奨学金

奨学金地獄の知人をみて願う 大卒=正社員の時代に幕。自分のタイミングで大学に行ける社会にしてほしい。

奨学金問題



今や、日本の大学生の半数が「日本学生支援機構」の奨学金を利用しています。

ところが、返済不能に陥って信用情報に遅延情報が掲載される、いわゆる「ブラックリスト」入りしてしまったり、返済のために生活がままならなくなる若者も急増中

もちろん、奨学金の毎月の返済額は収入が低くても返済できるよう負担の少ない金額に設定されているので「奨学金問題」は本人の自業自得という側面もあります。

しかし、本人や家族の病気やケガ、失業などで返済できない経済状況になってしまう若者が存在するのも事実です。

「奨学金ブラック」に陥った知人


今回は「奨学金ブラック」に陥ってしまった知人の体験をお話していきます。

登場する「A子さん」は、将来のあなたの子供の姿も知れません。

奨学金を借りること、そして返済していくことについてじっくり考えるきっかけにしていただけると幸いです。


母子家庭で大学進学

A子さん(31歳)は母子家庭で経済的に苦労することもありましたが、小学校時代から一生懸命勉強をして、私立大学に合格することができました。

家計は厳しい状態でしたが
「今はだれでも大学に行く時代だから」
と、母親は娘の進学を後押ししました。

母親には、授業料や生活費を全額仕送りしてあげられる余力ないので、当然のように日本学生支援機構の「有利子奨学金」を申し込みます

もちろん、奨学金だけでは足りないので週に5日間のアルバイトもこなします。

そうやって、二人三脚で無事に大学を卒業しました。

卒業後の返済


奨学金残高は312万円、毎月の返済額は1万5,504円でした。

彼女は学生時代のアルバイトを通じて接客業に楽しさを見いだし、飲食店に正社員として就職しました。

彼女の就職した会社には、健康保険や厚生年金制度がなかったため、総支給額16万円から、国民健康保険料や国民年金、所得税、住民税を差し引いた額は
12万円未満です
親元から離れての一人暮らしだったので、アパートの家賃や光熱費、食費などを差し引くと奨学金の返済に充てるお金はほとんど残りませんでした。

それでも最初の数か月は、順調に1万5,504円を支払えました。

徐々に苦しくなる生活




数か月が過ぎると、返済は預金の残高不足で引き落とし不能になりました。

その頃、学生支援機構の奨学金の滞納に対する督促は、今ほど厳しくなかったため、忙しさを理由に放置していました。

そして、いつのまにか奨学金の滞納額は50万円を超えました


押し寄せる督促状に窒息しそうな毎日

奨学金を返済しなければならないことは重々承知していましが、
「なんとかなるんじゃないか」
と思っていたのも事実です。

全額支払うようにと言われても、50万円もの大金は手元にある訳もありません

実家の母親に頼ろうにも、彼女の母親も「生活していくのがやっと」という状態です。

彼女は、日本学生支援機構、そして業務を委託された「債権回収会社」からの督促の電話にも出ず、督促状は見ずに捨てるようになりました。


実家と保証人に督促状が届く

いくら奨学金の返済を無視しても、奨学金には「保証人」が存在するので、実家や保証人に連絡がいくだけです。

彼女の母親は、債権回収会社からの電話で初めて「奨学金滞納」の事実を知り、
保証人への連絡をストップしてもらえる
と言われ、慌てて数万円を振り込みました。

奨学金の保証人はA子の叔父でした。

お金で親戚に迷惑をかけることだけはしたくなかった母親は、加入している生命保険の「契約者貸し付け」を利用してお金を借りたのです。


母子二人三脚での奨学金返済

実家や保証人にまで迷惑をかけたこと知りました。

学生支援機構に交渉をして滞納分も毎月2万円入金することで、一括返済を求めないようにしてもらい、彼女と母親で毎月1万円ずつ返済をすることにしました。

それでは滞納額は増える一方なので、2人ともお金に余裕ができるたびに追加で入金します。

毎月の給与が一定ではない上に生活が厳しいA子さん、固定給の仕事ではない母親には、月に1万円の返済も厳しい時がありましたが、
「毎月入金すること」
だけは維持したので、督促はされませんでしたが、滞納額もほとんど減らない状態が続きました。


