保険料

「払った保険料が戻ってくる」は本当にトクかを計算しました。〜がん保険編〜

前回の記事で、払った保険料が戻ってくる「医療保険」の注意点を説明しました。

今回は「がん保険」の注意するポイントについて、説明したいと思います。

医療保険とがん保険では、注意する点が違います


商品を具体的に説明します

東京海上あんしん生命保険の商品を使って説明します。

「がん診断保険 R」という商品で、健康還付給付金の受取年齢は70歳です。

35才(女性)
がん診断給付金:1回につき200万円


70歳までに約282万円支払います。

70歳までの間に、一度もがんと診断されなかった場合


健康還付金として支払ったお金の全額、282万円が戻ってきます

がんと診断され、給付金を受け取った場合


1度がんと診断され、200万円を受け取った場合は、残りの82万円が戻ってきます

2回以上給付金を受け取った場合


健康還付金より多く受け取っているで、お金は戻ってきません。

この診断給付金、上皮内がんと診断された場合でも受け取れます(保険期間を通して1回)。

「いい保険だわ~」




最初にこの保険を知ったとき、とてもいい保険だと思いました。

日本人ががんになる確率は2分の1。
「ならなかった場合、払ったお金が全額戻ってきます」

「なった場合も、診断給付金が受け取れます」
でも重要なことに気づきました。

保険の落とし穴


がんと診断されても払込が続くことです。

最近のがん保険は、払込免除特約がつけられるものが多くなっています。

でもこの保険は、その特約が存在しません。

ということは、がんになってもずっと支払いが必要です。

払い込みが免除になるがん保険と、保険料等を比較


先ほどと同じく、35歳の女性、同程度の条件で比較しています。


東京海上あんしん生命のがん保険


がんと診断された場合200万を受け取れますが、その後も6,720円の支払いは続きます

FWD富士生命のがん保険


所定のがんと診断された場合、200万円を受け取ることができ、さらにその後、3,742円の保険料支払いは免除されます

ただし注意点は、上皮内がんと呼ばれる初期状態のがんは、200万円の診断給付金を受け取ることができません(別途特約料が必要です)。

また上皮内がんでは払い込みは免除になりませんので、ご注意ください。
がんと診断された場合は、断然FWD富士生命のがん保険がいいですよね。

でもがんにならなかった場合は、東京海上あんしん生命のがん保険がいい。
難しい選択です。


この保険を選ばないほうがいい人

家計の中心を担う人

払った保険料が戻ってくるがん保険を選ぶ際に重要なポイントは、家計の中心を担う人は、たとえ掛け捨てになっても、保障重視で選ぶ保険を選ぶことです。

がんと診断されても、保険料を払い続けてもらえるのであれば、保険料が戻ってくるがん保険でも大丈夫ではないでしょうか。

がんと診断されても支払いが続くことを前提に、ご自身に合った保険選びをしていただければと思います。(執筆者:水谷 文枝)

親に年金がなかったら、子どもが養う。親に仕送りをしなくてよいのは「年金のおかげ」という考え方。

「公的年金」とは



高齢や障害などで働けなくなった人たちや、大黒柱を失って生活に困っている人たちを、現役世代が払う保険料と税金で支える制度です。

「年金はあてにしていない」と言う現役世代の中にも、実は、すでにあてにして生きている人が多いのではないでしょうか。

そんな観点から、今回は、コラムというよりエッセイ的なテイストでお話しします。

親の年金がなかったら、今の私たちの生活は成り立たない

「自分たちの世代はどうせもらえないからあてにしていないし、年金制度なんて要らない」
と言う人は多いですね。でも、本当にあてにしていないのでしょうか。

年金には、
・ 老齢
・ 障害
・ 遺族
と3種類の給付があります。

老齢だけを考えても、私自身や周囲の人たちの生活を見ると、しっかりあてにしているし、まだ現役で働いているけど、間接的な意味では、既に年金制度の恩恵を受けています

親に「公的年金がない」場合


私たち昭和30年代生まれの親は昭和一ケタ世代で、年金のない親を養っていました

国民年金制度が施行されたのは昭和36年、厚生年金は先代の労働者年金保険法が昭和17年に制定されています。

国民年金が施行されたときすでに高齢だった人には「老齢福祉年金」が支給されましたが、扶養義務者(子どもなど)に一定の収入があると支給されませんでした。

また、年金を受給できたとしても金額は少なく、子どもが生活費を負担しなければなりませんでした。

つまり、私たちの親世代は、その親を養いながら保険料を負担してきたわけです。

親に「公的年金がある」場合




私たち夫婦は、両親に生活費を仕送りしたことがありません。盆・暮れにお小遣いをわたす程度です。

夫婦と子供二人の生活だけを守っていればよいのは、両家の親が老齢厚生年金で暮らしているからです。

事業収入や不動産収入のないサラリーマンは、雇ってもらえなくなったら収入が途絶えます。

親に年金がなかったら、子どもが養っていかなければなりません

どうしても養えない事情があれば、最終的には生活保護もあります。

親が自分で一生懸命働いて受給権を得た、使い道も自由な年金で暮らして孫たちに小遣いもくれる状況に、私は感謝しています。


「生涯独身」や「子を持たない選択」も、年金があるからこそ

近年では、生涯独身を貫く人や、子どもを持たない選択する人も増えています。それができるのは、年金制度が定着した時代だからだと思います。

年老いた親が年金で暮らしているから「子が親を養う」という概念が薄まり、
自分が年をとったときも「子どもに養ってもらう」という発想がなくなって家族をつくることにも必要性を感じなくなった
そのように私は解釈しています。

