スイッチOTC

「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」を最大に活かす 確定申告のポイントを4通りの申告で解説

前回は、セルフメディケーション税制について詳しく説明しました。

今回は、効率よく後悔しない確定申告するためのポイントを解説します。

厚生労働省では、2017年9月に「セルフメディケーション税制に関するQ&A」のなかで、このようなQ&Aを掲載しています。



例えば、所得税を払っている共働き夫婦に、医療費とセルフメディケーション税制に該当する費用がある場合、それぞれを申告できるということです。

もちろん、申告する医療費とスイッチOTC医薬品の購入費用を同時に控除はできません。それでも、うまく活用すれば節税になりそうです。


医療費控除



1.対象となる医療費の要件


(1) 申告者本人本人と生計を一にする配偶者やその他の親族(同居・別居・扶養は問わない)のために支払った医療費であること。

(2) その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となる。)

2.対象となる医療費の内容


(1) 医師又は歯科医師による診療又は治療

(2) 治療又は療養に必要な医薬品の購入費

(3) 病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務提供の費用

(4) あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術費

(5) 保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話にかかった費用

(6) 助産師による分べんの介助にかかった費用

(7) 介護福祉士等による一定の喀痰吸引及び経管栄養などにかかった費用

(8) 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額

(9) 妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、通院費用

バスや電車など公共交通機関での交通費を含めることができます。領収書がない場合がほとんどです。
・ いつ
・ どこの病院の受診
・ 交通費をいくら払った
のかを記録しておきましょう。

確定申告の明細書に記載する際は、通院のためにかかった交通費として合計金額を記載すれば問題ありません

3.対象とならない医療費の内容


(1)健康診断、美容整形など病気の治療以外の手術、入院中の差額ベッド代、通院のための自家用自動車のガソリン代や駐車料金などは対象になりません。

(2)疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。

(3)風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費ですが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。

4.医療費控除額の計算式 (最高で200万円)




注意点


保険金などで補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません

例えば、すい臓の手術を受け入院費用に12万円(限度額適用)、インプラント治療に15万円の治療費をそれぞれ支払い、生命保険からの入院給付金20万円受け取った。

この場合の医療費控除額の計算では、
入院費用12万円-入院給付金20万円=-8万円
ですが、上記に「他の医療費からは差し引かない」とあるので0円です。

実際に総所得金額等を当てはめて計算してみましょう


・ 200万円以上の例

総所得金額等が300万円の人の場合、医療費控除額は5万円です。
((入院12万円―20万円=0円)+インプラント15万円)―10万円=5万円
昨年の所得税(10%)5,000円が戻ってきます。今年の住民税(10%)5,000円が節約できます。

・ 200万円未満の例

総所得金額等が100万円の人の場合、医療費控除額は10万円です。
((入院12万円―20万円=0円)+インプラント15万円)―5万円=10万円
昨年の所得税(5%)5,000円が戻ってきます。今年の住民税(10%)1万円が節約できます。

計算の都合上、

・ 総所得金額等=課税所得金額

・ 復興特別所得税

は含みません。

所得の低い人の方が、効果が大きい


お気づきですか?

所得の低い人の方が、効果が大きくなりました
総所得金額によって医療費控除額が、所得税率によって節税効果が変わる
ということがわかります。

総所得金額と所得税率については、あとで説明します。


セルフメディケーション税制



図のように所得税率によって節税効果が変わります。

参考記事:「医療費控除(病院) vs セルフメディケーション税制(OTC医薬品)」どっちがお得? どっちを選べばいいの?」


医療費控除とセルフメディケーション税制を最大に活かす

効率のよい申告を考えましょう。

・ 医療費 20万円(うちスイッチOTC医薬品の購入費 5万円)