A子さんの転機



彼女が30歳を迎える頃、転機が訪れました。

結婚をして住宅ローンを組もうと思ったのです。

ご主人の収入だけでは希望する家は建てられないと言われ、夫婦の共同ローンを組むことにしました。

しかしA子さんの信用情報には、度重なる奨学金の返済遅延情報が掲載されています。

住宅ローンの審査が通らないことを不思議がるご主人に彼女はやっと、奨学金のことを正直に話しました。

家の前に借金返済


ご主人の提案により、家のための貯金を下ろして滞納額を減らしたうえで、日々の生活を切り詰めて少しでも余裕ができたら日本学生支援機構に入金しました。

1年後、滞納はゼロになり、毎月口座から1万5,504円のみ引き落とされる「本来の状態」に戻りました。

奨学金完済まで、あと8年です。


奨学金問題の根本

奨学金を滞納したせいで苦しい思いをしたのは事実です。

彼女の毎月の返済額は1万5,504円なので、それを返済できないのは怠慢と言われてもしょうがないでしょう。

奨学金問題を考えると、「高校卒業したらすぐに大学に行くこと」が当たり前になってしまった日本社会に行きつくように思えます。

経済的に余裕がない家庭の子供たちが、全員大学を諦める必要もありません。

しかし
「高校を卒業して借金をしてまですぐに大学に行く必要があったか」
という疑問もでてきます。

大卒=「正社員」という時代ではない


昔は大学さえ卒業すれば「正社員」として終身雇用されていましたが。今では大卒の派遣社員や契約社員、そしてアルバイト社員も珍しくありません

大学を卒業しても、安定した仕事が手に入るとは限らないのです。

経済的に厳しい状態で「みんな大学に行くから」という理由でなんとなく大学に進学する必要はあるのでしょうか。

大学は自分のタイミングで行けばいい




「自分の好きな仕事をしながら大学進学資金をためる」という選択肢があってもよいのではないかと考えます。

・ 結婚をして子供を産んでから大学に進学する

・ 多くの仕事を経験してから学びたいことを決める

・ 働きながら夜間大学に通う

・ 通信制大学で学ぶ

人生の中で「大学」という学びというステージを、自分の好きなタイミングで設置できる柔軟性があれば、多くの奨学金問題が解決するのではないでしょうか。

働き方の多様化が進む中で「何度も学ぶチャンス」が出てくるのも事実です。

働き方や学び方、子供の産み育て方などの選択肢が増えて、誰しもが無理なく「生涯を通して学べる社会」に変化していくことを願います。


7. 現実的に奨学金問題を解決する方法



有利子の奨学金を借りる前に「給付奨学金制度」や国立大学の「授業料減免制度」の支給対象かどうかを確認しましょう。

日本学資支援機構の奨学金には、

・ 経済的に厳しい家庭向けの返済不要な「給付型奨学金」

・ 国立大学には、経済に困窮していて一定の成績を保っている学生向けの「授業料減免制度」(返済不要)

が用意されています。

高校時代の成績や、大学入試の成績が優秀であれば、授業料が無償になる私立大学も多数あります

今、自分たちが受けられる公的扶助などをすべて把握した上で、大学在学中のマネープランを立てるようにしましょう。


奨学金の返済は「子」と「親」が負担する

奨学金の返済を子供が全額担うことが多いですが、子供だけではなく親も負担してみてはいかがでしょうか。

1人より2人で返済したほうが、お互いの負担が減るので返済しやすくなります。

子供が奨学金返済で困り果てる前、返済をスタートした時に二人三脚で返済することを決めていれば、「奨学金破産」のような悲劇を起こすことなく、淡々と返済が進むはずです。

毎月3万円の返済も、2人で分担すれば1万5,000円。

卒業して数年は給与が低く返済に苦しみますので、その時こそ親御さんの出番だと思います。


9. 延滞したら支払い計画を相談

日本学生支援機構の奨学金は、
「訴訟を起こされる」
「一括返済を迫られる」
など物騒なお話を目にしますが、実際には延滞から逃げずに相談をすれば法的手段を行使することはほとんどありません

半年から1年延滞している方は、まず日本学生支援機構や債権回収組織と電話で話をしてください。

「滞納しているが、一括返済は厳しい。毎月2万円ずつ入金するから待ってほしい」などと具体的な返済金額を提示して、実際に定期的に入金しましょう。

延滞額が大きい場合は、毎月1~2万円の入金では延滞部分を解消できるまでに、長い時間がかかります。

地道に返済を続ければ、延滞が解消されて「口座引き落とし」で奨学金の返済が出来るようになります。

「返還期限猶予制度」や「減額返還制度」も用意されていますので、現状を正直に話して解決策を一緒に考えてみてください。




逃げるより、助けを求める

学生時代の奨学金で苦しんでいる方、そしてその家族は逃げずに何らかのアクションを起こしてみてください

一括返済を迫られてからでも、彼らは話を聞いてくれます。

今から奨学金を借りて進学しよう考えている方は「公的扶助」や「給付型奨学金」の対象にならないか今一度確認してみましょう。

そして、奨学金の返済は「子供」だけではなく「親子の共同作業」だと考えて、双方の負担を軽くして、生活に支障をきたさない返済計画を立ててみてはいかがでしょうか?(執筆者:平林 亮子)

【読者の質問に回答】子供が2人いるが、「教育無償化」で今後の学費はどうなるのか?

