厚生年金

複雑になった主婦の「収入の壁」 注意すべき3つの壁と、一番大切な壁について説明します。

働く主婦が注意する「3つの壁」



2018年から、主婦の働き方が変わりました。

主婦がパートで働く場合、収入によって注意する3つの壁があります。
・ 壁1 配偶者控除の壁
・ 壁2 会社の社会保険に入る壁
・ 壁3 夫の扶養の壁
3つの壁について、1つずつ見ていきましょう。


壁1 配偶者控除の壁

今までは、

・ 夫(世帯主)がサラリーマンだったり、夫が自営業者でも夫と一緒には働いていない(青色申告、白色申告の事業従事者でない)

・ 妻の年収が103万円以下

上記の場合なら、夫は所得から38万円の配偶者控除を差し引くことができました(住民税は33万円)。

また、夫の年収が1,220万円(年間の合計所得金額が1,000万円)以下なら、妻の年収が103万円を超えても、141万円までは夫は配偶者特別控除も受けることができました。

変更後


・ 年収103万円だった妻の働く壁が、2018年からは大幅に引き上げられて150万円になりました。

正しくは、配偶者控除は103万円までですが、配偶者特別控除が150万円まで配偶者控除と同額ついています。

・ 配偶者特別控除も201万5,999円ならまでつきます。

夫の年収が1,220万円を超えている人は、配偶者控除そのものが受けられなくなりました

年収1,120万円(合計所得900万円)以上は、控除が段階的に減ります

税金について


今まで、配偶者控除の103万円の壁を気にして、それ以上は稼がないようにしていたという方も多かったようです。

実は、一般的なご家庭の主婦なら、103万円を超えて住民税や所得税を払っても、家計全体の収入を考えると増えるご家庭がほとんどでした。

それでも、気にする人が多かったのですが、今年からは、それが全くなくなったということです。




壁2 会社の社会保険に入る壁

2016年10月から、従業員が501人以上の企業に勤め、労働時間が20時間以上、年収が106万円以上(月8万8,000円以上、残業代は対象外)、勤務期間が1年以上の見込みの方は、会社の社会保険に加入することになりました。

配偶者控除の壁は主婦が働きに出る時の夫の税金の控除の壁ですが、実はこの106万円壁というのは、税金の壁ではなく社会保険料の壁です。

106万円を超えても、150万円までは税金配偶者控除は満額つかえます


もともと週30時間以上働く人は、会社の厚生年金保険、健康保険にパートでも加入しなくてはなりませんでした。

これが、従業員501人以上の会社で働く人はパートでも年間収入が106万円を超えると、会社の厚生年金保険、健康保険に加入しなくてはならなくなったのです。

さらに2017年4月からは、労使の合意があれば、従業員500人以下の企業でも厚生年金保険、健康保健に入れるようになりました

パートでも手厚い保障を確保しやすくなる


パートでも、会社の社会保険制度に加入しておけば、将来的には基礎年金に厚生年金部分が上乗せされるので、もらえる年金が多少増えます

また、病気や怪我などで会社を休まなくてはならなくなった時には、傷病手当金として、給料の3分の2を休んでいる間はもらえます

傷病手当金は最長で1年半有効なので、そうした状況になったら国民健康保険に加入しているよりも手厚い保障を確保できます。

また、子供を出産するときなども優遇されます。

自己負担が軽くなる「労使折半」


さらに、会社の社会保険料は労使折半になるので、自営業者の社会保険料よりは割安です。

独身やシングルマザーで働いている女性にとっては、負担が軽くなるという面があります。

ただし、サラリーマンの妻でそれまで社会保険料を支払っていなかった人は、会社で給料から社会保険料が天引きされるようになるぶん、手取りが減ります




壁3 夫の扶養の壁

現状では、収入が106万円を超えても、会社の社会保険には加入せずに働くパートの主婦の方がたくさんいます。

また、従業員数501人以上で年収が106万円を超えていても、月に常に8万8,000円を超えている必要があるので、ある月は7万円だったなどという人は、会社の社会保険には加入できません

