この記事では、平成29年分の贈与税の申告で「直系尊属(両親や祖父母)からの住宅取得資金贈与非課税制度」を利用したい方へ、簡単に贈与税の申告書を作成する方法をご紹介しています。
この制度を使って贈与税が「0円」になったとしても贈与税の申告は必須です。
贈与税の申告書の提出期限は平成30年3月15日ですが、期限内に申告をしないと認められない制度なのでご注意ください。
贈与税の申告書は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用して無料で作成ができます。
なお、同時に所得税について住宅ローン控除の確定申告をする場合については次の記事をお読みください。
関連 【画像あり】平成29年分 住宅ローン控除の確定申告書の書き方と申請方法
1.確定申告書等作成コーナーの事前準備
この流れでは、パソコンで行うことを前提に流れをご紹介します。
まずは国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を開いて、「作成開始」を選びます。
「税務署への提出方法の選択」画面になるので、「書面提出」を選びましょう。
※余裕がある方は「電子申告(e-Tax)」に挑戦してもいいですが、カードリーダーの購入(数千円)など負担があるので、個人的には簡単な「書面提出=紙で印刷して税務署に直接持参または郵送で提出する方法」をおすすめしています。
関連 電子申告(e-Tax)のメリットとデメリットは?私が郵送で提出をおすすめする理由
続いて、パソコンの環境について確認事項が登場します。最近買ったパソコンなら、最初の「下記のチェック項目については、すべて確認済みです」にチェックすればOKです。Windows7以上なら大丈夫です。
また、ブラウザはInternet Explorer(IE)、Microsoft Edge、Firefox、Google Chromeに対応していますが、いずれも新しいものでないとうまく動作しない可能性があるのでご注意ください。上手くいかない場合は他のブラウザを利用するのも手ですね。
今回は「贈与税の申告書」を作るので1番下の「贈与税コーナーへ」を選びます。
次の画面でも「贈与税の申告書作成開始」を選びます。
その下には「土地等の評価明細書」を作成するボタンがありますが、今回は関係ありません。
そして、「住宅取得等資金の非課税の適用」を選びます。
これで事前準備は完了です。
2.贈与税の申告書の作成方法
(1)提出方法の選択と生年月日
さて、ここから贈与税の申告書を作成していきます。
まずは作成する申告書の提出方法ですが、一般的には「印刷して税務署に提出する(=書面提出)」を選んでください。
e-Tax(電子申告)は事前準備が必要ですが、1回の贈与税のためにするにはまだ手間もお金もかかりハードルが高いのでおススメしません。
そして、自分の生年月日を入力しましょう。
(2) 適用する特例の選択
次の画面では、適用する特例の選択となります。
2つありますが、ふつうは「住宅取得資金の非課税の適用」を選びます。
さて、ここから「直系尊属(両親や祖父母)からの住宅取得資金贈与非課税制度」が本当にできるのかどうかのチェックしていきます。
(3) 非課税の適用要件チェック(その1)
1.平成27年分又は平成28年分の「住宅取得等資金の非課税」の適用有無を選択してください。
⇒平成27年・28年に既に1度住宅資金贈与の非課税のための贈与税の申告をしているかの質問です。ふつうは「いいえ」です。
2.資金の使途について選択してください。
⇒家を新築・購入するためなら「新築又は取得」をチェックします。リフォームの場合は「増改築等」です。
●「受贈者」に関する事項
3-1.あなたは、贈与を受けた時において贈与者の子、孫(直系卑属)ですか。
⇒両親・祖父母からもらっていれば「はい」
※義理の父・母からは対象外です。
3-2.あなたの平成29年分の所得税に係る合計所得金額は、2,000万円以下ですか。
⇒平成29年分の合計所得(=給料だけの人は年収から給与所得控除を引いた金額)はたいていの人は2,000万円以下だと思いますので「はい」
3-3.あなたは、平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがありますか。
⇒平成21年から26年の間に受けている方はほぼいないと思いますので「いいえ」
●「住宅用の家屋の新築又は取得」に関する事項