都内在住の読者の方から

「子供が2人いるが、今後の学費はどうなるのか。高校まで無償化するのか?」

という質問がありました。

そこで「教育無償化」についてのアンサー記事を書こうと思います。




子供1人の教育費ってどのくらいかかる?

以前の記事「子ども1人育てるのに必要な費用はどのくらい? 出産育児で、国からもらえるお金や制度、もぜんぶ教えてください。」でも書いたのですが、子供1人の教育費は結構かかるものです。

文部科学省の平成26年度学習費調査によれば、子供1人に付きかかる教育費(学校外活動費含む)は、幼稚園、小学、中学、高校、大学全部公立だった場合、総額約727万円全部私立だった場合は総額約2,172万円です。

幼稚園私立、小中公立、高校大学私立だと約1,186万円、もし大学が国公立なら約986万円幼稚園私立、小中高公立、大学私立だと約1,010万円、大学が公立なら約810万円です。

この記事では主に小中学校の教育費について、解説していますが、今回は政府の「教育無償化」の対象である、幼稚園や高校での教育費に焦点を当ててみたいと思います


幼稚園でかかる教育費

幼稚園での教育費について平成26年度と平成28年度を確認してみましょう。

平成28年度の公立幼稚園


年平均 約23万3,000円
年少から3年だと約70万円

私立幼稚園は年平均 48万2,000円
年少から3年だと約145万円

平成26年度の公立幼稚園


年平均 約22万2,000円、
年少から3年だと約66万6,000円

私立幼稚園は年平均 49万8,000円
年少から3年だと約149万4,000円

ですので、2年間で少し教育費は下がっていることになります。


幼稚園無償化はどうなる?

政府がまとめた子育て支援策によれば、再来年から段階的に保育園や幼稚園の保育料、授業料の免除となる予定です。

幼児教育では3~5歳のすべての子ども(保護者の所得制限なし)の認可保育所や幼稚園、認定こども園の費用を無償化し、0~2歳児は年収約260万円未満の住民税非課税世帯を無償化する予定です。

認可外保育所などをどこまで無償化するかは来年夏頃までに詳細を明らかにしていく予定とのことです。


幼稚園入園、パパママを助けてくれるその他の制度は?

4歳から小学校就学前には、多くの自治体が「幼稚園就園補助金」を支給しています。
→ 幼稚園を通して支給申請しているところが多いです。

子持ち世帯に家賃補助を行う自治体もあり。
→ 兵庫県相生市が新婚世帯家賃補助、定住者に最高50万円補助、保育園幼稚園児の保育料補助、幼稚園給食無料など行っています。

お住いの自治体のHPなどで確認してみましょう。


高校でかかる教育費

一方、文部科学省による平成28年度学習費調査によれば、全日制の公立高校普通科の学習費(学校外活動費含む)の平均額は年51万6,000円、3年間で約154万8,000円(平成26年度が年46万8,000円、3年間で約140万円)です。

全日制の私立高校普通科の学習費(学校外活動費含む)の平均額は、約107万3,000円、3年間で約321万9,000円(平成26年度は約101万7,000円、3年間で約305万1,000)円です。

3年間の高校教育費平均額、2年間で公立が約14万8,000円、約私立が16万8,000円値上がりしていることになり、月額だと5,000円の負担増です。

これは、一般家庭には結構負担になります。

保護者の負担を軽減する策として、私立高校も含めて無償化されれば、意欲と能力のある子供が親の経済的事情に左右されることなく進学できる可能性が高くなるでしょう。


高校無償化はどうなる?