長生きで「おトク」


「老後は子どもに頼らず自己責任」ということで貯蓄をしていても、思ったより長生きしたら生活資金が足りなくなります

一方、公的年金は死ぬまで受給できるセーフティーネットとなります。

金融に関する知識がゼロでも老後に備えられ、厚生年金は会社が半分負担してくれる、長生きするほどお得な制度だと思います。


年金制度の仕組み

公的年金は、税金と現役世代が払う保険料を財源に高齢世代に仕送りし、保険料を払うことで次の世代に支えてもらう権利を得る、順送りの「世代間扶養」の仕組みとなっています。

2017年度の国民年金保険料は月額1万6,490円です。

2017年9月以降の厚生年金保険料の本人負担額は標準報酬月額(給与等の平均)に応じて8,052円から5万6,730円で、厚生年金保険料には国民年金の分も含まれています。

親を直接養うとなれば、これだけの出費では収まりませんね。

現在の年金制度には、将来の現役世代の保険料負担が重くなりすぎないように、現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて年金額を調整(減額)していく仕組みが導入されています。

少子化対策の強化を




現在の年金制度では、少子化がいちばんの問題となっています。

子どもが欲しいけど産める状況ではない、または、2人目に踏み切れない、本当は3人欲しかったけど2人で我慢した、という人も多いですね。

子どもを持ちたいと思う人が、理想の人数を産み育てられるような社会の実現を望みます。(執筆者:服部 明美)

購入したマンションの「火災保険料」払いすぎているかも 戻ってきた事例と計算法を紹介します

マイホームを持つと、建物に火災保険をかけるのが一般的。

保険金額は建物価額となりますが、マンションは土地(敷地利用権)と建物がそれぞれいくらなのか、一見わかりにくいものです。



しかし、購入金額と消費税額がわかれば、建物価額を求めることができます

購入金額2,800万円、消費税額120万円の建物価額は1,620万円
土地(敷地利用権)には消費税はかかりません。

ですから、税額120万円は建物にかかるもの。

よって、
(1) 120万円(消費税額)÷ 8%(消費税率)= 1,500万円
(2) 1,500万円 × 1.08(消費税率)= 1,620万円(建物価額)

と、順に計算していけばわかります。

マンションの場合、建物価額 = 保険金額とは限りません


マンションには専有部分と、エントランスや廊下等の共有部分があります。

共有部分はマンションの管理組合で保険契約をするのが一般的

となると、火災保険に加入する際には、専有部分だけを対象とすれば十分とも言えます。

※専有部分の価額は、マンションごとに定められている境界基準に応じて評価額が算出されます。

境界基準には「上塗基準(うわぬりきじゅん)」と「壁芯基準(へきしんきじゅん)」があり、マンション管理規約等により確認することができます。

上塗基準

専有部分と共有部分の境目を壁、天井、床等、上塗り部分を含めた部屋の内側とするもの。

壁芯基準

専有部分と共有部分の境目を壁、天井、床等の真ん中とするもの。

ある日、なんとなく火災保険証券を見たAさん。共有部分も保障の対象となっていることを発見!


マンション住まいのAさんは、保険期間25年の火災保険に加入し、約5年たちました(2015年10月以降、長期契約は最長10年までとなりました)。

保険金額は2,000万円で、契約時に約21.6万円の保険料を一括で支払いました。

マンション管理組合で共有部分に保険をかけているので、その部分の保障を除外するよう代理店に伝えていたものの、あらためて証券を確認してみました。

すると、そこには「保険対象部分は共同住宅(専有 + 共有)」と表示されているのです。

「専有 + 共有」から「専有のみ」に変更し、保険料が戻る


この事実に気がついたAさんは、残りの約20年間を専有部分のみの保障に変更してもらうよう、代理店にお願いしてみました。

共有部分を解約することで、保険金額も2,000万円から1,000万円へ

それにより、契約時に一括で払った保険料の一部、約8.8万円ものお金が戻ってくることになったのです(住宅ローンを組み、質権が設定されている場合は、金融機関の了解が必要となります)。

ちょうど電化製品の購入を考えていたところだったそうで、良かったですね。




最後に

このように、マンションを購入して火災保険に加入する際、管理組合が保険に加入しているにもかかわらず、共有部分にも保障をつけているという方もいらっしゃるかもしれません

ご自身の保険証券を再確認してみることをお勧めいたします。(執筆者:横井 規子)