こうした人は国民年金、国民健康保険に加入しますが、サラリーマンの妻の場合、第3号被保険者なので、パートの収入が129万9,999万円までは夫の扶養に入れます

夫の扶養に入っていれば、社会保険料は夫が加入している厚生年金から出してもらえることになっています。

自分では保険料を支払わなくても、病気や怪我をしたら国民健康保険が使えますし、将来、年金をもらったり、障害年金、遺族年金なども受けることができます

要注意

収入が130万円になった途端に、それまで払わなくてよかった国民年金保険料、国民健康保険料の合計額約25万円を、自分で支払います

そうなると、配偶者控除が使えてもマイナスのほうが大きくなる可能性があります。


パート主婦が1番気を付ける壁とは



パート主婦が一番気にしなくてはいけないのは、
「夫の扶養に入れなくなる130万円の壁」
です。

今まで払わなくてよかった国民年金保険料、国民健康保険料の合計額約25万円が増えます。

もし収入が130万ここを超えるなら、160万円くらいまで一気に増やす働き方を考えましょう。(執筆者:荻原 博子)

60歳の誕生日を迎えたら…ケーキ屋よりも「年金事務所」へ。すぐに確認するといい7つの理由

いよいよ60歳!



60歳の誕生日を迎えたとき、どう感じますか?
「いよいよ年金か…」
なんて感じませんか?

もしくは「年金なんてまだまだ。まだまだ働くぞ」と思いますか?

もし年金を考えたなら


何をするか検討したときは
「年金事務所」
「年金定期便」
「ねんきんネット」
確認することをおススメします。

年金をもらう年齢は、職業など、性別、生年月日によっても異なりますが、60歳で年金について「手続き」や「確認すること」は何があるのか確認してみましょう。


1. 59歳の年金定期便を見てみよう

59歳の年金定期便で、年金の見込み額を見てみましょう。


≪画像元:日本年金機構HP


50歳以降の年金見込み額は
「国民年金保険料または今の給与に厚生年金保険料を60歳まで払い込んだ」
ことを前提に年金見込み額が計算されています。

51歳から58歳までの年金定期便は多めに見積もった年金見込み額です。

なので51歳の年金定期便と比べ59歳の年金定期便はより実際にもらえる年金額に近いのです。

「年金見込み額」に考慮されていないもの


年金定期便の年金見込み額には、年金版家族手当である加給年金や被扶養配偶者の振替加算の額は考慮されていません

年金定期版では家族まで考慮されていないので、扶養家族がいて加給年金が付く人だと年金額は少な目に見積もりされています。

また60歳以降の仕事の状況も考慮されていませんし、年金をもらっていると定期便の年金見込み額は表示されません


2. 年金ネットを見てみる



「家で手軽に年金額を確かめよう。」と思った場合の年金ネットですが、できることは以下の内容です。
1. 年金記録照会(主に職歴)
2. 持ち主不明記録検索
3. 年金見込み額試算。
4. 追納・後納等可能月数と金額の確認
5. 電子版「年金定期便」「被保険者記録照会回答票」を出力。
6. 年金支払通知書などを確認
7. 届出書の確認、作成
ちなみに筆者は年金ダイヤルへ電話で照会してみました。

年金見込み額試算は、60歳以降厚生年金加入で働く場合も、給与を入力できるので、一部止まった後の年金額も確認できるとのことです。

ただ、年金版家族手当の加給年金については、年金手続きをした後配偶者情報が登録されたからでないと、年金額には反映されないとのことです。


3. 特別支給の老齢厚生年金

「年金は65歳からもらうもの、60歳から64歳に年金をもらうと損をする」
そんな風に考えてはいませんか?

