投資哲学

資産運用をもっとシンプルに 中長期での資産形成に大切な考え方をお伝えします

2018年も1か月を過ぎようとしています。

新聞や雑誌の特集でも、「2018年の注目銘柄」や「2018年の年末株価や為替予想」などが多く見られます。

専門家の予想が当たるかどうか、非常に楽しみにしています。

そこで今回は、短期的な株価や為替に焦点を当てるのではなく、中長期での資産運用の重要性と考え方をお伝えします。




株式投資とは

株式投資とは、どのようなものでしょうか?

多くの日本人にとって、株式投資は、以下のようなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

1. どの株を買ったらいいかわからない
2. 損をするかもしれないので怖い
3. 投資をするような多額の資産がない

しかし、本来の正しい株式投資とは、上記のようなイメージとは全く異なるものなのです。

まず、株式投資を理解するために、株式会社とは何かを考えましょう。

世界初の株式会社


世界初の株式会社は、1602年にオランダで設立された東インド会社です。

東南アジアで高価なコショウなどの香辛料を取り、欧州へ持ち帰って販売するというビジネスモデルです。

しかし航海は、荒波による船の沈没や、海賊に襲われたりする可能性もあり、非常に危険なものです。船をつくるのにも莫大なお金が必要でした。

1人で全てのお金を出してビジネスをするよりも、多くの投資家が少しずつお金を出し合って、ビジネスが成功したら、出資した割合に応じて利益を分け合いましょう


というのが、株式会社の始まりです。これは現在の株式会社でも同じことです

あなたは、今後、爆発的にヒットするビジネスアイディアを思いつきました。

しかし、お金は持っていません。銀行も、実績のないあなたに、多くのお金を融資してくれません。

そんな時、投資家が登場します。

「あなたのビジネスアイディアは素晴らしい。投資家の仲間に声をかけるから、少しずつ出資をするよ。出資したお金は、あなたのビジネスが失敗してしまったら、返済の必要はないから、頑張ってビジネスをしてみてね。もし成功した時は、出資したお金に応じて、利益を分けてくださいね」

という図式です。


投資家は会社の未来に期待する

上記で見てきた通り、投資家は会社の未来に期待をして、株式を買うわけです。

具体的に言えば、今年よりも来年、来年よりも再来年と、毎年毎年、売上と利益を増やしていくことを期待しています。

上場会社の経営者は、株主の期待に応えるために、毎年利益が上がるように経営をする必要があります

営業マンであるあなたの目標が毎年アップするのは、投資家の期待に応えるためかもしれませんね。では、投資家の利益とは何でしょうか?

1. インカムゲイン(配当金)
2. キャピタルゲイン(値上がり益)

投資した会社のビジネスが成功すると、企業の利益が増えます。

余った利益の一部を、投資家に配当金として還元します。

そして、ビジネスが成功している会社は、当然ですが、さらなる投資家が株を買いたいと集まります。

株を買いたい投資家が多くなれば、株価は上がります。株価が上がった株を売却すれば、売却益が投資家に入るという図式です。

このように、多くの投資家が少しずつ資金を出し合って投資をすることは、多額の資金がなくてもできるはずです。




株式投資の期待収益率はプラス

株式投資をギャンブルのようにとらえている方もいますが、株式投資の期待収益率はプラスです。

一方、カジノや競馬、競輪や宝くじなど、ギャンブルとよばれているものの期待収益率はマイナスです。

期待収益率とは、長い間、あるものに投資をした結果の平均的なリターンのことです。

短期的な結果は分かりませんが、期待収益率がプラスということは、中長期で投資をし続ければ、平均的には利益が出ることを意味します。

反対に、期待収益率がマイナスのものに長年投資をし続ければ、最終的には損失が出るということです。

ではなぜ、株式投資の期待収益率はプラスなのでしょうか?