「○○の壁」の前にある基礎控除の38万円の分岐点を賢く活用 収入からの控除額を増やす方法と注意点

本当の損益分岐点は基礎控除の38万円



扶養されている主婦が仕事で稼ごうという時に気になるのが103万円の壁と言われますね。たしかに給与という所得区分では年収103万円までなら税金がかかりません。

でもパートやアルバイトの給与所得ではない場合は、実はもっと小さな額から損益分岐点が存在します

それが基礎控除額である38万円です。年収が38万円以内の場合は、所得はゼロになります(住民税は33万円以下の場合ゼロです)。

注意点


扶養されている主婦の収入が38万円を超えた場合、扶養している夫の収入から、段階に応じて、配偶者控除額が減額されます。

ここでも小さな額ですが、損益分岐点が生じているわけですね。

パートやアルバイトのケースでは給与所得控除の65万円があるために103万以下の収入では税金がかかってきません。

しかしながら、
・ 株の売買や配当
・ モニター収入などの謝礼
・ 短期の在宅ワーク
などの場合は、基礎控除額を超える38万円から税金がかかってきます

逆に言うと38万円までは税金もかからず、扶養にも影響しません。その38万(給与所得である場合は103万)の控除額ですが、実は増やせます。


収入からの控除額を増やす

収入からの控除額を増やす方法はいくつかあります。

1. 生命保険料控除




一番簡単なのは、生命保険料控除です。もちろん生命保険料控除は収入の高い方が控除するほうがお得です。

ただし、生命保険料控除は年間およそ10万分までですので、年間10万以上の保険料の支払いがある場合は、夫婦で分けて申請することも可能です。

ちなみに我が家では、夫名義の保険料は夫が、私名義の保険料は私が利用するようにしています。生命保険料控除によって、最大で5万円の控除されます。

2. 医療費控除


医療費控除も所得の多い方で申請するほうがお得です。

課税標準の5%か、10万円のどちらか低いほう以上の医療費の支払いがあれば控除になるため、およそ300万以下の収入の場合は10万円以下でも申請が可能になる場合があります。

そのため、10万円に届かない場合でも収入の低い方の控除として申請ができる場合があることを知っておきましょう。

3. 確定申告


パートやアルバイトで雇用された場合、たいていの場合が事前に所得税が差し引かれます。

これは、月当たり約8万を超える場合は所得税の徴収が義務付けられているためですが、給与所得控除の65万円があるので合わせて103万円の控除を加味して、年末調整で返還となる場合が多いです。

しかし控除できる他の要素がある場合や、年末調整で還付されない場合は、自分で確定申告を行ってみてください


主婦やサラリーマンの副業



「基礎控除の38万円に加えてその他の控除分を合わせた所得」に対しては、所得税はかからず、扶養にも影響しません

株の場合、源泉徴収のある特定口座を開設している場合でも、他に収入のない方の場合は「38万円とその他の控除分を合わせた額以内の所得」であれば、市確定申告によって税金は還付されます。

また、パートやアルバイトの収入がメインの場合、その他の雑所得として、株の売買や配当、その他モニター収入などの謝礼がある場合でも、その分はサラリーマンと同じく20万までは申告不要です。

確定申告は申告内容が還付であれば、5年間は提出でき、遅れても延滞税などのペナルティも発生しません。

副業を大いに利用する時の注意点


このような税制の優遇は特に子どもがいる場合において、幼稚園や保育園などの所得に応じた保険料の決定を左右するので、年度内に行い、次年度の所得収入に反映させるのが賢明でしょう。

ただし所得税は非課税になっても住民税は課税対象になることもあります。そのため20万円以下だからと申告しないと、住民税の方で追徴課税がかかることもあることに注意しましょう。

資産を増やすには収入を増やすことが言われますが、その収入が増えた時には、自分の収入を多く確保できるよう、税制を理解しうまく活用していきたいですね。(執筆者:小柳 結生)

【医療保険】本来なら契約できないような方でも加入できる「特定部位不担保・特定疾病不担保」とは? 「条件付き契約」を説明します

医療保険に加入するとき、健康状態の告知が必要であることはよく知られています。

告知書の内容をもとに、保険会社が独自の基準で契約の引受可否を決定しますが、「引受」と「謝絶」の間の折衷案があることをご存じでしょうか。

今回は、その折衷案となる条件付き契約」について、どのようなものがあるのか解説します。




条件付き契約がある理由

なぜ条件付き契約があるかというと、契約者間での公平性を保つためです。

もともと持病があり発病するリスクの高い人と、健康な人を、同じ保険料・同じ条件で保障することは平等とは言えませんよね。

そこで、健康状態に不安のある方に対しては、契約を引き受ける代わりに、以下のような条件を設けることがあります


特定部位不担保とは

特定部位不担保とは、特定の部位に関する疾病の入院・手術を一定期間保障しない、という意味です。

例えば、子宮筋腫での手術歴を告知書に書いた結果、「子宮の5年間不担保」といった条件がつくことがあります。

この場合、不担保条件の原因となった疾病以外、例えば子宮がんで入院・手術を行ったときも、給付金はおりません。

また、子宮の場合、妊娠もしくは分娩の異常が生じた場合または帝王切開を受けた場合も含まれますので、帝王切開や吸引分娩で出産した場合も給付対象外です。

特定部位不担保の期間は?