必ずしもそうではなく、特別支給の老齢厚生年金は60歳から64歳までの間に部分年金が出る人もいます

1年以上厚生年金に加入していた人は性別と誕生日から何歳から厚生年金をもらえるのか、確認しましょう。


≪クリックで拡大 特別支給の老齢厚生年金の支給は60歳から64歳まで≫

≪画像元:日本年金機構HP(pdf)≫


この65歳前に受け取る特別支給の老齢厚生年金は支給開始年齢(60歳から64歳)に年金をもらわず、支給を遅らせたりしても年金額は増えません

それどころか5年の時効が過ぎると5年経過した月から、特別支給の老齢厚生年金がもらえなくなってしまう可能性も高いのです。

厚生年金に1年以上加入している人は、自分の支給開始年齢が60歳から65歳までのどの年齢なのか、しっかり確認をしましょう。


60歳に年金事務所で確認した方が望ましい理由

年金支給の有無に関わらず、60歳に年金事務所で確認した方が望ましい理由があります。

1. 繰り上げて年金をもらえるのは60歳からだから


厚生年金加入が1年未満の人も65歳から年金はもらえ、60歳から繰り上げて年金をもらうことができます

60歳から64歳までの間に特別支給の老齢厚生年金をもらえる人も同様です。

65歳から受給するのと比べると30%(1か月受け取りが早いごとに0.5%分×60か月)年金額は減りますが、60歳から繰り上げて早めに年金を受け取る選択肢があります。

60歳時またはそれ以降64歳までに、年金を受け取ったらどのくらい年金額が減るのか確認してもらうと老後の計画が立てやすいでしょう。

2. 60歳以降働く場合、どのくらい年金が止まるかわかるから


60歳以降、年金をもらいながら働きたい人も「どのくらいまでの給与なら」年金が全額もらえそうか、計算してもらうこともできます。

年金定期便では60歳以降厚生年金加入の場合年金見込み額は確認することができないのです。

3. 保険料を10年間払っていなくても「カラ期間」が見つかれば、年金につながるから


保険料納付済み期間と免除期間が10年以上の人に、「年金裁定請求書」が誕生日3か月前に届くのですが、10年ない人には届きません
「国民年金保険料をそんなに払ってない。」
と感じる場合も60歳に年金事務所で「どのくらいの期間国民年金を払っているか、免除期間はないか、カラ期間はないか」を確認しておいた方がいいでしょう。



4. 10年の年金期間がない人でも60歳から70歳までの期間は救済期間になり得るから


例えば60歳時全く年金期間がない場合でも、受給期間のない人は70歳まで年金保険料を支払うことができるます。

60歳から70歳まで年金保険料を支払えば、70歳で年金をもらう権利を得ることができます

5. 60歳から65歳までは、国民年金に任意加入し年金額を増やせるから


60歳から65歳までは、年金期間が40年(480か月)になるまでは国民年金に任意加入し、年金額を増やすこともできます。

例えば1年間、国民年金に任意加入すると、年金額が約1万9,000円、一生にわたり増額になります。

国民年金を免除されていた期間がある場合は、免除分を追納すると、年金額が増えますし、追納してから60歳以降国民年金に任意加入できます

6. 年金定期便や年金ネットでは計算されない年金額があるから


年金定期便でも年金ネットでも家族手当に該当する加給年金は、年金事務所で手続きを済ませて、加給年金の支給の有無を確かめてからでないと年金額に表示されません

60歳で年金手続きがまだできない誕生日の人も、自分が加給年金または振替加算の対象者であるかを60歳時に確認しておくと65歳以降の年金額がより正確にわかります

7. もし長期加入特例や障碍者特例に該当すればと早めに満額の年金を受け取れるから


通常65歳までは部分年金しか支給されないところですが、
・ 44年以上厚生年金に加入している
・ 障害3級以上
だと支給開始年齢(60歳から64歳までの誕生日)から65歳まで全部の年金(部分年金ではなく)が支給されます。

ところが、全部の年金を享受できるのは退職してからになるのです。

60歳過ぎてから働いている方は、一度退職したとして、年金を試算してもらい、長期加入特例や障害者特例に該当してないか、確かめてもいいのではないでしょうか?


