円が受け取る権利の金額として贈与税が課されます

心配なら、毎年贈与契約書を作成しておくとよいでしょう。




対策2 相続時精算課税制度の活用

「相続時精算課税制度」とは、生きている間に2,500万円まで贈与しても贈与税が課税されない制度のことです。

この制度は、相続税の納税額が、相続する財産の価格によって上下します。

相続開始時(=財産の持ち主がなくなる時点)において、今より値上がりしていそうな資産だと節税対策として使えます

今2,000万円の土地が、相続開始時に3,000万円になりそうならば、この制度を活用して生前に贈与すれば、贈与税も相続税もかからずに済みます。

活用条件


メリットが大きい分、条件も厳しくなります。

その条件とは次の通りです。

・ 受贈者は20歳以上の子や孫、贈与者は60歳以上の祖父母や父母など直系の血族である

・ 一度、当事者間で相続時精算課税制度を選択したら、二度と暦年課税制度は使えない

110万円の金銭をあげる場合でも、相続時精算課税制度のみが対象となるということです。

・ 2,500万円以上になったら、その超えた部分については一律20%の税率で贈与税がかかる

また、資産の価額の先行きも注意事項として検討しておきたいところです。


対策3 贈与の非課税制度の活用

近年、高齢者世代の資産を現役世代へ移転させる目的から、その促進を担う税制が施行されています。

それが贈与税の非課税制度です。主なものに次の3つがあります。

1. 教育資金一括贈与の非課税制度(上限1,500万円)

2. 住宅取得等資金一括贈与の非課税制度(省エネ住宅は上限1,200万円、それ以外は上限700万円)

3. 結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度(上限1,000万円(内、結婚資金は上限300万円))

いずれも現役世代の大事なライフステージにおいて、贈与が非課税で受けられればありがたい内容です。



活用条件


こちらもメリットが大きい分、条件もそれぞれ細かく設定されています。

・ 受贈者が贈与者の直系卑属である

・ 年齢制限、教育資金と結婚・子育て資金については信託にしなくてはならない

「住宅取得等資金」については所得制限なども条件として掲げられているので注意が必要です。

さまざまな贈与税制度の活用方法がありますが、それぞれに注意点もあります。

活用前に、家族内で十分に話し合い、検討した上で活用していただきたいものです。(執筆者:鈴木 まゆ子)

相続した不動産の売却 取得費加算の特例とは?

Q:不動産を相続したあと、その不動産を売却する際に、取得費加算の特例が使えるといわれましたが、これはどういった制度でしょうか?


解説

不動産等を相続した際に納付した相続税のうち、その相続した不動産等にかかる部分は、譲渡所得の計算上、取得費に加算することができます

これを取得費加算の特例といいます。

1. 取得費加算の特例を受けるための要件


(1) 相続や遺贈により財産を取得した者であること
(2) その財産を相続した人に相続税が課されていること
(3) その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3 年を経過する日までに譲渡していること(契約が完了していれば、実際の引き渡しが期間外でも適用可)

2. 具体例


相続で取得した財産とそれぞれの財産に対応する相続税が下記であったとします。この相続により、納付した相続税は600 万円です。



要するに…

取得費加算の特例は相続で取得した不動産や有価証券などを売却して譲渡益が発生する際に、税金を減らすことができますので、忘れずに適用を受けましょう。

そのためにも、相続税の申告期限から3 年という期限に注意しましょう。(執筆者:小嶋 大志)

【読者(妻30歳 子4歳)の質問に回答】ひとり息子である夫の親と絶縁関係 夫が親より先に死亡した場合、私は遺産をもらえない?

想定外の順で相続が発生すると



相続は、いつ発生するか分かりません。

順番が狂うことで想定外の相続人と遺産分割の話し合いをする事になるのもよくあることです。

親と子の相続の順番が入れ替わった場合、相続人が誰になるのか一度確認しておくのも大切な事かもしれません。
相談者 渡辺佳代子(仮名)さん(30歳)
・ 夫 渡辺陽一(仮名)さん(32歳)
・ 子供(4歳)
・ 夫の両親は健在
夫は一人っ子ということもあり、結婚当初は夫の両親と同居していました。夫の両親も嫁である佳代子さんのことを大切にしてくれていました。

数年後…嫁姑の仲がうまくいかなくなり嫁である佳代子さんは夫と、子供を連れて夫の両親の家から飛び出しアパートで暮らすようになりました。よくある話です。

この場合、
夫の父親が亡くなった場合はどうなるのか
考えたいと思います。



相続人はだれ?


年齢順であれば、相続人は配偶者(夫の母)と子(夫)です。



相談者の佳代子(夫の嫁)さんは相続人となりません

夫が遺留分減殺請求でもすれば別ですが、相談者は夫の親からの財産を引き継ぐのは容易ではありません

しかし、陽一さんに渡った財産はいずれ相談者の陽子さんに財産が渡る可能性があります

嫁姑の仲が本当にこじれていると、夫(陽一さん)が父にあえて遺言書を書いてもらい孫へ遺贈させることを考えるかもしれません。


順番が狂う想定外なケース

夫が父より先に亡くなった場合
この場合の相続人はだれでしょう?

回答:相続人は配偶者(夫の母)と子(夫)の子(相談者の子)です。



本来、相続人は配偶者である「夫の母」と「夫」ですが、夫が父より先に亡くなっている場合は代襲相続が発生し相談者の子が相続人となります

やはり夫の妻である相談者は相続人になりません

相談者の子が未成年である場合


相談者の子が、遺産分割協議書作成時に 未成年であった場合には問題が発生します。

未成年の子は、原則法律行為ができないため、
親権者である渡辺佳代子さんが相続に参加する可能性があります

そうなると姑の心は穏やかではありません

相談者(妻)が離婚してた場合


相続人は配偶者(夫の母)と子(夫)の子(相談者の子)です。



相談者が夫と離婚していても、相談者は親権者として夫の父の相続に関わります

離婚はよくある話です。

離婚による子供への影響までは考える方は多いと思いますが、実は、元夫の両親の相続にまで影響するのが相続の怖いところです。(執筆者:橋本 玄也)