設定される期間は1~5年が多く、保険会社独自の基準で決定されます。

その年数を経過した後は、すべての疾病において保障される通常の契約状態になります

また、同時に複数の不担保部位が提示される場合もあります。

不慮の事故による給付請求はできる


特定部位不担保はあくまで疾病の入院・手術が免責となります。

例えば、右下肢に不担保のついた契約で、被保険者が不慮の事故により右足を骨折して入院した場合は、給付金を請求できます。

がんが不担保部位以外に転移した場合は?


乳房に不担保のついた契約で、被保険者が不担保期間中に乳がんにかかった場合、給付金は対象外です。

しかし、そのがんが肺に転移した場合は、「保障の対象となる」というのが一般的な約款の解釈です。

ただし、このあたりは保険会社によって基準が異なるかもしれないので、あらかじめ尋ねておくと安心かもしれません。




特定疾病不担保とは

特定疾病不担保は、ある特定の疾病に関して、一定期間保障しないことを約束する内容です。

子宮筋腫の治療歴を告知書に書いた結果、「子宮筋腫に関する入院・疾病のみ免責」となり、子宮がんは対象となるのが特定部位不担保との大きな違いです。

部位不担保よりも対象外となる範囲は狭いと言えるのですが、現在はほとんどの会社が特定部位不担保を採用しています。

なお、特定疾病不担保は2年間と設定される場合が多いです。


保険料の割増

健康な人の契約と差別化するために、保険料が割増されることもあります

保険料払込期間を通して、割増された保険料を支払い続けることになります。


保険金・給付金の削減支払い

一定期間、保険金・給付金を削減する条件もあります

例えば、死亡保障100万円の契約で、被保険者が1年以内に死亡した場合は、50%削減の50万円を支払う、といったものです。

削減される期間や割合はさまざまで、年数を重ねるごとに削減金額が減り、受け取れる保険金が増えていくような契約もあります


条件付き契約の注意点

契約者は、提示された条件に同意できなければ、契約をしなくてよいのです。

どうしても加入したければ、条件に同意するほかありません。

再審査を求めたければ、追加で書類(診断書など)を提出する方法もありますが、結果を変えることは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

告知義務違反はダメ、絶対!


条件付きとなるのを避けたいために告知書に虚偽の内容を書いたとしても、給付請求時に告知義務違反を問われることになります。

結果、支払った保険料が返ってこないなどのより大きな不利益を被りますから、告知書には必ず事実を書いてください

さまざまな選択肢を検討しよう


契約引受の審査は、保険会社によって基準が異なります。

そのため、複数の会社の商品に申し込んでみれば、よりよい条件の契約に出会えるかもしれません

引受緩和型保険(告知項目が少ない)や無選択型保険(告知が必要ない)といった選択肢もありますが、いずれも保険料は割高です。

さまざまな選択肢を比較検討し、自分にとって最適なものを選んでください。




まとめ

条件付き契約は、本来なら引き受けできないような被保険者も保険に加入できるよう配慮し、生まれた制度です

条件は少し厳しく感じられるかもしれませんが、条件外の保険事故はすべて保障されますから、契約者にとってもメリットは大きいと言えます。

納得できなければ他の選択肢を検討し、自分の健康状態と必要な保障に合わせた保険選びを行ってくださいね。(執筆者:近藤 あやこ)

家計を管理できる子に育てる。借金ゼロからのスタートを子供に用意できていますか?

貯蓄の基本は借金がないこと



貯蓄の基本は借金がないこと、これは貯蓄に関心の高い皆さんには周知の事実だと思います。
そこからスタートできていますか?
借金と聞くとカードローンやサラ金と呼ばれる消費者金融でお金を借りていることだと思いがちの若い人は多いでしょうが、家電ローン、自動車ローンに加え、住宅ローンも立派な借金です。

さらに加えるのであれば、最近はやりのスマートフォンの機種代の毎月分割での支払いも厳密に言えば「分割」という名の借金です。

壊れたり、その期間使わなかったりした場合には全額もしくは違約金を払う契約になっています。そしてもう一つ、多くの人が借金の意識なく借りて背負っているものが、奨学金の返済義務です。