3-4.新築又は取得した住宅用の家屋は、あなたの配偶者、親族など特別の関係がある人との契約に基づき新築(これらの人からのその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含みます。)をし、又はこれらの人から取得(その敷地の用に供されている土地等の取得を含みます。)をしたものですか。
⇒身内から家を取得する特殊な場合です。ふつうはハウスメーカーで家を建てたり、不動産業者から家を購入している場合は関係がないので「いいえ」
3-5.平成30年3月15日までに住宅用の家屋の新築(その敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含みます。)をし、又はこれらの人から取得(その敷地の用に供されている土地等の取得を含みます。)をし、贈与を受けた金銭の全額をその対価に充てましたか。
⇒平成30年3月15日までに、新築(土地の購入を含む。)や購入をし、贈与でもらったお金を全額新築・取得に使っていれば「はい」
※全額を使っていないと非課税制度は使えません。
3-6.平成30年3月15日までに住宅用の家屋の新築の工事が完了(新築の工事の完了に準ずる状態を含みます。)又は住宅用の家屋を取得していますか。
※「新築の工事の完了に準ずる状態」とは、屋根(その骨組みを含みます。)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態をいいます。
⇒平成30年3月15日までに新築工事が完了(あるいは上棟)している、または、家を買っているなら「はい」
※特に注文住宅の場合は3月15日までに上棟が間に合っていないと非課税制度が使えないので注意してください。
3-7.新築又は取得をした住宅用の家屋は日本国内にあり、登記簿上の床面積(区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)は50㎡以上250㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分があなたの居住の用に供されるものですか。
⇒日本にあり、家の登記簿上の床面積(マンションは専有部分の床面積)が50㎡~240㎡の範囲内で、半分以上が居住用であれば「はい」
●住宅用の家屋の取得のための金銭の贈与を受けた方
3-8.取得した住宅用の家屋は、次のいずれかに該当しますか(以下省略)。
⇒新築の場合は1番目の「建築後使用されたことのない住宅用の家屋」です。2番目から4番目は中古住宅の購入の場合の条件です。該当すれば「はい」とします。
●「あなたの居住」に関する事項
3-9.省略
⇒日本に住んでいて日本国籍がある方は「はい」を選んでください。そうでない方は税務署にご相談ください。
3-10.あなたは、既に新築又は取得をした住宅用の家屋に居住していますか(居住していない場合には、平成30年12月31日までに遅滞なくその家屋に居住する見込みですか。)。
⇒ふつうは「はい」です。3月15日現在で上棟中だとしても12月までには居住できるようになるはずなので同じく「はい」でOKです。
(4) 非課税の適用要件チェック(その2)
1.住宅の種類についての入力
あなたが新築若しくは取得又は増改築等をした住宅の家屋は、省エネ等住宅に該当しますか?
⇒ハウスメーカーや不動産業者に確認しましょう。最近の家は省エネ性能が高いものが多いので、該当する家が多いと思います。
2.契約年月日の入力
住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等に係る契約の締結をした年月日を入力してください。
⇒契約年月日に応じて非課税になる金額が変わるため非常に重要です。請負契約書や売買契約書を用意して、日付を確認しましょう。
3.所得税及び復興特別所得税の確定申告書の提出についての入力
⇒所得税の確定申告書をすでに出している場合はその日付ですが、贈与税の申告書と同時に出す場合は、その予定日を書きます。
⇒これは、住宅ローン控除を確定申告するときに、贈与税の非課税を受けた部分は住宅ローン控除の対象外となるため、税務署がでその確認をするための情報となります(所得税と贈与税の担当部署が違うため)。
⇒都道府県と税務署名も所得税の確定申告書と同じになります。
(5) 取得財産の入力
「住宅取得等資金の非課税の適用を受ける財産」を選びます。
(6) 贈与者(両親・祖父母)の情報の入力
まずは贈与者、つまり財産(お金)をあげた人について氏名、住所、生年月日、続柄(父・母、祖父・祖母など)を入力します。
「(5) 贈与者の続柄」は「贈与税の申告をする本人」から「贈与者」を見た場合の続柄です。
ふつうは父、母、祖父、祖母になるかと思います。