公立高等学校が無償化され、授業料無料になったのは、2010年4月からです。

1. 高等学校就学支援金


全ての意志ある生徒が安心して教育を受けられるよう、高等学校等の授業料に充てる ため高等学校等就学支援金を支給することで、家庭の教育費負担の軽減を図ろうというものです(文部科学省HPより)

2020年4月以降、私立高等学校等の生徒については,就学支援金として授業料に充てるために一定額(11万8,800円を学校設置者が受け取り

低所得世帯の生徒については11万8,800円を1.5~2.5倍した額)を支給します。

*両親と子供2人世帯を目安とした就学支度金(文部科学省)

年収250万円(※)未満程度(市町村民税所得割 非課税) 29万7,000円(2.5倍)

年収250~350万円(※)未満程度(市町村民税所得割額 5万1,300円未満)23万7,600円(2.0倍)

年収350~590万円(※)未満程度(市町村民税所得割額 15万4,500円未満)17万8,200円(1.5倍)



≪クリックして拡大≫


年収590万円未満の家庭は実質的に私立高校も無償になります

年収が910万円(※)以上程度(市町村民税所得割額 30万4,200円以上)世帯には、就学支援金は支給しない方針です。

2. 高校生等奨学給付金


全ての意志ある生徒が安心して教育を受けられるよう、生活保護世帯や低所得世帯の授業料以外の 教育費負担を軽減するため、高校生等奨学給付金により支援を行うものです。

この給付金は、兄弟姉妹の人数などにより金額が異なっています

2019年度より兄弟姉妹が高校生等のみの場合に、1人は第1子単価としていたものを、すべて多子単価とすることを予定しています。

住民税非課税世帯【全日制等】の第1子単価が変更になる予定です。

・ 国公立の高等学校等に在学する者 年額 7万5,800円 → 8万8,500円(+1万2,700円)

・ 私立の高等学校等に在学する者 年額 8万4,000円 → 9万5,900円(+1万1,900円)

ちなみに住民税非課税世帯【全日制等】の多子単価は以下の金額ですが、

・国公立の高等学校等に在学する者 年額 12万9,700円

・私立の高等学校等に在学する者 年額 13万8,000円

多子世帯支援のための給付要件の見直しが行われる予定です。

現行

15歳(中学生を除く)以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合 → 第2子単価適用

見直し

12歳(小学生を除く)以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合 → 多子単価適用


児童手当の所得基準が変更に!

子供の学費などを負担するのに家計が助かる児童手当のことについてお話します。

国では児童手当の手続きを電子申請で行えるように検討中ですが、2019年度以降、支給条件などが変更になる予定です

児童手当は子どものいる世帯に支給される手当で、

0歳から2歳(3歳未満)は、1人月額1万5,000円

3歳以上小学校修了前は、第1子・第2子が月1万円、第3子以降が月1万5,000円

主に世帯主に支給されます。

下記の所得を超えると、1子につき月額5,000円の特例給付が支給されます。



所得制限の額は、共働きの場合夫婦合算の所得で決まるようになります。

現在は世帯の大黒柱の所得をもとに児童手当支給額を判断する方式(上図参照)ですが、夫婦の所得を合算して支給の有無を判断する方式に切り替えられます。

一定以上の収入がある共働き世帯は児童手当の支給額が減る可能性や月5,000円の特例給付も減額になる可能性もあるでしょう。


児童扶養手当の時給方法が変更に!

子供が18歳年度末までひとり親家庭に配られる児童扶養手当ですが、手当がもらえる所得基準は現行の年収130万円未満から160万円未満に引き上げられます

4か月ごとにまとめて支給する方式から、2か月ごとに年6回支給する方式に変更されます。


乳幼児医療費が18歳年度末までの自治体もあり

18歳年度末まで入院・通院の医療費が無料の自治体もあり。(福島県全域、東京都千代田区、日の出町 奥多摩町、埼玉県滑川町、栃木県太田原市、北海道松前町も高校卒業まで乳幼児医療費が補助)。

・ 大学・短大・専門学校向けには、奨学金申請もできます。給付型奨学金も増えてきています。

日本学生機構奨学金検索




乳幼児医療費が22歳までの自治体もあり

・22歳年度末(大学生・専門学校生)まで入院・通院の医療費が無料で所得制限も一部負担金もなし → 北海道南富良野町 

乳幼児(子供)医療費の補助を、中学卒業や高校卒業までに広げる自治体が急増しています

出産に祝い金を支給したり、給食費を補助する自治体も増えています。

例えば、東京都奥多摩町は、給食費補助だけでなく、保育園の待機児童も無とのことで、首都圏在住としたらありがたいことですね。

お子さん3人以上の病後時預かりも小6まであり。15年以上定住で住宅補助金が最高200万円まで支給です。 

子育て世帯にとって、子どもがいくつまで医療費の補助が受けられるかは大きいし、給食費の補助などもできれば受けたいですよね。

隣の町なのに大きく違うこともあります。お引越しを考える場合、ぜひ、市区町村のHPなどで確認してみましょう。


大学進学! どうしても学費が足りなかったら?