我が子に奨学金を安易に受け取らせるのは、借金を背負って社会人生活をスタートさせること

親自身には借金がなくても、高等教育に進む我が子に奨学金を安易に受け取らせるのは、借金を背負って社会人生活をスタートさせることにつながる場合があります。

親子ともに自覚があるならいいのです。その覚悟をしてでも受けたい教育を受けて、それを上回る収入や喜びを謳歌できる可能性のために奨学金を活用することは大事です。

けれど、親も子も「借金」の自覚なく、奨学金に頼ってしまったら、子どもの社会人生活は借金からのスタートです。

奨学金を受ける際は未成年のことが多く、連帯保証人は通常親となるため、子が返済の見通しをうまく立てることができなければ、その借金を親が背負うことになります。

実際に、私の周りでも親が奨学金を返済しているケースもあります。そうなると親の老後も不安になってきます。

奨学金は「高等教育への準備」のコラムにも書きましたが、
・ 子どもの成績によって、受けられる・受けられない

・ 成績が下がるにつれ、給付ではなく貸与になる

・ 無利子ではなく有利子になる
といったかたちで、条件が変わってきます

給付であれば返済の必要がないので、借金という心配はありません。

でも、奨学金というネーミングにつられて貸与される奨学金を安易に借りてしまうと、ただの借金ということを親子ともどもご認識ください。




子ども主体で手続きを一緒に行っていきましょう!

子どもが自立していく過程では、口座開設、クレジットカードの契約、健康保険証の交付などたくさんの親の家計との切り離しが必要になってきます。

まだ開設や契約で親の許可や庇護が必要なうちに子どもに対し、マネー教育をしていくことは親の老後の経済面からみても重要です。

そのためにはまず、親がしっかりと金融知識を持っていなくてはなりません。
・ 携帯の使用料
・ 国民年金
・ クレジットカード
携帯電話を持つようななったころに一度、しっかりと親子で学びましょう。

大切なポイント

親が勝手に手続きしてしまわないこと!
勝手に契約してあげて、勝手に払ってあげるなんて論外です。

子どもにお金の流れを確認させることが、将来自立した家計を管理できるようになるポイントです。

手間でもなるべき子どもが主体で、一緒に行うようにしましょう。




親が「国民年金」を立て替えるメリット

国民年金を納める場合は親が立て替えるほうが節約に通じることもあります。

収入がない学生であっても20歳になると原則として、国民年金に加入し保険料を納めなければなりません。

学生納付特例を利用する場合


20歳以上であっても所得が一定以下の学生については申請することにより、学生納付特例といって在学中の納付が猶予される制度があります。

学生納付特例制度の承認を受けている期間は、保険料の支払いをしていなくても保険料を支払ったものとして扱われ、障害が残ったときに障害基礎年金を受け取ることができます。

ただし10年以内に追納しないと年金額に反映されず将来の年金額が減額されることと、追納の場合3年度目以降は保険料に加算額が上乗せされること、年度毎の申請が必要であることに注意が必要です。

猶予分は後で保険料を支払わなければならないということを、きちんと事前に子どもに伝えておくべきです。

借金ではありませんが、借金を支払うことと同じ仕組みではあるからです。

きちんと加入することが大切




国民年金は老後のためだけの備えではなく、病気やケガで障害が残ったときや、収入を支えていた方が亡くなったときの保障もあります

何も手続きのない状態では障害年金を受け取ることができない可能性もありますので、まずは加入手続きを行い、払えない場合は学生納付特例の申請の手続きを行うことが大切です。

3年度目以降の追納


3年度目以降の追納は支払額が高くなるため、子どもの負担を少しでも軽減してあげる余裕があるのであれば、立替払いもできます

収入が高く所得税率の高い親の場合は、親の社会保険料控除で戻ってくる税金が多くなるため、結果として節税につながるメリットもあります

また、保険料を一括で前納すると保険料は安くなります。

ただし、親が代わりに国民年金保険料を支払う場合には、将来を考えて本来支払うべき子どもに対ししっかりと説明し、子どもが収入を得るようになったときに分割で返済してもらうなどの取り決めをするなどしてもよいでしょう。(執筆者:小柳 結生)