1. 経営者が投資家の期待に応えようとする経営姿勢
2. 各国政府の金融政策

基本的には、経営者は投資家の期待に応えようと、常に増収増益になるように会社を経営しようとします。

そして、努力をしたにもかかわらず、ビジネスがうまくいかなかった場合には、各国政府が手助けをします。

具体的には、景気が悪くなると、金融緩和を実施します

金利を引き下げて、私たちが安くお金を調達できるようにします。

安い金利でお金を借りることができれば、融資を受けてビジネスをすることが可能ですね。

すると、さまざまな新規ビジネスが立ち上がり、経済が活性化します。

では、反対に景気が良くなりすぎた場合には、金融引き締めを行います。

具体的には、金利を引き上げて、バブルにならないように経済をコントロールするわけです。

そのため、5年も10年も全世界が景気が悪いということはないのです。

ちなみに、国際通貨基金(IMF)が発表した2018年の世界経済成長率は3.9%です。


分散投資が大原則

マネーコンサルをしていて、一番多い質問が、「どの株を買ったらいいかわからない」というものです。

このような方には、資産運用をもっとシンプルに考えていただきたいと思っています。

現在、日本の上場会社は約3,600社あります。

3,600社の企業の中から、優れた投資先を選ぶためには、当然ですが、企業の財務分析や経済全体の状況、そして同業他社を比較したり、投資のタイミングを計るため、テクニカル分析(チャート分析)などをする必要があります。

しかし、このような作業は、非常に時間がかかりますし、難しい知識も必要です。分析をしたからといって、必ず当たるわけでもありません

個別銘柄への投資は、3,600本の木が生えていて、その中から光り輝く1本の木を探すようなものです。

これでは、難しくて資産運用など行えません。「木を見て森を見ず」では、資産は増えません



では、どのように資産運用を行えば良いのでしょうか?

それは、「森を見て木を見ず」というスタンスで、資産運用を行うことです。

具体的には、投資信託やETFを活用し、さまざまな国や企業、株式や債券、不動産などに分散投資をすることです。

どの森にお金が集まっているのかを考え、森ごと買ってしまえば、その中に必ず光り輝く木は入っています。

しっかりとした金融知識を身に付け、正しい資産形成を行えば、あなたの資産は着実に増えていきます。

もちろん、短期的には損をすることもあるかもしれません。しかし、資産運用は植物を育てるのと同じです

肥料を与え、水をやり、日光を浴びせて少しずつ植物が成長するように、あなたの資産も、じっくり時間をかけながら、少しずつ増やしていきましょう。(執筆者:渡邊 一慶)

株式相場のクセや経験則(アノマリー)は本当か調べてみた

株式相場におけるアノマリー

株式市場においては「なぜそう動くのかは分からないが、なぜかその時が来ると、株式相場が前もって決められたように動く」ことがある。  

株式投資の経験がある方なら、以下のような言葉を聞いたことがあるのではないか?!




「未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い」

未年は相場が膠着し、なかなか上昇しないことが多く、申年と酉年は、相場のブレが激しく、戌年は相場が上昇する。

というアノマリーである。


「Sell in May, and go away(5月に売り逃げろ)」



日経平均株価は、11月から翌年4月までは上昇する傾向が強く、5月~10月は停滞あるいは下落する確率が高いというアノマリーである。

年によってバラツキはあるが、この株価変動の季節性については、手掛かりとなる要素がいくつかある。

1. 日経平均が連動しやすい米国の株式相場との関連性
米国では個人の税金還付が1月にはじまり、2月~3月にピークとなり、個人が投資に回すお金が増える時期。

2. 日本国内では3月期決算発表前に先行して、業績がよさそうな企業に資金が振り向けられる傾向がある。

3. 4月の新年度入りに応じて国内機関投資家が、資金を投資に振り向ける時期と重なる。

4. 特に夏の時期は、欧米投資家が長期休暇を取るため、買い手が減る傾向がある。

過去50年でみると、日経平均を「10月末に買い、翌年4月末に売った」場合の成績は、37勝13敗、勝率はなんと74%、平均リターンは8.3%

「4月末に買い、10月末に売った」場合の成績は、26勝24敗、勝率は52%、平均リターンはマイナス0.4%

アノマリーはバカにできないことは明白だ。

「5月に売り逃げろ」というアノマリーには続きがある。

「Don’t come back until St Leger day」

「セント・レジャー・デー(9月の第2土曜日)まで戻ってくるな」

これは、ウォール街の相場格言だ。

ちなみに、今年は笑う戌年! 今年の株式相場は、アノマリーどおりになるのか?(執筆者:釜口 博)

「となりの億万長者」から学ぶiDeCoの投資法 株価を毎日追わないじっくりとした「投資」が可能に

お金に関する雑誌などを読んでいると、「億万長者は○○の習慣がある」や「億万長者は○○を保有している」など、億万長者の特徴について紹介した記事をたまに見かけます。

おそらくその記事の筆者の体験談をもとに書かれているので、間違った情報ではないと思うのです。

しかし筆者の方が実際に会ったり、話を聞いたりしたことのある億万長者の何人かが、たまたまそういう特徴を持っていただけであり、億万長者の普遍的な特徴ではない可能性もあります