まずは日本学生支援機構の利用を考えましょう。

日本学生支援機構と無利子奨学金には、年収300万円程度の収入を得るまで、返還期限を猶予する「所得連動返還型無利子奨学金制度」2014年度から創設され、現行の10年猶予より手厚くなりました

2014年度以降は、無利子の第1種奨学金の利用者が増えているそうです。

私大授業料が5年連続で上がり、平均額が年約87万円の授業料がかかるそうです。

進学を考える場合は、高校でなるべくお金をかけないで済めばそれにこしたことがありません。

新しい制度を利用して、将来に備えたいものです。(執筆者:拝野 洋子)

家計を管理できる子に育てる。借金ゼロからのスタートを子供に用意できていますか?

貯蓄の基本は借金がないこと



貯蓄の基本は借金がないこと、これは貯蓄に関心の高い皆さんには周知の事実だと思います。
そこからスタートできていますか?
借金と聞くとカードローンやサラ金と呼ばれる消費者金融でお金を借りていることだと思いがちの若い人は多いでしょうが、家電ローン、自動車ローンに加え、住宅ローンも立派な借金です。

さらに加えるのであれば、最近はやりのスマートフォンの機種代の毎月分割での支払いも厳密に言えば「分割」という名の借金です。

壊れたり、その期間使わなかったりした場合には全額もしくは違約金を払う契約になっています。そしてもう一つ、多くの人が借金の意識なく借りて背負っているものが、奨学金の返済義務です。


我が子に奨学金を安易に受け取らせるのは、借金を背負って社会人生活をスタートさせること

親自身には借金がなくても、高等教育に進む我が子に奨学金を安易に受け取らせるのは、借金を背負って社会人生活をスタートさせることにつながる場合があります。

親子ともに自覚があるならいいのです。その覚悟をしてでも受けたい教育を受けて、それを上回る収入や喜びを謳歌できる可能性のために奨学金を活用することは大事です。

けれど、親も子も「借金」の自覚なく、奨学金に頼ってしまったら、子どもの社会人生活は借金からのスタートです。

奨学金を受ける際は未成年のことが多く、連帯保証人は通常親となるため、子が返済の見通しをうまく立てることができなければ、その借金を親が背負うことになります。

実際に、私の周りでも親が奨学金を返済しているケースもあります。そうなると親の老後も不安になってきます。

奨学金は「高等教育への準備」のコラムにも書きましたが、
・ 子どもの成績によって、受けられる・受けられない

・ 成績が下がるにつれ、給付ではなく貸与になる

・ 無利子ではなく有利子になる
といったかたちで、条件が変わってきます

給付であれば返済の必要がないので、借金という心配はありません。

でも、奨学金というネーミングにつられて貸与される奨学金を安易に借りてしまうと、ただの借金ということを親子ともどもご認識ください。




子ども主体で手続きを一緒に行っていきましょう!

子どもが自立していく過程では、口座開設、クレジットカードの契約、健康保険証の交付などたくさんの親の家計との切り離しが必要になってきます。

まだ開設や契約で親の許可や庇護が必要なうちに子どもに対し、マネー教育をしていくことは親の老後の経済面からみても重要です。

そのためにはまず、親がしっかりと金融知識を持っていなくてはなりません。
・ 携帯の使用料
・ 国民年金
・ クレジットカード
携帯電話を持つようななったころに一度、しっかりと親子で学びましょう。

大切なポイント

親が勝手に手続きしてしまわないこと!
勝手に契約してあげて、勝手に払ってあげるなんて論外です。

子どもにお金の流れを確認させることが、将来自立した家計を管理できるようになるポイントです。

手間でもなるべき子どもが主体で、一緒に行うようにしましょう。




親が「国民年金」を立て替えるメリット

国民年金を納める場合は親が立て替えるほうが節約に通じることもあります。

収入がない学生であっても20歳になると原則として、国民年金に加入し保険料を納めなければなりません。

学生納付特例を利用する場合


20歳以上であっても所得が一定以下の学生については申請することにより、学生納付特例といって在学中の納付が猶予される制度があります。

学生納付特例制度の承認を受けている期間は、保険料の支払いをしていなくても保険料を支払ったものとして扱われ、障害が残ったときに障害基礎年金を受け取ることができます。

ただし10年以内に追納しないと年金額に反映されず将来の年金額が減額されることと、追納の場合3年度目以降は保険料に加算額が上乗せされること、年度毎の申請が必要であることに注意が必要です。