「保険料の支払いが苦しい」解約を検討する前に活用したい保険の機能 第4弾:高度障害保険金

今回は、健康を損い、保険料の支払いに窮したケースで役に立つ保険の知識を紹介します。

病気やケガで就業不能となった場合など、保険料を支払えないからと保険を諦める人も多いですが、保険料の支払いが不要となるケースもあることを知っておきましょう。

関連記事

第1弾:払済保険と延長保険

第2弾:減額・特約解約と転換

第3弾:自動振替貸付と契約者貸付


高度障害保険金を請求する



生命保険で保障されるのは、死亡時だけではないことをご存知でしょうか。

「高度障害状態」になったときも、保険金(死亡保険金と同額)を請求することができます。この保険金を「高度障害保険金」と呼びます。

高度障害保険金が支払われると、同時に保険契約は終了し、保険料の支払いも不要です。

請求できる条件は以下のとおりです。

所定の高度障害状態とは


約款には、所定の高度障害状態として以下のように記載されています。

約款の文言は少しわかりづらいので、【具体的な状態】もそれぞれ説明します。

1. 両眼の視力を全く永久に失ったもの

【具体的な状態】両眼を失明した状態。矯正視力が0.02以下で回復の見込みがない。

2. 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの

【具体的な状態】音声言語による意思の疎通がまったくできない状態(失語症、声帯全摘など)。または、そしゃくの機能障害で流動食以外のものが摂取できない状態。

3. 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの

【具体的な状態】脳から脊髄まで続く神経の中心部・精神、呼吸器、循環器などの障害により、介護なしでは生活できない状態。

(1) 食物の摂取

(2) 排便・排尿・その後の始末

(3) 衣服の着脱・起居・歩行・入浴

いずれも自力でできない状態。

4. 両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの

【具体的な状態】両腕を失ったか、まったく動かなくなった状態(完全硬直)。

5. 両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの

【具体的な状態】両足を失ったか、まったく動かなくなった状態(完全硬直)。

6. 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの

【具体的な状態】片腕を失い、かつ片足を失ったかまったく動かなくなった状態(完全硬直)。

7. 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

【具体的な状態】片腕がまったく動かない(完全硬直)、かつ片足を失った状態。

高度障害保険金を受け取る条件


・高度傷害状態の原因が、保険の責任開始日以後の傷害(不慮の事故)または疾病であること

・約款所定の高度傷害状態に該当すること

・症状の回復が見込めないこと

・保険会社所定の診断書に、医師がこれらを証明すること

これらの状態をすべて満たした場合のみ、高度障害保険金を受け取ることができます

例えば、一時的に両腕が動かなくなり、リハビリをすれば回復する、というケースは対象外です。


保険料払い込み免除



一般的な生命保険は、不慮の事故からその日を含めて180日以内に、被保険者(学資保険の場合は契約者)が所定の身体障害状態になったとき、以後の保険料の支払いが不要です。

所定の身体障害状態の例


・ 1眼の視力を全く永久に失ったもの

・ 両耳の聴力を全く永久に失ったもの

・ 脊柱に著しい奇形または運動障害を永久に残すものなど

高度障害保険金の支払い要件はどの保険会社もほとんど差がない一方、保険料免除の条件である「所定の身体障害状態」は保険会社によってさまざまです。

ご契約の保険の約款を確認し、どのようなときに保険料が免除となるのか確認しておきましょう。

保険料免除が認められれば、以後の保険料は不要となり、保障は満期まで継続されます。

商品によってはその他の状態で保険料免除となる場合も


保険料免除特約(特則)のついた契約なら、上記以外にも一定の状態となったときに保険料の支払いが免除となります。主な要件を以下に列挙します。

・三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)と診断されたとき(入院や手術、労働制限があることが条件になるものもある)

・所定の身体障害状態になったとき(視力・聴力の障害や、上肢・下肢(手指含む)の障害、内臓の障害など)

・所定の介護状態が継続しているとき

この条件も保険会社や保険商品によってかなり差があります

もしこの特約をつけるのであれば、比較的条件が厳しくないものを選ぶことがポイントです。

大病を患ったり身体が不自由な中、保険料を払い込むことなく保険を継続できれば、保険はよりありがたい存在となるでしょう。


保険を賢く役立てましょう



高度障害保険金の支払い、保険料免除に該当する条件は、いずれも「回復の見込みがない」ことが条件であるなど、非常に重篤な状態に限られています。しかしだからこそ、困ったときに役立つ機能です。

保険料の支払いに窮したとき、役に立つ保険の機能を4回にわたって紹介してきました。保険料が払えないとき、解約ばかりができることではありません

保険を有効に役立てるため、ぜひ参考にしてみてください。(執筆者:近藤 あやこ)

【「保険料の支払いが苦しい」時の対応シリーズ】
第1弾:払済保険と延長保険
第2弾:減額・特約解約と転換
第3弾:自動振替貸付と契約者貸付
第4弾:高度障害保険金 ←いまここ

「保険料の支払いが苦しい」解約を検討する前に活用したい保険の機能 第三弾:自動振替貸付と契約者貸付

保険料の支払いが難しいとき、契約に変更を加えるばかりができることではありません。

自動振替貸付や契約者貸付を活用すれば、保障金額や保障期間を変えることなく契約を継続できるかもしれません。

関連記事

「保険料の支払いが苦しい」解約を検討する前に活用したい保険の機能 第一弾:払済保険と延長保険

「保険料の支払いが苦しい」解約を検討する前に活用したい保険の機能 第二弾:減額・特約解約と転換




自動振替貸付

自動振替貸付とは、保険料の払い込みが一定期間なかったとき、解約返戻金の範囲で保険会社が貸付というかたちで自動的に立て替える制度です。

通常、生命保険や医療保険は、保険料の払い込みが一定期間なければ「失効」してしまいます。

しかし、保険料をカバーする解約返戻金があれば、それを元に保険を有効に継続させることができるのです。

注意点


自動振替貸付は、特に手続きをしなくても行われる場合がほとんどです。

そのため、保険料の支払いが滞ったとき、知らぬ間に保険会社から借金をしていることになるので、注意が必要です。

また、返済はいつでも可能ですが、所定の利息がつきます

そのため、うっかり払い込みを忘れてしまったなど、一時的に保険料の支払いが困難になったときには便利な制度ですが、長期に渡り支払いの見通しが立たないのであれば、早めに契約内容の見直しをすべきです。