また普遍的な特徴でなければ、それを一生懸命にまねしたとしても、お金持ちにはなれません


個人型の確定拠出年金に加入すれば、億万長者の思考法を実践できる

億万長者の普遍的な特徴について、もっとも信憑性の高い情報を紹介していると思ったのは、「となりの億万長者」(著:トマス・J・スタンリー&ウィリアム・D・ダンコ、訳:斎藤聖美)という本です。






その理由として500人以上の資産家に対するインタビューと、1万1,000人以上の資産家や高額所得者に対するアンケート調査を元にして、執筆された本だからです。

初版が発売されたのが1997年のため、情報が古くなっている部分があり、またアメリカの億万長者に対して、インタビューやアンケートを実施しているため、日本では参考にならない部分もあります。

しかしこの本の中に記載されている、億万長者の思考法などについては、時代や国を問わず十分に役立つと思うのです。

またあらためて読み返してみると、個人型の確定拠出年金(以下では愛称に決まった「iDeCo」で記述)に加入すれば、この億万長者の思考法のいくつかを、自然に実践できるのではないかと思いました

結果としてお金がたまりやすくなりますが、億万長者の思考法とは次のようになっております。


億万長者は収入から貯金する分を取りわけ、残ったお金で生活する

億万長者は

お金をためるため、時間をかけてきちんと計画を立て、予算を組み、支出をコントロールしている

ようです。

しかしその一方で計画を立てずに、支出をコントロールしている方もおり、その方法について「となりの億万長者」には、次のように記載されております。

予算を立てない億万長者の過半数は、まず最初に収入から貯金する分を取りわけてしまい、残った金で生活するのだ。「何はさておき貯金」方式である。この方式をとる人は、収入の最低15%を貯蓄に回している。


iDeCoに加入する際は、口座振替により毎月拠出する掛金の金額と、その掛金で購入する金融商品(定期預金、投資信託、保険など)を決めます。

その後は途中で止めない限り、定期的に掛金が引き落としされ、自分で決めた金融商品が自動的に購入されます。

そうなると残ったお金で生活する必要があるので、仕組みとしては予算を立てない億万長者が実践している、「何はさておき貯金」に近いものになるのです。

ただ拠出できる掛金の金額には上限があるため、収入の15%を拠出するのは難しいかもしれません。

また拠出した掛金とその運用益は、原則として死亡したり、障がい状態になったりしないかぎり、最低でも60歳にならないと、引き出せないルールになっております

ですからいつでも引き出しのできる普通預金などと合わせて、最低15%は貯蓄するというルールにした方が、急にお金が必要になった時に対応できます。


億万長者は株を保有しているが、株価の上げ下げを毎日追わない



預貯金だけではお金が増えない時代のため、投資の必要性を感じている方は、以前より増加しているのではないかと思うのです。

実際のところ「となりの億万長者」の中には、次のような文章が記載されており、億万長者は投資に熱心だとわかります。

私たちが調査した億万長者の95%が株を所有しており、大半の人が資産の20%以上を上場株に投資している。

だが、頻繁に株を売ったり買ったりしているわけではない。株式市場の上げ下げを毎日追っているわけではない。

証券会社に毎朝電話して、ロンドン市場の様子を聞く人はほとんどいない。新聞の記事を読んで株を売買することもない。


iDeCoでは個別株は購入できませんが、株が組み入れられた「株式投資信託」は購入できます。

またiDeCoを通じて購入できる株式投資信託は、数本に限定される場合が多いのですが、初心者の方は種類が少ない方が選びやすいと思うのです。

しかも上記のようにiDeCoは、最初に決めた金融商品を、定期的に購入していくため、株価の値動きを数時間、または数日おきにチェックして、購入のタイミングを判断する必要はないのです。

そのため株価の上げ下げを毎日追わない、億万長者のようなじっくりとした投資ができるのです。


億万長者はお金を増やすため、税金を取られないための対策をしている

最近は新聞やテレビなどを見ていると、増税の話題が非常に多く、増税になれば手元に残るお金が少なくなります。

そのためお金を増やすためには、できるだけ税金を取られないようにするのですが、「となりの億万長者」に記載されている次のような文章を読むと、億万長者はこの点に関して、かなりの対策をしているとわかります。