・ 夫=総所得金額など330万円

・ 妻=総所得金額など100万円

(1) 夫=医療費控除 妻=控除なし


20万円-10万円=10万円

所得税(20%)… 2万円

住民税(10%)… 1万円

合計3万円の節税効果です。

(2) 夫=医療費控除 妻=セルフメディケーション税制


15万円-10万円=5万円

5万円-1万2,000円=3万8,000円

所得税… 1万円+1,900円=1万6,900円

住民税… 5,000円+3,800円=8,800円

合計2万5,700円の節税効果です。

(3) 夫=控除なし 妻=医療費控除


20万円-5万円=15万円

所得税(5%)… 7,500円

住民税(10%)… 1万5,000円、

合計2万2,500円の節税効果です。

(4) 夫=セルフメディケーション税制 妻=医療費控除


5万円-1万2,000円=3万8,000円、15万円-5万円=10万円

所得税… 7,600円+5,000円=1万2,600円

住民税… 3,800円+1万円=1万3,800円、

合計2万6,400円の節税効果です。

以上のような4通りの申告ができました。

総所得金額などと所得税率を知り、医療費控除とセルフメディケーション税制の効率のよい申告を選択しましょう。

実際に総所得金額などと所得税率は、給与所得だけの場合、源泉徴収票を利用すれば簡単に知ることができます。


源泉徴収票で総所得金額・所得税率を確認する


≪画像元:国税庁(pdf)≫


1. 給与所得金額




年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表(pdf)」

2. 課税所得金額





3. 所得税額の計算




いわゆる税込年収500万円の人でも、給与所得控除額や扶養控除など所得控除額を差し引くと、課税所得は、124万円とわずか1/4、税額は5%でした。

このように、課税所得まで見てみないと、実際の節税効果はわからないということが、理解していただけるでしょうか?


確定申告の際の注意点

(1) 医療費控除の申告

「医療費控除の明細書(pdf)」(国税庁HP)を作成し、確定申告書に添付するので、領収書は5年間自宅保管になりました。

医療保険者から交付を受けた「医療費通知」がある場合は、「医療費通知」を添付することによって医療費控除の明細書の記載を省略や領収書の保管することができます。

「医療費通知」とは、医療保険者が発行する医療費の額などを通知する書類です。

次の事項の記載があるもの(後期高齢者医療広域連合から発行された書類の場合は を除く。)及びインターネットを利用して医療保険者から通知を受けた医療費通知情報でその医療保険者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付されたものをいいます。

1. 被保険者等の氏名

2. 療養を受けた年月

3. 療養を受けた者

4. 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称

5. 被保険者等が支払った医療費の額

6. 保険者等の名称

(2) セルフメディケーション税制の申告

「セルフメディケーション税制の明細書(pdf)」(国税庁HP)を作成し、確定申告書に添付する。また、「健康の保持増進及び疾病の予防に関する取組を行ったことを明らかにする書類」も確定申告書に添付します。

(3)「健康の保持増進及び疾病の予防に関する取組を行ったことを明らかにする書類」は、申告する年度に申告者本人が実施したものです。

領収書・健康診断書など添付する書類の実施日を必ず事前に確認しておきましょう。

(4)控除の申告は5年を遡って行うことが可能です。

(5)控除の対象となるスイッチOTC医薬品の購入費用は、実際に支払った税込み後の価格が控除の対象です。

(6)ドラッグストアの割引セールで購入したスイッチOTC医薬品の購入費用は、割引後の価格が控除額とです。


今年は挑戦しませんか


昨年スタートしたセルフメディケーション税制と同時に、申告方法も領収書を添付しなくても、それぞれ明細書を添付することでできるようになりました。

「医療費控除の明細書」は、エクセルで入力できるソフトが「国税庁の確定申告書等作成コーナー(pdf)」からダウンロードできます。

今年からでも初めて見てはいかがでしょうか?

医療費控除を申告するかどうかは未定でも、医療費の節約と健康管理に役立つかもしれません。(執筆者:京極 佐和野)

「YES」「NO」でわかる。セルフメディケーション税制が利用できる? 医療費控除とどちらがお得?

「セルフメディケーション税制」



平成29年より医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」が導入されました。

これにより、薬局などで購入した対象医薬品が1万2,000円を超える場合も、通常の医療費控除との選択により医療費控除が受けられるようになりました。

納税者にとっては選択肢が広がりましたが、
「ややこしくなった」
との声もお聞きします。

そこで、

1. セルフメディケーション税制が利用できるか

2. 利用できる場合には通常の医療費控除と比べてどちらがお得か

比較のポイントを紹介したいと思います。


1. セルフメディケーション税制は使えるの?