猶予分は後で保険料を支払わなければならないということを、きちんと事前に子どもに伝えておくべきです。

借金ではありませんが、借金を支払うことと同じ仕組みではあるからです。

きちんと加入することが大切




国民年金は老後のためだけの備えではなく、病気やケガで障害が残ったときや、収入を支えていた方が亡くなったときの保障もあります

何も手続きのない状態では障害年金を受け取ることができない可能性もありますので、まずは加入手続きを行い、払えない場合は学生納付特例の申請の手続きを行うことが大切です。

3年度目以降の追納


3年度目以降の追納は支払額が高くなるため、子どもの負担を少しでも軽減してあげる余裕があるのであれば、立替払いもできます

収入が高く所得税率の高い親の場合は、親の社会保険料控除で戻ってくる税金が多くなるため、結果として節税につながるメリットもあります

また、保険料を一括で前納すると保険料は安くなります。

ただし、親が代わりに国民年金保険料を支払う場合には、将来を考えて本来支払うべき子どもに対ししっかりと説明し、子どもが収入を得るようになったときに分割で返済してもらうなどの取り決めをするなどしてもよいでしょう。(執筆者:小柳 結生)

オーストラリア・デンマーク・スウェーデンから学ぶ日本の「奨学金制度」について

日本の大学生の2人に1人が利用しているという奨学金制度

しかし返済の負担が大きいことから、生活苦に陥ってしまう人や進学自体を諦める人も少なくありません。

学びたいという思いさえあれば、誰にでも平等にその機会が与えられることはこの国の将来のためにも必要不可欠です。

今回はほかの国の授業料や奨学金制度などを比べながら、そのシステムについて考えていきたいと思います。


オーストラリアの奨学金制度



オーストラリアで行われているのは所得に応じて学費を後払いにするシステム「高等教育拠出金制度(HECS)」。

卒業後に年収が約5万5千豪ドル(約480万円)を超えた場合、その額に応じて収入の4~8%を返済していくという制度で、年収が下回ると返済の必要がなくなります。

そのメリットは

・ 入学前や在学中はお金がかからない
・ 返済が大きな負担にならない
・ 保証人の必要がない
・ 徴税のシステムで納めるため、回収にかかるコストが低い
・ すべての学生が利用できる

オーストラリアではこのシステムを導入したことによって学生の数が倍以上に伸び、進学への意識も高くなったと言われています。

回収率も約8割と決して低くありません。

このシステムはイギリスやオランダ、ニュージーランドや韓国でも採用されており、教育の負担軽減策として日本政府も注目しているそうです。


学業を頑張ることが条件のオーストリア

大学(専門大学を除く)の授業料は無償となっていますが、標準修業年限(標準3~4年)を1年以上超えて在学している場合は有償となります

社会経済的状況を主な理由とする給付型奨学金の制度はありますが、給付開始後1年間に一定の成績を修められない場合は返還義務が生じます

授業料でも奨学金の面においても、しっかり勉強して一定の成績を修めることが求められるこのシステムは、学生の学業に対するモチベーションを上げ、それが大学の質を高めることにもつながっていくのではないでしょうか


奨学金の受給率が100%のデンマーク



給付型奨学金受給率100%とされるデンマーク。98%が国公立、2%が公営私立に通っており、その授業料は無償となっています。

標準修業年限にプラス1年の期間を上限に奨学金が受給できるようになっています。

給付額は一人暮らしの場合が月額11万1,200円、実家などで親と同居の場合は世帯収入によって1万7,300~4万7,900円となっています。

さらに子どもを育てている学生や障害のある学生には追加給付の制度があります。


子育て中の学生には追加給付もあるスウェーデン



スウェーデンの授業料はEUに加盟する28か国やアイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインの地域以外出身の留学生は有償ですが、基本的には国公立も公営私立も無償となっています。