アメリカの一般的な世帯の現金所得は毎年3万5,000から4万ドルの間で、この金額は純資産の90%に相当する。

そして資産の10%以上に相当する金額を所得税として納付している。

一方、私たちが取材した億万長者はというと、所得税として支払うのは資産の2%ほどの金額である。

だからこそ、彼らの資産はいよいよ増えていくのだ。


投資で儲かると所得税が15%、住民税が5%、復興特別所得税が0.315%取られるため、投資によって発生した儲けの2割程度は、手元に残らないのです。

しかしiDeCoを通じて投資をすると、儲けに対して課税されないため、手元に残るお金が多くなります

またiDeCoは「掛金を拠出する段階」や、「拠出した掛金とその運用益を受け取る段階」でも、税制面で優遇されているのです。

このようにiDeCoに加入すれば、税金の知識があまりなくても、税金を取られないための対策ができるため、その分だけお金が増えていきます。


億万長者の生活スタイルを見習い、まずは倹約から始めてみる



一般的にお金持ちと言うと、派手な車を何台も保有し、豪華な家に住んでいるイメージがあります。

しかし「となりの億万長者」を読むと、それはマスコミが作り上げた、間違ったイメージだとわかります。

つまり本当のお金持ちはかなりの倹約家で、収入よりはるかに少ない支出で生活しているのです。

iDeCoの掛金を拠出するだけの金銭的な余裕がないという方は、このような億万長者の生活スタイルを見習って、まずは倹約から始めてみてはどうでしょうか?(執筆者:木村 公司)

「金融商品」選びで気をつけたい5つの心理効果 知らず知らずに判断を誘導されている例を紹介

人の購買行動は、一見、合理的・理性的に行われるように見えて、実は感情に左右されたり、無意識に心理的な影響を受けて判断を誘導されていることも多いものです。

実際、店舗や広告などでは、マーケティング効果を高めるため、さまざまな心理効果が活用されています。

これは金融商品も同じで、資産形成や保障設計などの大きなお金の意思決定においても、知らず知らずに判断を誘導されていることがあります

今回は金融商品の購買行動と心理効果の影響について紹介したいと思います。




1. 見た目が大事、フレーミング効果

「同じ内容でも表現の仕方で相手に与える印象を変える事ができる」という心理効果をフレーミング効果と言います。

例えば、次の場合どちらが糖質制限効果を高く感じるでしょうか?



たぶん、(B) 糖質70%カットの方がより糖質制限効果が高いように感じられるのではないでしょうか?

では、次の場合どちらが「少し頑張れば」とやる気になるでしょうか?

(A) 1か月6,000円の節約で、年間7万円たまる
(B) 1日200円の節約で、年間7万円たまる

この場合、(B) の1日200円の節約の方がより小さな努力で大きな効果という風に感じ、やる気になりやすいのではないでしょうか?

ビールの例も、節約の例もAとBは同じことを言っていますが、表現の仕方が異なれば受ける印象が変わりますね。

大きく感じさせたいときは大きい数字を、小さく感じさせたいときには小さい数字にする


というのがポイントのようです。

では、投資信託の手数料として次のように説明された場合はいかがでしょか?

(A) 販売手数料は3%です。
(B) 100万円分購入すると販売手数料は3万円です。

AとBの説明ではどちらが手数料を高く感じますか?

「3%」と割合で言われるのと、「3万円」という金額で言われるのとでは、たぶん「3万円」の方が高いと感じたのではないでしょうか

これは「3」より「3万」の方が数値として大きいということもありますが、割合(%)より金額(円)で表現された方が、実感できるという効果もあると思います。

例えば、投資信託を購入するとギフトカードがプレゼントされる、下図のようなキャンペーンを見たらどう思うでしょうか?



まず、1万円に目が行くと思いますが、この投資信託を1,000万円分購入した場合の販売手数料は1.5%ですから、15万円かかります。

15万円払って1万円もらえると思うと一気にお得感は薄くなりませんか?

では、同じ内容を下記のように表現されたらいかがでしょうか。



今度はプレゼントのギフトカードよりも手数料の金額の大きさに目が行きませんか?