セルフメディケーション税制とは、
健康の保持増進・疾病予防として一定の取組を行っている方が、自己又は生計を一にする配偶者その他の親族のために特定の医薬品等購入費を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる制度
です。

この税制を利用するためには2つの要件を満たす必要があります。

・ 1年間に「健康の保持増進及び疾病の予防への取組」として一定の取組を行った納税者であること

・ 1年間に「対象となる医薬品」を1万2,000円を超えて購入した納税者であること

「健康保持増進及び疾病予防の取組」とは、保険者や市町村などが実施する健康診断、がん検診やインフルエンザの予防接種などです。

控除を受けるためには、領収書または診断結果の通知書を証明書として添付する必要です。

この条件を満たした納税者は、
対象となる医薬品などの購入費が1万2,000円を超えている場合

セルフメディケーション税制を利用して医療費控除を受けられます。

セルフメディケーション税制の対象商品は領収書で確認できます


次のように対象商品に印が付されていたり、領収書に対象商品のみの合計額を分けて記載されている場合もあります。



上記レシートの場合、セルフメディケーション税制対象商品は★印がついた商品で、合計金額は2,164円です。

このようにして計算した対象医薬品の合計額から、保険金などによる填補額を引いた金額が1万2,000円を超える場合、セルフメディケーション税制による医療費控除を受けられます。

納税者本人が健康保持や疾病予防の取組をしていれば、そのような取組をしていない家族のために購入した対象医薬品も控除対象医療費にできます。



2. 通常の医療費控除による控除は利用できる?

通常の医療費控除は
1年間に支払った医療費から保険などで補填された金額を差し引いて、10万円または所得の5%を引いた金額
が控除額です。



・ 所得が200万円以上の方は支払った医療費の10万円を超えた金額が控除額です。

・ 所得が200万円未満の方は「総所得×5%」を超えた金額が控除額です。

所得は年収とは異なり、所得の種類によって次のように計算します。



(1) 会社員やパートなど給与所得者の場合は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」に記載されています。



(2) 自営業、フリーランスなどの事業所得者の場合は、確定申告書の「所得金額の合計額」です。



(3) 年金生活者の場合は、公的年金の源泉徴収票の「支払金額の合計」から次の金額を差し引いた額が所得です。

・65歳未満で年金収入130万円未満の方は70万円

・65歳以上で年金収入330万円未満の方は120万円

・それ以外の方は国税庁のサイトにて「公的年金等に係る雑所得の速算表(pdf)」をご確認ください。


3. どちらがお得? 医療費控除 VS セルフメディケーション控除

通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は両方受けることはできません。

どちらも受けることが可能な場合は、より控除額が大きくなる方を選択して医療費控除の確定申告を行いたいですね。

この場合、下のようなチャートで考えてみてください。



実際の金額で考えてみましょう


1年間の医療費を集計しました。
・ 通常の医療費控除の対象となる医療費:11万円

・ そのうちセルフメディケーション税制対象医療費:3万円
どちらの制度で医療費控除を受ける方が控除額が大きくなると思いますか。

通常の医療費控除は、医療費が同じでも、納税者の所得によって控除額が異なります。

年収500万円の会社員

所得は「200万円以上」ですので、控除額は次のように計算します。

・ 通常の医療費控除:11万円-10万円=1万円

・ セルフメディケーション税制:3万円-1万2,000万円=1万8,000円

セルフメディケーション税制を利用した方がお得ですね。

年収150万円のパート従業員

所得は85万で「200万円未満」ですので、控除額は次のように計算します。

・ 通常の医療費控除:11万円-85万×5%=6万7,500円

・ セルフメディケーション税制:3万円-1万2,000万円=1万8,000円

こちらは通常の医療費控除の方が5万円ほど控除額が大きくなります。

年金額180万円の年金生活者(65歳以上)