支給年齢(60歳から65歳)になったら、書類をそろえて!

特別支給の老齢厚生年金は、性別・生年月日によって、年金をもらえる年齢が異なります。


≪クリックで拡大 特別支給の老齢厚生年金の支給は60歳から64歳まで≫

≪画像元:日本年金機構HP(pdf)≫


年金の支給を受けられる誕生日の3か月前に「老齢年金の裁定請求書」が日本年金機構から住民票のある住所へ送付されてきます。

25年以上年金期間がある人には緑色の封筒で、10年以上で25年未満の年金期間の人には黄色の封筒です。


≪画像元:日本年金機構HP(pdf)≫



手続きの前に確認すること

すぐに手続きしたくなるかも知れませんが書類を取りそろえるのはちょっと待って!

同封の「年金請求手続きのご案内」(pdf)を見てください。

配偶者や子供がいて加給年金をもらうことのできる人の提出書類は、戸籍・住民票・所得証明は
「戸籍・住民票は、誕生日の前日以降、かつ、年金請求書提出日の6か月前以降 に交付されたものをご用意ください。」
と明記してあります。


≪画像元:日本年金機構HP

お誕生日の前日以降に、

・ 戸籍謄本(全部事項証明)
・ 住民票(全員の記載があるもの)
・ 所得証明(受給権の生じた前年分)

3点を取るのが無難です。

もし、老齢年金の請求手続きを誕生日から1年以上遅れていくときは、所得証明は誕生日前年の古い所得を証明するものが必要になることがあります。

配偶者と生計は同一だけど別居の場合


「生計同一の申立書」が年金事務所にあるので必要事項を記入し、3親等の親族・姻族以外の第3者(民生委員、施設長、友人など)から証明を書いてもらいます。

・ 健康保険証
・ 源泉徴収票
・ 給与明細

などの提示を求められることもあります。

年金事務所の窓口に行くとき




本人が行く場合


・ マイナンバーカード(写真付き)
・ 住基カード(写真付き)
・ 運転免許証
・ 健康保険証
・ 通帳等身分を証明できるもの
・ 印鑑

を持っていきましょう。

代理人にお願いするとき


・ 委任状(年金事務所に書式有)
・ 代理人の身分証明
・ 年金を請求する人の印鑑
・ 年金を請求する人の通帳

などが必要です。

60歳時の確認、誕生日以降の年金手続きが滞りなくいくと、その後は安定的な年金収入が見込まれます。(執筆者:拝野 洋子)

年金受給額を「早見表」で確認! 現在の加入期間と月収ですぐわかる

将来受給できる年金額の大まかな目安



※1円未満の端数については、50銭未満は切り捨て、50銭以上1円未満は1円に切り上げしております。

詳しい説明は後半でしていきます。

早見表を見る前の解説


国民年金の保険料を納付した期間や免除を受けた期間、厚生年金保険に加入した期間などを合算した期間が、原則として10年以上ある場合には、国民年金から支給される「老齢基礎年金」を、原則として65歳から受給できます。

また厚生年金保険に加入した期間が1か月以上ある場合には、この老齢基礎年金に上乗せして、厚生年金保険から支給される「老齢厚生年金」を受給できます。

これらに加えて厚生年金保険に加入した期間が、原則として20年以上ある方に、生計を維持されている次のような家族がいる場合には、老齢厚生年金に「加給年金」が加算されます
・65歳未満の配偶者(ただし厚生年金保険に加入していた期間が、原則として20年以上あり、かつ老齢厚生年金を受給できる配偶者などについては、加給年金は支給停止されます)