同じ内容でも見せ方によって受ける印象が大きく違いますね。

住宅ローンの金利や投資信託等の手数料の説明を%で済まされてしまうと、実はその金額の大きさを実感できていないものです。

「年間でいくら手数料を支払うことになりますか?」

「35年払い続ければ総額でいくら利息をはらうことになりますか?」

と金額で確認するようにしていただくと、フレーミング効果の影響を受けず合理的に判断を下すことができると思います。


2. みんなで渡れば怖くないバンドワゴン効果

「多数の人がある選択をしている場合、その選択は他の人にも受け入れられやすくなる」という心理効果をバンドワゴン効果といいます。

例えば、飲食店の前に行列ができていたら「おいしい店」との印象を持ったり、「記録的大ヒット」と言われる映画は見たくなるのではないでしょうか。

「売れ筋ランキング」で上位に入っていた投資信託を「人気商品」と紹介され、投資対象やリスクなど理解できないまま購入したという話もお聞きします。



「人気の投資信託ならきっと良い商品に違いない」と思い込み、詳細を確認せずに購入してしまったという場合は、まさにバンドワゴン効果が働いています。

しかし、「人気の商品」があなたに合う商品とは限りません

運用目的が異なれば適する金融商品は異なりますし、総資産が3,000万円ある方の100万円と300万円の方の100万円とではとれるリスクも違います。

「人気」という理由だけで購入した金融商品は、評価損が出ている時はただただ不安になったり、評価益が出ていても「売り時」に気づかないということにもなりかねません。

売れ筋や人気よりも、自分のニーズやリスク許容度に適しているかを重視して選んでいただき、どんな時にどんな値動きをするのかといった仕組みを理解しておきたいものです。


3. 親近感で選んでしまうザイオンズ効果

人は接触回数が増えるにつれて、親近感や好意を持つようになる」という心理効果をザイオンズ効果と言います。

例えば、広告やCMで見慣れた商品は、店頭で初めて見る商品より買いやすかったり、ドラマの主題歌など何度も聴くうちに好きになっていくなどの経験はありませんか?



今まで全く運用に興味がなかった方も「NISA」や「iDeCo」の言葉をテレビCMや金融機関のポスターなどで頻繁に目にするうちに、なんとなく身近に感じるようになったという方もいらしゃるかもしれません。

また、投資信託を馴染みの銀行や郵便局で買っているという方も、ザイオンズ効果が働いているかもしれません。

これまで証券会社と付き合いがなかった方が、「銀行なら」と窓口で勧められ投資信託を購入したというお話をお聞きします。

慣れ親しんだ金融機関で紹介されると抵抗感が薄れ、ハードルが下がるもののかもしれませんが、購入している商品は投資型の商品であることを理解しておきましょう。

また、投資商品の品揃えの面では、銀行より証券会社の方が充実しています

情報提供等の面でも「餅は餅屋」という側面もありますので、証券会社を利用するという選択肢もあると思うのですが、「慣れたところで」という方が多いように感じます。

このようなケースは、ザイオンズ効果によって選択の幅が狭められている例と言えそうです。


4. 反報性の法則

人は良くしてもらった相手に、何らかの恩返しをしたくなる」という心理効果を反報性の法則と言います。

試食したら買わないと悪い気がしたり、無料体験などのサービスを受けると商品説明を聞くのを断れないなどの経験はありませんか。

「何度も足を運んでくれたから」、「長時間丁寧に説明してくれたから」という理由で、保険に加入したというお話しもよくお聞きします。

そんな気持ちになった時は「反報性の法則が働いている」と冷静になって、「金融機関の方はそれがお仕事」と割り切って考えるようにしてはいかがでしょう。


5. ミルグラム効果

権威者の指示には盲目的に従ってしまう」という心理効果をミルグラム効果と言います。

例えば、著名人や医学博士など権威ある人が推奨していると「良い商品であろう」と信頼したり、人気女優さんが愛用している化粧品は奇麗になれそうな気がしますね。

「NISAや確定拠出年金は国が推奨する制度です」と説明を受け、安心したり、あるいは「やらねば損」かのように感じたという声もお聞きします。

NISAや確定拠出年金は、「貯蓄から投資へ」、「公助から自助へ」の方針に基づき、国が個人の投資に対して、税制等のメリットを提供している制度です。

投資から生じた利益が非課税になったり、手数料が無料または安いなどのメリットがありますが、投資は自己責任、損失が出ないという保障はありません

来年からつみたてNISAも始まりますが、「国が推奨している制度だから」と盲目的に利用しようとしていたら、それはミルグラム効果が働いているのかもしれません。

「NISAがあるから投資をしよう」ではなく

「投資をするならNISAを利用しよう」

と、資産形成の一部として投資型の商品(プラスにもマイナスにも振れるリスクのある金融商品)を活用するという目的で、税制優遇等のメリットがある制度を利用するという風に考えるのが合理的な意思決定ではないでしょうか


後悔しない金融商品選びのために



あなたはリンゴを買う時、どのようにリンゴを選んでいますか? 特に何も見ずに買い物カゴに入れていますか?