(7) もらった財産の入力
贈与でもらった日、財産の所在地(預貯金の場合は銀行名や支店名)、金額を記載します。
※非課税になる限度額(この画面では1,200万円まで)は、契約年月日や省エネ住宅かどうかによって異なるため、画面に出てくる金額をご確認ください。
次に確認画面が出てくるので、よく確認しましょう。
もし、両親からそれぞれもらっているような場合は、「贈与者(非課税の適用を受ける財産)を追加する」で追加しましょう。
3.贈与税の非課税の計算結果
(1) 非課税の計算明細書
これで「住宅取得等資金の非課税の計算明細書」というものが出てきます。
念のため、上から順番に日付や金額を確認しましょう。
(2) 贈与税の計算結果
次の画面で贈与税の計算結果が表示されます。
今回は、非課税になる限度額の範囲内だったので贈与税は「0円」です。
限度額を超えている方は、贈与税が発生する場合があります。
贈与税が発生する場合は、平成30年3月15日までに納税が必要なので漏れがないようご注意ください。
4.自分に関する情報の入力
最後に自分の郵便番号、住所、税務署名、都道府県と税務署名(郵便番号に応じて自動選択)、贈与税の申告書を提出する年月日(空欄も可能)を入力します。
自分の氏名、マイナンバー、職業、電話番号を入力します。
これですべて入力が完了です。
5.申告書の印刷
お疲れ様でした。後は印刷するだけですね。
チェックはそのままにして、「帳票表示・印刷」ボタンを選びます。
PDF化されます。順番に見ていきましょう。
(1) 贈与税の申告書 第一表
これがメインとなる申告書です。左上の自分の基本情報があっているかよく確認しましょう。
氏名の右下に「印」とあるので、押印をしましょう(シャチハタ以外)。
(2) 本人確認書類(写)添付台紙
次にマイナンバーの関係で、マイナンバーカード(個人番号カード)の写し、あるいは、通知カードの写しと運転免許証などの本人確認書類の写しを貼るための台紙が登場します。
(3) 贈与税の申告書 第一表の二
住宅取得等資金の非課税制度を使うために特別に用意された表です。
ここには、誰からいくらもらったのか、そして、いくらまで非課税なのかが表示されて計算されています。
こちらもよく確認の上、提出しましょう。
(4) 贈与税の申告書 第一表(控)
最初の第一表の「控」が出てくるので、これも一緒に提出しましょう。
返信用封筒(82円切手を貼ったもの)を同封すると、この「控」に収受印(税務署が受け取ったという証拠)を押して返信されます。
(5) その他の書類
- 贈与税の申告書 第一表の二の控 ⇒提出不要(保管用)
- 住宅取得等資金の非課税のチェックシート ⇒提出
- 添付書類一覧 ⇒添付書類と一緒に提出が望ましい
6.住宅資金贈与非課税の贈与税の申告のための添付書類
「直系尊属(両親や祖父母)からの住宅取得資金贈与非課税制度」で必要な添付書類については「添付書類一覧」のとおりです。
- 受贈者の戸籍の謄本又は抄本
- 平成29年分の源泉徴収票 ※住宅ローン控除で確定申告をする場合は不要
- 請負契約書や売買契約書の写し
- 新築又は取得した住宅用家屋に関する全部事項証明書
- 中古住宅の場合は耐震基準適合証明書など
- 平成30年3月15日までに居住していない人は「居住できない事情と居住予定時期を記載した書類」と「遅滞なく居住することを約する書類」
また、省エネ等住宅に該当する場合には、それを証明するために次のいずれかの書類が必要となります。
- 住宅性能証明書
- 建設住宅性能評価書の写し
- 長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し及び住宅用家屋証明書
- 長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し及び認定長期優良住宅建築証明書
- 低炭素建築物新築等計画認定通知書の写し及び住宅用家屋証明書
- 低炭素建築物新築等計画認定通知書の写し及び認定低炭素住宅建築証明書
まとめ
税務署に直接提出することもできますが、個人的には確定申告時期は混みますし、出してもその場で内容確認するというよりも、受け取って終わりの場合が多いため、郵送がおすすめです。
なお、郵送する際には、レターパックがおススメです。
コンビニでも買えるので、私は毎年、これを使って確定申告書を提出しています。
関連 レターパックライト・プラスならコンビニで!購入・支払方法の注意点まとめ
また、所得税について住宅ローン控除の確定申告をする場合については次の記事をお読みください。