・18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子、障害等級1級または2級の障害状態にある20歳未満の子
この他に「経過的加算」も受給できる場合がありますが、それほど金額は大きくはないので、老齢基礎年金、老齢厚生年金、加給年金の3つの金額がわかれば、将来に受給できる年金額の大まかな目安がわかります


国民年金の保険料を1か月滞納すると1,623円ずつ減額



国民年金の保険料を20歳から60歳になるまでの40年に渡り、
一度も欠かさずに納付して、満額の老齢基礎年金を受給できた場合、その金額は2017年度額で77万9,300円です。
また40年(480月)で満額を受給できるので、未納期間が1か月増えるごとに、だいたい1,623円(77万9,300円÷480月)ずつ減額されます。

ただし申請を行って全額免除を受けておけば、この半分の811円くらいの減額で済みます

また4分の1免除は203円、半額免除は406円、4分の3免除は609円くらいの減額で済みます。

こういったデータと、ねんきん定期便などに記載されている「これまでの加入実績に応じた年金額」を活用すれば、将来に受給できる老齢基礎年金の大まかな目安額を算出するのは、決して難しくはないと思うのです。

控除されている厚生年金保険の保険料の一部


給与から控除されている厚生年金保険の保険料の一部は、国民年金の保険料として使われるので、20歳から60歳になるまでの40年に渡り、厚生年金保険に加入していた場合についても、満額の老齢基礎年金を受給できます

厚生年金保険の加入者の被扶養配偶者(20歳以上60歳未満)


厚生年金保険の加入者の被扶養配偶者(20歳以上60歳未満)は、届出を行って国民年金の第3号被保険者になれば、国民年金の保険料を納付しなくても、納付したと取り扱われます


配偶者に対して加算される加給年金には「特別加算」が付いている

配偶者に対して加算される加給年金は、2017年度額で22万4,300円です。

これに加えて老齢厚生年金の受給権者の生年月日(加算対象となる配偶者の生年月日ではない)に応じて、3万3,100円~16万5,500円(2017年度額)が特別加算されるので、両者を併せると次のような金額です。


≪画像元:日本年金機構HP


また子に対して加算される加給年金は、1人目と2人目は1人につき22万4,300円(2017年度額)となり、3人目以降は1人につき7万4,800円(2017年度額)です。


老齢厚生年金は月給と賞与を合算した平均額と加入期間で決まる

ねんきん定期便などを見るとわかるように、2003年4月以降の期間に関する老齢厚生年金は、次のような計算式で算出します。
平均の標準報酬額×生年月日に応じた給付乗率(1946年4月2日以降生まれは「5.481/1,000」)×厚生年金保険に加入した月数
この中の「平均の標準報酬額」とは、月給を元に算出した「標準報酬月額」と、賞与を元に算出した「標準賞与額」を合算した平均額です。

つまり老齢厚生年金の金額は、現役時代に会社から受け取った月給と賞与を合算した平均額と、厚生年金保険に加入した期間で決まります



例)月給が15万円で、賞与(30万円)を年2回支給された方が、1年(12月)で退職した場合


平均の標準報酬額は次のようになります。

・15万円×12月+30万円×2回=240万円(月給と賞与を合算)

・240万円÷12月=20万円(平均額を算出)

そのため「20万円×5.481/1,000×12月」で、老齢厚生年金の金額を算出すると、だいたい1万3,154円くらいになるとわかるのです。

また次の早見表を見ると、この例より平均の標準報酬額が高かった場合や、厚生年金保険に加入した期間が長かった場合などの、老齢厚生年金の目安額がわかります。


※1円未満の端数については、50銭未満は切り捨て、50銭以上1円未満は1円に切り上げしております。

ねんきん定期便を活用


過去に納付した保険料に基づく年金額は、ねんきん定期便などを見ればわかります。

このような早見表を活用して、将来に納付する保険料に基づく年金額を計算すれば、将来に受給できる老齢厚生年金の大まかな目安額がわかります。


≪画像元:日本年金機構HP



2018年以降は150万円や201万円が新たな年収の壁になる

2018年以降は皆さんもご承知のとおり、夫が38万円の配偶者(特別)控除を受けるための妻の年収制限が、従来の「103万円以下」から「150万円以下」に拡大されます。