元利金の合計額が解約返戻金を上回ると、保険は失効してしまいます。

自動振替貸付を希望しない場合


あらかじめその旨を保険会社に申し出ておく必要があります。




契約者貸付

まとまったお金が必要となった場合、加入する保険会社からお金を借りることも可能です。

これを契約者貸付と言い、解約返戻金を担保にお金を借りることになります。

借りられる金額


解約返戻金の70〜90%の範囲、貸付利率は複利で3〜6%ほどが多く、加入する保険や保険会社によって異なります。

契約者貸付の申し込みをしたい場合


保険会社のコールセンターに電話をして書類を取り寄せます。返済はいつでもでき、信用情報などに影響を及ぼすこともありません

注意点


ただし、複利が適用されますから、借入期間が長くなれば借入金はふくらんでいきます

もしも解約返戻金を上回れば、保険は失効してしまい、いざというとき保障を受けることができません

また、祝い金や満期金を受け取る際、借入金が差し引かれます。

本来資金が必要なタイミングで、必要なお金が受け取れなくなる可能性があるので、本当に困ったときだけ契約者貸付制度を活用しましょう。




自動振替貸付と契約者貸付は計画的に!

いずれも
・ 保険料の支払いが難しいとき
・ 一時的に大きなお金が必要なとき
に有効な制度ですが、利息がかかるため慎重に行うべきです。保険を賢く有効に活用しましょう。(執筆者:近藤 あやこ)

「保険料の支払いが苦しい」解約を検討する前に活用したい保険の機能 第二弾:減額・特約解約と転換

前回は払済保険・延長保険という以後の保険料の支払いをまったくなくす方法を説明しました。

今回は、「少しでも負担を減らせれば」とお考えの方に役立つ保険の機能をご紹介します。

前回の記事はこちら→「保険料の支払いが苦しい」解約を検討する前に活用したい保険の機能 第一弾:払済保険と延長保険


減額・特約解約



減額とは、保障の一部を解約することを言います。

例えば死亡保障3,000万円の契約を、1,000万円に変えるような手続きです。

2,000万円の保障に充てられる部分の保険料は下がります。このとき、解約返戻金があれば受け取ることも可能です。

また、特約の解約によって保険料を下げることもできます。特約保障の減額を行うことも可能です。

本当に必要のない保障だけを減額の対象にする


いずれも、単純に保険料負担を減らしたいから、という理由で行うのではなく、本当に必要のない保障だけを減額の対象としましょう
・ 子どもの独立によって大きな保障の必要性がなくなった

・ 住宅購入の際団体信用生命保険に加入したため、生命保険で大きな死亡保障を備える必要がなくなった
などのケースに有効と言えるでしょう。

ただし、保険会社によっては最低保障金額を設定している場合があり、それを下回る金額へ減額することはできません

また、主契約の減額を行うと同時に特約部分も減額の対象となるケースもあります。




転換

転換とは、現在加入する保険を活用し、新しい保険に加入する手続きを言います。イメージとしては、車の乗り換えに似ています。

新しい車(保険)を購入する経済的負担を少しでもやわらげるため、古い車(保険)を下取りに出すのです。

保険を手厚くもできます


転換は、保険料を下げる以外にも、今と同じ保険料で保障を手厚くすることに役立てられる場合もあります
・ 主契約と特約の組み合わせ
・ 保障額
・ 保険料の払込方法
・ 保険期間および保険料払込期間
・ 配当方法
など、さまざまな要素を見直し、新しい保険へ切り替えを行います。

注意!転換は慎重に


掛け捨て型の定期保険に変わっていた、払い込み期間が延長されていたなど、保険料を下げるため、本意でない変更が行われることも少なくありません

また、予定利率が高水準の、昔に加入したいわゆる「お宝保険」は、転換すると結局損をしてしまうことがほとんどです。

転換をすると、その時点での予定利率で保険料が計算されるためです。

一見お得に見えても、後々トラブルを引き起こすおそれのある転換。保険会社の営業社員の勧めに飛びつかず、冷静に判断することが大切です。




まとめ

保険料負担を減らす方法として
・ 減額
・ 特約解約(減額)
・ 転換
を紹介しました。

いずれも保険料を減らすには有効な手段ですが、慎重に行わなければ後のトラブルにつながるので注意してください。

次回は、契約者貸付、自動振替貸付といった保険の継続方法について解説します。(執筆者:近藤 あやこ)

信頼できない年金制度から脱退して、保険料を取り戻すのは可能なのか?

原則65歳から支給される老齢厚生年金の受給権者に、一定の要件に該当する配偶者がいる場合には、加給年金が上乗せして支給されます。  

また加給年金の対象になっている配偶者が65歳になった時には、加給年金は振替加算に切り替わり、配偶者が受給する老齢基礎年金に上乗せして支給されます

厚生労働省は2017年9月13日、この切り替えがうまくいかなかったことにより、10万5,963人に支給漏れが発生したと発表しました。

その総額は598億円にも達し、一度に発生した年金の支給漏れとしては、過去最大の規模になったのです。

また2006年6月時点において、5,000万件あると言われていた持ち主不明の年金記録、いわゆる「宙に浮いた年金記録」は、2017年3月時点において約1,951万件も残っており、この問題はまだ解決していないのです。



こういった事態を見ていると、信頼できない年金制度から脱退して、保険料を取り戻したい気持ちになる方もいるかもしれませんが、それは可能なのでしょうか?