社会経済的状況を要件とする給付型の奨学金があり、7割近い学生が利用しています

上限額は月額4万3,600円で、取得単位数や学生自身の収入に応じて減額されます。

また18歳未満の子どもを育てている学生に対しては、子どもの数に応じた追加給付があります。


日本のこれから~自民教育再生実行本部の「出世払い」案

自民教育再生実行本部が2017年11月に出した案は、大学授業料を国が肩代わりし、卒業後に「出世払い」で返還してもらうというもの。

オーストラリアの「高等教育拠出金制度(HECS)」をモデルにしたものととなっています。

対象となるのは大学生、大学院生、専門学校生などで、国立大学の授業料に相当する約54万円/年と入学金の約28万円を補助します。

また私大に進学した場合の差額分は、無利子奨学金を追加で借りられるよう対応する予定です。

気になる返還方法ですが、卒業後に一定の年収に達すれば「高等教育貢献費」として返還していくという方法が取られることになりそうです。

この案では納付開始の年収として「250万円以上」、「300万円以上」などいくつかの案が示されています。

ただしこの制度をスタートさせるためには、2兆円という巨額な財源が必要となるため、実現までのハードルはまだまだ高いと言わざるを得ません。




学びたくても学べない人が多くなる日本のシステム

教育は全て社会が支えるという観点から税金によって授業料を賄う福祉国家型、教育を受けた本人が支払う個人型、親や家族が教育費を負担する家族型など、国や地域によってもそのシステムには大きな違いがあります。

しかし授業料が高い国でも給付型奨学金の制度が整っていて、その内容も日本ほど複雑ではなく多くの学生が利用しやすくなっています。

日本の現在のシステムでは、収入によって進学が左右され、学びたいと思う学生の意欲が救われないものとなってしまっています

また奨学金の返済に大きな負担が生じ、生活苦に陥っている人も少なくないため、それが社会問題にもなっています

日本学生支援機構によると貸与型奨学金返還猶予の理由のトップは「経済困難・失業中等」などによるものとなっており、病気や災害などの理由と異なり、年々その数が増えています。


安心して教育を受けられる仕組みへ

保護者の収入が減ったことで奨学金を借りながらバイトもしなければ生活できないという実態があります。

大学で学びたいという意欲があっても、生活費を稼ぐために本来の学業が満足にできなくなり、休学や中退をせざるを得ない状況に追い込まれる学生も少なくありません。

最近ではそれがマスコミに取り上げられる機会が多くなり、大きな社会問題として広く認識されるようになりました。

国の財政負担を抑えながら、授業料の支払いをどうするのか検討を急ぐ必要があります。

教育の裾野を広げ、有為の人材を確保していくことは、国の将来にとっても非常に有益な取り組みです

これまでのシステムを変えるのは決して簡単なことではありませんが、先延ばしにせず早急に取り組む必要があると言えるでしょう。(執筆者:藤 なつき)

高等教育の「授業料無償化」でも授業料以外の費用はかかる。「奨学金」「教育ローン」は家族でしっかりと話し合うことが大切です。

授業料無償化でも、高等教育はお金がかかる



高校においては授業料無償化で公立高校は授業料が全額無料となり、私立高校でも同額補助が出ています(ただし市町村民税所得割額が一定の収入額以上の世帯は対象外)。

大学の無償化の話も浮上してきており、授業料が免除なら一安心と思った方もいるかもしれませんが、無償化だから全くお金がかからなくなるわけではありません

国公立の大学の授業料は私立の高校の授業料と実はほぼ変わりません。入学金を除けば大学に収める学費は月に平均すると4万5,000円ほどです。

むしろ負担になるのは自宅外から通学する場合の生活費で学費の2倍にもなります。

費用1 交通費


大学も高校も、親元を離れて通うこともできるため選択肢は全国に広がります。

高校ではまだ親元から通う方の方が多いかもしれませんが、校区という縛りがなくなるため、通う学校によっては交通費がかかります

自宅から通う場合も遠距離通学する場合は、交通費がかかってきます。

費用2 校外活動費


部活や塾代など、校外活動での教育費・活動費も跳ね上がります。

費用3 生活費


親元を離れるような場合は、寮や下宿代など大学と同じように生活費がかかってきます。

住居費や食費・光熱費を含めた生活費は、寮などには入れれば若干安くなりますがアパートなどで1人暮らしをする場合は約8万~9万ほどかかります。


「授業料無償化」に安心しない

高等教育に進むと、教育費ではなく学校に通うために多くの費用が必要だということがおわかりいただけたでしょうか。

そのお金の準備ですが、早めに準備が始められるのであれば積み立てや学資保険などを使っての準備ができます。

積み立ても学資保険も学費にのみ使わなければいけないという縛りはないので、どのような進路を歩むことになっても子どもの将来のための貯蓄として活用ができます


教育資金の貯め方

自分の子供に安心して教育を受けさせるためにも「授業料無償化」に惑わされず、教育資金をしっかりとためておくのが大切です。

教育資金の貯め方はさまざまです。
・ 学資保険
・ 積立預金(積立貯金)
・ iDeCo(個人型確定拠出年金)
上記の手段などで、しっかりコツコツとためておくことをおすすめします。