セミナーでこう尋ねると、人それぞれいろいろな答えが返ってきます。

・ 産地や品種
・ 価格
・ 色艶がいいもの
・ 表面に筋があるもの
・ お尻まで赤いもの
・ 軸が太くてしっかりしているもの

スーパーで観察してみると多くの方が、目視で「これは!」と目を付けたものを、片っ端から手にとって、ひっくり返したり比べたりして選んでいます。

このように日頃の購買行動では、100円前後のものを選ぶのに、慎重に比較検討するという購買行動をとっています

にも関わらず、数百万円の投資や、保険料を払い続けたら500万円以上になる保険などは、「よく分からないまま、なんとなく契約した」という方も少なくありません

不思議な気もしますが、私もかつてはそうでした。

人は知識がないもの、つまり比較検討する際の基準がないものについては、前述したような心理効果の影響をより受けやすくなります。

自分にどんな商品があっているか分からないから「人気商品」で安心する。

金融商品の何をチェックすれば良いか分からないから「良い人」から買う。

経済の先行きや為替の動向などを言い当てるのは、専門家でも判断は難しいことです。

しかし、自分の運用目的にはどのような商品性の金融商品が合うのか、その商品性を知るために確認すべきポイントは何かという資産運用の基礎知識を学んでおけば、「良くわからずに大金を投じてしまった」というような後悔は避けられると思います

野菜や果物を選ぶように、厳しい目で金融商品も選べるようになると、「自分で考えられる安心」を得て投資と付き合えるのではないでしょうか?

また、多くの人がこのような目を持てば、顧客本位の良い保険や金融商品が提供されるという社会的効果も期待されます

とにかく、興味をもった金融商品については、分かったふりなどせず、実感をもって理解できるまで話を聴くようにしましょう。(執筆者:小谷 晴美)

「投資」に関する教育で日本は大きな遅れを取っている ~人生100年時代を生き抜く教育とは~

はじめに

ようやく英会話の授業が必修科目に入る日本。他のアジア圏から10年もの遅れを取ってしまいました。

中学から英語を勉強しても話せる人はごくわずか。

小学校から英会話に慣れ親しむことで、実用的な英語が身につくのではないでしょうか。

もう少し早ければ、東京オリンピックに間に合っていましたね・・・

英会話だけではありません。

「投資」に関する教育も日本は大きな遅れを取っています



一生懸命、働いてお金を稼ぐ、または節約をしてお金を減らさないといったことに美徳を感じる方は多いのですが「お金を増やす」ための知識を持っている方は少ないと感じます。

そこで、今回は「投資教育の必要性」についてお伝えしたいと思います。


投資教育とは

投資とは簡単に説明するのであれば
「利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下する」ことです。

日本では、投資というものをリスクが高いギャンブルであると捉えがちですが実際には将来を見越した計画性のある安全な資産運用のことを指します。
日本投資家育成機構HPより)


金融庁のホームページにも投資教育の必要性について以下のように記されています。

【投資教育の必要性】
パーソナル・ファイナンスにおける投資教育の重要性
・ パーソナル・ファイナンス(個人の生活設計)
  における資産形成に証券投資は欠かせない。
・ 投資教育は、個人の資産形成と市場経済が
  円滑に機能するうえで重要なインフラである。



パーソナル・ファイナンスの目的資金と対応する証券投資商品の例



≪画像元:金融庁HP


海外(特に米国・英国)では「投資」に関する授業は進んでいます

小学生の頃から、クレジットカードとデビットカードの違いや投資とはどんなものなのかといった概念について学び、中学校では株式や利子率、キャピタルゲインなど、高校生では利回りやさまざまな金融資産について学びます。

大学を卒業した頃には、「初任給をどこに投資するか」を考える知識がすでに身についているのです。

日本はどうでしょう?

学校で投資を学んだという方は少ないのではないでしょうか。

現在、確定拠出年金の制度を導入している企業にお勤めが決まると入社前に年金の運用先を選ぶように言われます。

「年金の運用先?」

「アクティブ? インデックス?」

頭の中にクエスチョンマークがたくさんつきませんか?