現在でも経過措置により請求できる可能性が残る「脱退手当金」

厚生年金保険には「脱退手当金」という、納付した保険料を一時金で返してもらえる制度があり、例えば結婚すると同時に、仕事を辞めてしまう女性などに利用されてきました。

この制度は法改正により廃止されたのですが、経過措置が設けられているため、現在でも次のような要件をすべて満たす場合には、脱退手当金を請求できるのです。

脱退手当金を請求できる要件


・ 1986年4月1日時点において、45歳以上(1941年4月1日以前生まれ)である

・ 厚生年金保険の被保険者期間が5年以上あるけれども、老齢年金を受給するために必要な受給資格期間を満たしていない

・ 60歳以上に達しており、かつ被保険者資格を喪失している

・ 通算老齢年金や障害年金などの年金を、受給する資格がない

・ 脱退手当金の金額以上の、障害年金や障害手当金を受給していない

以上のようになりますが、これらの要件を見るとわかるように、年金制度を信頼できない現役世代の方が、利用できるような制度ではありません。

ただ若い頃に厚生年金保険に加入していた記憶があるけれども、それが短期間であったため、老齢年金を受給できていないという方は、脱退手当金を受給できないかを、調べてみる価値はあると思うのです。


滞在期間が短い外国人の掛け捨て防止策となる「脱退一時金」

日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の方は、日本国籍がない外国人であっても、国民年金に加入しなければなりません

また厚生年金保険についても同様であり、一定の適用基準を満たせば、日本国籍がない外国人でも加入する必要があります。

しかし日本の滞在期間が短い場合には、それぞれの被保険者資格を喪失した時点で、老齢年金を受給するために必要な受給資格期間を満たせず、納付した保険料が掛け捨てになってしまうのです。

そのため次のような要件をすべて満たす場合には、原則として帰国から2年以内に請求することにより、納付した保険料を「脱退一時金」として返してもらえます

脱退一時金を返してもらえる要件


・ 日本国籍を有していない

・ 厚生年金保険の被保険者であった月数、または国民年金の保険料を納付した月数などが6か月以上ある

・ 日本国内に住所を有していない

・ 今までに年金(障害手当金を含む)を受給する権利を有したことがない


以上のようになりますが、これらの要件を見るとわかるように、年金制度を信頼できない日本人が、利用できるような制度ではありません


国民年金の加入から逃れるには外国に居住するしかない



このように現在の年金制度において、脱退して納付した保険料を取り戻せるのは、外国人だけになるのです。

ただ国民年金に加入する必要があるのは、日本国内に住所を有する場合になるため、日本国籍を有する方でも、外国に居住するようになれば、国民年金に加入する必要がなくなります

これを活用すれば合法的に国民年金から脱退できますが、外国人と違って納付した保険料は返してもらえません

また国民年金の加入から逃れるために、わざわざ外国に居住する方はいないと思います。

そうなると日本に住んでいるかぎりは、何らかの年金制度に強制加入となり、またその保険料は死亡したり、障害状態になったりした場合を除き、原則65歳になって老齢年金を受給できるまで、取り戻せないことになります。

しかし次のような理由により、これは決して悪い仕組みではないと考えるのです。


日本人の40%程度は「老後の生活費に対する備え」を何もしていない

内閣府は2015年10月から12月にかけ、日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの60歳以上の男女(施設入所者は除く)を対象に、50代までに実施した「老後の生活費に対する備え」についての調査を行いました。

その結果は次のようになっておりますが、「特に何もしていない」と答えた方の割合は、日本:42.7%、アメリカ:20.9%、ドイツ:26.1%、スウェーデン:25.4%となり、日本がずば抜けて高かったのです。





またフィデリティ退職・投資教育研究所が実施した、20代~50代の会社員や公務員を対象にした調査でも、同じような結果が出ており、40%程度の方は退職準備額が0円、つまり老後の生活費に対する備えを、特に何もしていないのです。



≪出典:フィデリティ退職・ 投資教育研究所レポート(2015年7月、pdf)


そのため仮に政府が年金制度を廃止し、また納付した保険料はすべて国民に返し、後は自分達で何とかしてくださいとなった場合、何も準備しないまま定年を迎え、老後の生活費で苦労する方が、現在よりも増えてしまう可能性があると思います。

このように考えていくと、強制加入で脱退できないことや、保険料を取り戻せないことは、現在の年金制度のマイナス面になりますが、プラス面でもあるのです。

また年金制度を信頼できないのなら、それを補うような自助努力を積極的に実施し、「特に何もしていない」という割合を、減らしていく必要があると思うのです。(執筆者:木村 公司)