条件があえば狙い目のiDeCo(個人型確定拠出年金)


老後資金の準備として活用されるiDeCoですが、

・ 子どもが18歳になるときに、親が60歳になる

という条件にあうと、非課税になる金額が高いので、教育資金としても狙い目です。

少し遅めのお子様や2人目以降でしたら、当てはまる可能性はあります。


「奨学金制度」は成績重視



高校や大学の進学目前になって学費の不安がある場合、真っ先に思いつくのは奨学金ですが、奨学金は基本的な性質として成績優秀な人が受けられる制度です。

国や公的機関の奨学金は経済援助の意味合いが強く所得制限があり、私立の学校や民間企業の奨学金には所得制限がないかあってもゆるいという違いがありますが、どちらも成績優秀者が権利を得ることは変わりません。

奨学金には
・ 返還の義務のある貸与型
・ 返還の必要がない給付型
があります。給付の場合は特に成績が大きくかかわり、貸与の場合も成績によって条件が変わることもあります。

大学入学時の奨学金では高校までの成績がものをいいますし、その後の継続に当たっても成績が大切になってきます。

また高校入学時に奨学金を借りる場合には中学までの成績が重視されます。

子どもが高等教育を希望する場合は、バイトをするなどの自活を促すことも大事でしょうが、奨学金などに頼ろうと思うならなおさら、学校の成績が大事と伝えることが大事です。

お金に関わるとわかれば、やる気にもつながって子どもの成績も上がって一石二鳥ということもあるようですよ。

奨学金のために塾に通う?


子どもの学力アップのために塾代などで教育費を使うことは、経済面から言えば一長一短で、奨学金においてのみ言えば学校内での学習に力を入れることの方が優先です。

かけられる塾代を進学費に回す方が将来的な負担が減ることもあります。

目的や、費用対効果を考え、子どもとよく話し合って塾代などの学校外教育費と進学するための学費の兼ね合いを検討することが大事と言えますし、子どもの金銭教育の面からも重要です。


いろいろな団体が奨学金制度を設けている



一番有名な「日本学生支援機構」では返還の必要な奨学金として、
・ 無利息の第一種
・ 利息付の第二種奨学金
があり、平成30年度からは給付型奨学金も導入されます。

大学独自の奨学金制度


大学独自の奨学金制度もあり、特に私立大学に多く、貸与型に加えて給付型もあります。

「特待生制度」は入試などで優秀な成績の学生には、授業料の一部あるいは全額が免除となる場合もあります。

他にも「地元出身者優遇制度」など、公立大学など探せばいろいろな制度を見つけることができます。

その他の「奨学金制度」


・ 自治体独自の奨学金制度
・ 民間企業
・ 慈善団体などの育英会の奨学金制度

なども、あります。

海外留学の奨学金


海外留学の際も奨学金が利用できますが、やはりここでも成績がものを言うようです。


最後の砦、親が借り入れる教育ローンの基礎知識

教育ローンと奨学金の違いについて説明します。

返済


奨学金は子どもが借り、子どもが返還する。

教育ローンは保護者が借り、保護者が返済するものです。

親にとっては高齢での借金となるものなので、慎重に考えたいものでもあります。

教育ローンは大きく分けて国のものと、民間の金融機関のものがありますが、国の教育ローンは民間に比べて金利が低く、在学中は利息のみの返済も可能です。

しかし年収制限の縛りは厳しいです。

民間の教育ローンは、国の教育ローンに比べて金利が高いですが、年収制限の縛りがほぼないと言え、借入限度額が多く設定できます。

ただし基本的に借りた翌月から本格的な返済が始まります。

金利


教育ローンは、一般的に奨学金の貸与利子より金利が高くなるケースが多いです。

教育ローンを組む場合は、大きく利子がかかってきますので、受験費用を含めて事前にかかる総費用をきちんと把握し、必要最低限の額を借りることが大事です。

受取方法


奨学金は在学中に毎月決まった額を支給され、返済は大学卒業後です。

教育ローンでは一括で現金を手にすることができ、借りた翌月から返済開始です。


借りる前に返済計画をたてる



奨学金は親に援助されるわけではなく、特に貸与の場合、子どもが受け取りその返済の責任も基本的に子どもが追うものなので、子どもにきちんと説明したうえで制度を利用することが大事です。

また、大きな金額を一気に借りるよりも、必要に応じて少しずつ借りるほうが良い場合もあります。

自分で金額を設定できる分、返済の計画を立てた上で、必要最低額のお金をどのタイミングでいくら借りるのかを十分に検討することが大事です(執筆者:小柳 結生)