「夜間中学」を知っていますか


≪画像元:政府広報オンライン


定時制の高校は良く知られていますが、「夜間中学」というものがあるのをご存じでしょうか。

さまざまな事情から義務教育を学びなおしたいという人や、日本語を学びたい外国人が通う夜間の学校です。

自治体が設置する夜間中学は非常に少なく、一般のボランティアなどが行う自主夜間中学に頼らざるを得ないという現状があります

今回は文部科学省が行った「中学校夜間学級等に関する実態調査」をもとに、夜間中学の現状について紹介していきます。


夜間中学の学校数と生徒数


夜間中学(中学校夜間学級)とは、市町村が設置する中学校において二部授業が行われる学級のことを指します。

主にさまざまな事情から小学校や中学校を卒業していない人や、日本語を学びたい外国人が対象となっています。

文部科学省が行った「中学校夜間学級等に関する実態調査」によると、平成28年4月の時点では8都府県25市区31校の中学校に夜間学級が設置されています。

都道府県別学校数・生徒数





このうち外国籍の方が1498名で、全体の81%を占めています

年齢別の生徒数





学校数については大阪が最も多く、奈良や兵庫、京都など関西地区の県名が全体の半分を占めています。

しかしその一方で九州や東北の県名が見られないなど、大きな偏りがあることが分かります。

年齢別の生徒数では男女とも60歳以上が最も多くなっており、働き世代の男性30~59歳の人数が少なくなっています。

年齢や国籍の違う人と幅広く交流できるのも夜間中学の大きなメリット

文化や考え方の違いを知ることで、より柔軟な価値観が養われるのではないでしょうか。


授業料や教材費、給食費の負担について

義務教育なので基本的に授業料は無料となっていますが、教材費や修学旅行費などは学校によって違いがあります。

夜間学級のみで特別に使用されている教材


・ 日本語テキスト
・ 漢字練習帳
・ 日本語単語帳
・ 計算ドリル
・ 地理・歴史資料

などで、価格としては300~2,800円程度で平均価格は1,473円という結果が出ています。

夜間学級での給食実施の有無と給食費について




・ 実施している… 55%

・ 実施していない… 45%

給食費の負担についてですが、給食を実施している17校のうち

・ 実費を徴収… 4校(1食あたり310~320円)

・ 自治体からの補助により負担を軽減… 6校

・ 無償…7校

・ 1食あたり実費 110~319円

・ 補助 5~250円

となっています。

給食の時間は「食事を摂る」ということだけではなく、クラスメイトとの大切な交流の時間です。また同じ物を食べることで、不思議と連帯感も湧いてくるもの。

そういった観点からも給食の実施が積極的に行われることを期待したいと思います。

年間の学校行事も充実


・ 入学式
・ 卒業式
・ 体育祭
・ 文化祭
・ 遠足
・ 修学旅行
・ 移動教室

なども行われています。


自主夜間中学・識字講座などで学ぶ人は、約7,400名!

一方で自主夜間中学・識字講座等の生徒数は約7,400名にのぼっていて、夜間中学のニーズが高いことを示しています。

・ 外国人 約60%

・ 義務教育未修了者 約5%

・ 不登校等により義務教育を十分に受けられなかった義務教育修了者等 約4%

となっています。

自主夜間中学とは


市民ボランティア等の有志が中心となって、外国人や義務教育未修了者などに基礎教育等を施すことを目的として、社会教育施設などで自主的に運営する組織です。

自主夜間中学・識字講座などの指導者

一般人のボランティアが最も多く全体の78%で、次は勤務時間外にボランティアなどで参加する現役教員の12%、そして退職教員の8%、学生2%となっています。

場所

公民館やコミュニティセンターなどを中心に行われており、週に1回というペースが多いです。

費用

参加者の経費負担に関しては「非徴収」としているケースが最も多いです

夜間中学のニーズは今後も高まることが予想されます。

ボランティアのみで運営し続けていくことは決して容易ではありません。国や各自治体が積極的な支援を行うことが急務と言えそうです。


夜間学級の一例


・ 東京都世田谷区立三宿中学校 夜間学級

三宿中学校の夜間学級のサイトには、最初に次のような内容が書いてあります。



「事情があって、小学校も卒業していないのですが…」

「不登校で、中学校にほどんど行ってなかったのですが…」

「日本語の勉強がしたいのですが…」

「ひらがなから勉強したいのですが…」

優しく話しかけるように始まる三宿中学校夜間学級のサイト。

いろいろな事情で学べなかった、今後のことも考えて学びたいという人たちの望みを幅広く受け入れようという姿勢が伝わってきます。

夜間学級の時間割は次のようになっています。年間3回の公開授業を行っています。




・大阪府八尾市立八尾中学校 夜間学級

夜間中学の数が一番多い大阪府。

八尾市立八尾中学校のサイトには次のような内容が記されています。



(1) 「あいうえお」から勉強できます。

(2) 16歳以上の人が入学できます。

(3) 卒業した人は、中学校卒業資格があります。

(4) 外国籍の方も入学できますが、大阪府内に住所がある方です。

(5) 入学の受付は年2回あります。

以上のように夜間学級についての詳細は文部科学省のHPからご覧いただけます。


誰もが学びやすい環境を



さまざまな事情から義務教育の内容を学びたい、学びなおしたいという強い思いの人たちが通う夜間中学。

学びたい人の思いを受け入れ、支援してくれる自治体や団体があるものの、その数はまだまだ足りていません。

夜間中学はただ勉強するだけの場所ではなく、年齢や国籍が違う人と積極的に交流できるという大きなメリットもあります。
「年齢や国籍、収入に関係なく、誰もが学びやすい環境をつくる」
それがこれからの日本にとって必要不可欠なことと言えるのではないでしょうか。(執筆者:藤 なつき)