また年収が103万円を超えたとしても、「141万円以下」ならば減額された配偶者(特別)控除を受けられますが、これも「201万円以下」に拡大されます。

従業員数が501人以上の会社で働いていると、社会保険に加入することになる106万円、2018年以降は新たな年収の壁になる150万円、または201万円まで働いた場合の老齢厚生年金の目安額は、次の早見表を見るとわかります。


※1円未満の端数については、50銭未満は切り捨て、50銭以上1円未満は1円に切り上げしております。

なおそれぞれの標準報酬月額である8万8,000円(106万円)、12万6,000円(150万円)、17万円(201万円)に、上記の給付乗率と厚生年金保険に加入した月数を乗じると、更に詳細な老齢厚生年金の目安額がわかります


女性の平均寿命から考えると払い損になる可能性は低い

目標とする年収を106万円にした場合の、2017年9月以降の月々の厚生年金保険の保険料は8,052円であり、150万円にした場合は1万1,529円、201万円にした場合は1万5,555円になります。

例)年収の目標を106万円にした場合




9万6,624円(8,052円×12月)の保険料を納付すると、上記の早見表の中に記載されているように、65歳から5,788円くらいの老齢厚生年金を受給できるのです。

そうなると受給した年金額が納付した保険料を上回る、つまり元がとれるまでに16年くらいはかかります

ただ厚生労働省の調査によると、2016年の女性の平均寿命は87.14歳ですから、あくまで目安額のうえでは払い損にならないと考えられ、また長生きするほどお得です。(執筆者:木村 公司)

【読者(65歳)の質問に回答】妻(30歳)が外国人で海外在住であっても、加給年金を受給できますか?

読者の質問

65歳男性
昨年結婚
厚生年金38年間

妻 
30歳 外国人
年金の支払いはなし

子供なし

現在無収入

外国在住


今年で65歳になり加給年金の申請をしようと思っていますが、妻は30歳の外国人で昨年結婚しました。

私は大学卒業後、厚生年金を38年間かけていて妻も日本で年金はかけていません。

現在無収入で条件に該当すると思うのですが、妻が外国籍で外国在住(私と同居)でもだいじょうぶでしょうか。


私の回答

加給年金の加算対象となる配偶者は、日本人に限定されませんので、妻が外国人であっても加算要件を満たしていれば、加給年金を受給できると考えられます。

ただ年金事務所に提出する書類に添付するものが、配偶者が日本人の場合とは違ってくるので、それを準備するための手間や時間がかかるかもしれません。


くわしく解説



家族手当となる加給年金は、配偶者と子に対して加算される


結婚して配偶者や子がいる方については、基本給に上乗せして、会社から家族手当が支給される場合があります。

加給年金とは老齢厚生年金(基本給)に上乗せされる、家族手当のようなものであり、その加算要件は次のようになっております。
「厚生年金保険の加入期間が原則として20年以上ある方が、65歳に到達した時点、または定額部分の支給開始年齢に到達した時点で、その者によって生計を維持されている配偶者や子がいること」
また配偶者に対して加算される加給年金は、年額で22万4,300円(2017年度額)です。

これに加えて老齢厚生年金を受給している方の生年月日(配偶者の生年月日ではない)に応じて、3万3,100円~16万5,500円(2017年度額)が特別加算されるので、両者を併せた合計額は次のようになります。


≪画像元:日本年金機構 加給年金額と振替加算


なお子に対して加算される加給年金は、1人目と2人目は1人につき、年額で22万4,300円(2017年度額)となり、3人目以降は1人につき、年額で7万4,800円(2017年度額)です。