「両親に聞いても、分からないので教えてください」

というご相談も増えています。

日本の教育課程には「投資教育」がなかったため仕方のない話だと思います。

しかし、日本の年金制度や今後の経済成長を考えると何もしない」ということのリスクの方が高いと感じています。


人生100年時代



65歳で定年。

現在の平均寿命で考えても、その後のセカンドライフは約15年~20年以上ととても長く、そして年々その期間は伸びています。

お子様たちの将来は平均寿命100歳も考えられます。人生100年時代を迎えるのです。

今後の増税や物価上昇を考えるとお金を稼ぎ、ためているだけでは長いセカンドライフの資金に不足分が生じてしまう可能性があります。

「投資」とは将来のための計画性のある資産運用です

人生100年時代を生き抜く為に、特にお子様達には「投資教育」を受けていただき、自分自身のお金を増やす知識を身につけて実践して欲しいと思います。

投資教育の仕組み作りは国や私たちFPが取り組む課題となっています。

現在のところ、皆さんが投資教育を受けるには金融機関やFP等が行うお金のセミナーや投資勉強会などを活用していただくと良いでしょう。

他にも投資ゲームなどがありますのでまずは投資に興味を持ってもらうことから初めてみてはいかがでしょうか

投資ゲーム


今も昔も「人生ゲーム」でご家族やお友達と楽しまれたことはありませんか?

お金を稼いだり、家族が増えたり、人生のさまざまなエピソードとお金を面白くゲーム化していますよね。

投資教育に活用できるカードゲームも出ています。

GoodMoneygerさんが提供している「アセットアロケーション」というカードゲームは遊びながら経済の基本的な仕組みを理解できるカードゲームです

学生さんや大人の方も楽しみながら学べるツールになっています。



≪画像元:Good Moneyger


このようなゲームなどから投資に親しんでいただき、実際にはどのように資産を運用すれば良いのかを考える力が身につくと、「お金を増やす」ことにも抵抗がなくなると思います


おわりに

これから少子高齢化がさらに進みます。

少ない子供達が多くの高齢者を支える日本。

「支えた後は?」

子供達は自分自身の100年時代を生き抜いていくことができるでしょうか。

私たち大人が、子供達の将来を考えて投資教育の場を提供してあげることは必須だと感じています。
子供達が安心して将来を迎えられる為に自分自身で計画的に資産運用ができるように


そのために必要な「投資教育」について、少しでもご参考いただければ幸いです。(執筆者:藤井 亜也)

外国人投資家の買いに乗れ!インデックス投資で利益を上げるためのコツ

総選挙を与党大勝で終え、記録的な上昇を遂げる日経平均株価。ファンダメンタルズも良好で、今後も安定成長が見込まれます。

直近で発表された米7-9月期のGDP速報値は前期に引き続き3%台をキープ。外部環境も良好で、先進国のインデックス投資にはチャンスが訪れています。

今号では、インデックス投資で利益を上げるためのヒントをみなさまとシェアできればと思います。


投資部門別売買動向に注目。海外勢の資金フローが重要


日経225ファンドやTOPIX連動、あるいはJPX400連動ファンド。インデックスファンドには様々な種類があります。

これらに代表される日本のインデックスの値動きは、海外勢の資金フローに非常に大きく左右されるのです。

よって、海外勢の資金フローを読み切れなければインデックスファンドで大きく勝つことは難しいのです。

では、どのように海外勢の資金フローを読み解けばよいのでしょうか?

結論から言うと、投資部門別売買動向を参照します。投資部門別売買動向は東証のホームページや投資情報サイトで簡単に確認することができます。


直近の投資部門別売買動向を確認。海外勢の買いが買いシグナル


ここからは、直近の海外勢の売買動向を確認してみましょう。

26日に発表された10月第3週の日本株買い越し額は4,452億円。4週連続の買い越しになりました。

10月に入ってからの推移を確認しても、6,575億円、4,593億円と大幅な買い越し。まさに、海外勢が買い越したタイミングは、日経平均が上昇トレンド入りしたタイミングと合致します

もちろん、投資信託の5週連続買い越しや、信託銀行の買い越し等も各種インデックスの上昇には貢献しています。

しかし、過去の動向や買い越し額のインパクトを見ても、海外勢の動向が最も重要と言えるでしょう。


海外勢とは相反する動きをする傾向にある個人の動向


結論から言うと、海外勢と個人は相反する投資行動をとることが多いと言えます。

あくまで私感ですが、海外勢は個人投資家が不安を覚える、値下がり局面で買い上がる傾向にある。

一方で、個人投資家は、相場が落ち着き、安心感のある上昇局面で買いを入れます。

基本的に、海外勢は高値圏では売り方に回ります。よって、個人が買い方に回る上昇局面のクライマックスは、個人の買いを海外勢の売りが吸収してしまうのです

この個人の投資行動こそが、インデックス投資で勝てない最大の理由です。

上述したように、海外勢の買いがインデックス投資における買い場です。言い方を変えれば、個人が売り始めたときも買い場と言えます。

インデックス投資を考える方は参考にしてみてください。(執筆者:徳田 陽太)

お父様から相続した株が40年で20倍に 同じような成功はこれからでも可能か?

私の方が興奮した、ご相談者の話

お父様の残された株式の時価評価額を知っても、目の前のご相談者は淡々としたもので、
「はぁ…そうなんですか」
と、つぶやいたくらい。私の方がしばらくは興奮が収まりませんでした。




ご相談者の生い立ち

お父様は彼女が小学生の頃に亡くなり、残されたお母様と子供たちは会社の保養所に住み込み管理人として何年か暮らしたそうです。

生前、お父様は会社勤めの頃に、持株会で毎月自社株を積み立て購入していました。

それから40年余り


彼女は50代となりました。さて40年前、お父様の残された株式は、何倍になっていたと思いますか。

お父様が在職中持ち株会で10年位積み立て、その後はずっとほったらかしのままでした。

正確な取得金額は分からないものの、おそらく20倍位なのです。年率に換算すると約8%です。

お父様のいらした会社は吸収合併等で社名も変わりましたが、今も一部上場企業です。
「お父さんの形見」

「お世話になった会社に悪いような気がして…」
彼女もお母様も相続で受け取った株を売却することなく、株価の値動きを気にするでもなく、40年余り過ごしてきました

こんな方に出会うと、あらためて株式投資の意義、投資で成功するということ、株の持つパワーに感じ入ってしまいます。


彼女が株式投資で成功した理由はとてもシンプル



1. 株は一度持ったら売らない


株の収益に目が向くことなく、彼女もお母様もきちんと働いていた。

2. 40年間つぶれない会社の株だった


この分については、幸いでしたが、ここは一番重要です。
「40年なんて長すぎる」
「20倍なんてラッキーだった」
「これからはあり得ない」
おとぎ話のようなものと思われると思います。

いきなり、米国の話で恐縮ですが、アメリカの代表的な株価指数S&P500は、40年前の1977年12月末$95.1でした。

それが、2017年10月5日現在$2,552、なんと26倍以上です。その間の日本株は、日経平均でみると残念ながら米国の26倍には遥かに及びませんが、それでも4倍以上です。
「株は博打だ」
「株はギャンブルのようなもの、素人が手を出すものではない」
「たとえ儲かったとしても不労所得で真っ当なものではない」
株や投資信託などで運用することに抵抗感を持つ人は少なくありません。

しかし、株を短期的な儲けの手段とせず、会社の発展を願い長く保有し続ける彼女のような株主を不労所得狙いのギャンブラーとは言わないでしょう。

会社は株主に報いるよう業績の向上に努め株主も企業も、ともに成長する


今年セ・リーグ優勝球団の広島カープと、株主の関係もこのようなものでした。

広島東洋カープ設立資金は、株の購入を人々に広く呼びかけて集めた。(中略)株を持つことで、多くのファンがチームと一体になれると期待したのだ。なけなしのお金を出したから、観客の声援もヤジも激しかった。カープはそんな重圧を受け止めたからこそ努力を重ねて強くなり、広島復興の象徴になった。カープが説く「国民総株主」2017年8月2日 日本経済新聞 朝刊


≪画像元:広島東洋カープHP



同じような成功はこれから可能?

お父様のような成功(資産つくり)は、これからは無理なのでしょうか。

今は、日本株だけではなくて、世界中の株にも投資できます。むしろ投資の選択肢、運用手段は格段に多くなりました。

米国株価指数「S&P500」の投資信託はネット証券では、100円から積み立て買い付けが可能です。日経平均株価に連動する「日経平均インデックスファンド」も同様です。

日本株は1989年の最高値以来いまだに半値近くでダメだ、なんて思わないで下ください。

株式のように値動きのあるものに投資をするときに、有効な運用手段として毎月積み立て(ドルコスト平均法)があります。

それこそ、積み立て購入(ドルコスト平均法)であれば、最高値の時から始めたとしても長期積み立てでは収益が出ていることは証明されております

毎月2万円を40年積み立て運用


積立て元本960万円が、3%運用では約倍に、5%では3,000万円近くです。決して射幸心を煽る訳ではありませんが、現在の低金利が続く限り銀行預金では実現できません。

秘訣は、「国内外の株式や債券等に投資対象を分散し、長期の積立」です。できる金額で今すぐ始め継続することです。運用において一番の要素は、時間を味方につけることです。

時間の揺りかごの中でじっくり熟成されておいしく育って行きます。

「確定拠出年金」や、来年から始まる「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」を使えば、税制優遇のさらなるプラス効果も見込めます。(執筆者:平賀 初恵)