年齢や年収などにより、加給年金の加算対象になるかが決まる


上記の加算要件の中で、今回の読者の質問に関連している、わかりにくい点を説明すると、次のようになっております。

1. 定額部分の支給開始年齢

男性は1961年4月1日以前に生まれた方、また女性は1966年4月1日以前に生まれた方であれば、60歳から65歳になるまでの間に、特別支給の老齢厚生年金を受給できるのです。

・ 特別支給の老齢厚生年金は、65歳になると老齢基礎年金に変わる「定額部分」と、65歳になると老齢厚生年金に変わる、「報酬比例部分」に分かれます。

・ 定額部分が先に65歳まで引き上げされ、それが終わった後に報酬比例部分が、65歳まで引き上げされます。

例えば男性は定額部分の引き上げはすでに終了し、報酬比例部分が引き上げされている最中のため、
「定額部分の支給開始年齢に到達した時点=65歳に到達した時点」
になるので、原則的に65歳にならないと加給年金は加算されません

生計を維持されている配偶者や子

加給年金の加算対象となる配偶者とは、65歳未満の方になり、婚姻期間の長短は問いません。

また加給年金の加算対象となる子とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある方、または障害等級1級または2級の障害の状態にある、20歳未満の方です。

こういった方の年収が850万円(所得では655.5万円)未満で、生計を同一にしている場合には、「生計を維持されている配偶者や子」に該当するのです。

ただ加算対象となる配偶者の厚生年金保険の加入期間が、原則として20年以上あり、かつ老齢厚生年金を受給できる時などについては、加給年金は支給停止です。


配偶者が日本人の場合とは、添付するものが変わってくる


質問の中に記載されている読者のプロフィールを見てみると、これまでに紹介した加算要件を満たしているので、妻が外国籍で外国在住であっても、加給年金を受給できると考えます。

ただこの読者のように、報酬比例部分の支給開始から65歳になるまでの間に結婚した場合、日本年金機構は加算対象になる配偶者がいる事実を把握しておりません

そのため「老齢厚生年金・退職共済年金加給年金額加算開始事由該当届」という書類を年金事務所に提出して、加算対象になる配偶者がいることを、日本年金機構に報告するのです。

これを提出する際は結婚したことや、配偶者や子が生計を維持されていることなどを証明するため、次のような書類を添付します。

・ 老齢厚生年金の受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本

・ 世帯全員の住民票の写し

・ 加給年金の加算対象者の所得証明書か非課税証明書

今回のように妻が外国籍で外国在住の場合、国によってはこれと同じものを、用意できない可能性があります

そのため年金事務所に問い合わせをして、代わりに何を添付すれば良いのかを、確認する必要があるのです。



受給権を取得した当時に胎児だった子は、加給年金の加算対象になる


今回の読者の奥様はまだ若いので、将来的には夫婦の間に子が生まれるかもしれませんが、その子は加給年金の加算対象にはなりません

その理由として加給年金の加算対象になるのは、老齢厚生年金の受給権を取得した当時、つまり65歳に達した日に、生計を維持されている配偶者や子になるからです。

ただ老齢厚生年金の受給権を取得した当時に、胎児であった子が生まれた場合には、その受給権を取得した当時に、生計を維持されていた子とみなします。

そのため子が生まれた翌月から加給年金の金額が改定され、二人分を受給できるので、再び手続きが必要です。

妻が65歳になると加給年金は、振替加算に切り替わる


加給年金の加算対象になっている妻が65歳になると、それまで夫に支給されていた加給年金は打ち切られます

しかしその加給年金は振替加算に切り替わり、妻が受給する老齢基礎年金に上乗せされます。

ただ妻の生年月日が1966年4月2日以降だと、加給年金は振替加算に切り替わらないため、加給年金の打ち切りと同時に、いずれも支給されなくなるのです。

今回の読者の奥様は年齢から考えて、このケースに該当すると考えられるので、振替加算の話については、特に覚えておく必要はないと思います。(執筆者:木村 公司)