所得は60万で「200万円未満」ですので、控除額次のようになります。

・ 通常の医療費控除:11万円-60万×5%=8万円

・ セルフメディケーション税制:3万円-1万2,000万円=1万8,000円

こちらも通常の医療費控除の方が6万円ほど控除額が大きくなります。



上記のようにそれぞれお得な方法で医療費控除の確定申告をした場合、所得税・住民税から減税される税金は次のようになります。



「控除額がそのまま還ってくる」と楽しみにされる方がいますが、「控除額=減税額」ではない点に注意が必要です。

還付も減税もない方


・ 住宅ローン控除を受け課税されない

・ 納税していない

上記にあたる方は、申告をしても税金の還付も減税もありません

当然ですが、総税額からの還付・減税です。

尚、実際に確定申告をされる際には、ご不明点など所轄の税務署にお問合せください。


4. 知っているようで意外と知らない?



医療費控除は「確定申告をしたことがある」という方も多いポピュラーな制度ですが、意外と誤解も多い制度です。

今回はセルフメディケーション税制と通常の医療費控除のいずれを選択すべきか、という視点でお話ししました。

「医療費控除の対象となる医療費とは何か」などについては『医療費控除の誤解ベスト7』をご笑覧くだされば幸いです。

「法律は弱者を守るものではなく、知っている者を守る」と言われることもありますが、税制も同じかもしれません。

税金はとっつきにくいと感じられるかもしれませんが、
「うちにも関係あるかしら」
と興味を持って調べていただいたらと思います。(執筆者:小谷 晴美)

医療費を上手に節約する6つの方法 紹介状や時間外受診、はしご受診や各種制度など

家計の中で意外と大きなウェイトを占めるのが「医療費」です。

しかし、医療機関の利用方法や国の制度を知ることで、かなり医療費を節約することができます。

今回はその方法について詳しく解説します。




医療費のむだづかいを防ぐ

医療費を節約する上でまず心がけたいのは、「医療費のむだづかいを防ぐ」ことです。

1. 紹介状なしで大病院に行かない


他院の紹介状なしで病床数500以上の大病院を受診すると、診察料とは別に「特別料金」が加算されます

特別料金の内訳(税抜)

※症状が安定して他の医療機関に転院した後、紹介状なしで再受診した場合。

個人医院など小規模の医療機関では特別料金はかかりません。

緊急時以外はそれらの医療機関を受診し、必要に応じて主治医に紹介状を書いてもらいましょう。

2. 安易な時間外受診はしない


安易な時間外受診も避けましょう

通常の診療時間以外に受診すると、診察料に次の割増料金が加算されます調剤薬局も同様です。

時間外加算の内訳



むだな医療費を払わないためにも、緊急時以外は診療時間内の受診が鉄則です。

3. 素人判断ではしご受診をしない


素人判断による「はしご受診」もNGです。

医療機関を変えるとそのつど初診料や検査料などがかかり、医療費がかさむからです。

やむを得ず転院する場合でも、現在の主治医などに相談することをおすすめします。


医療費の節約に有効な方法とは?

次は、医療費を節約に有効な方法をご紹介します。

4. かかりつけ医を持つ


「かかりつけ医」を持つとはしご受診を防ぐことができ、医療費の節約ができます

かかりつけ医を選ぶポイント

・ 家の近くにある
・ どんな病気もまず診てくれる
・ 質問に丁寧に答えてくれる
・ 必要に応じて他の医療機関に紹介状を書いてくれる

かかりつけ医の最大のメリットは、継続的に受診するとむだな検査や投薬が減り、医療費が抑えられるという点です。

また、家から近いと交通費も安い点も大きなメリットです。

5. ジェネリック医薬品を使用する


ジェネリック医薬品とは特許が切れた新薬と同じ有効成分で製造された薬です。

開発費がない分値段も安くなりますので、積極的に活用しましょう

なお、薬局にお薬手帳を持参すると、薬剤服用歴管理指導料が120円(3割負担で40円)安くなります

6. 各種制度を利用する


医療費が抑えられる国の制度も利用しましょう。

高額医療費制度

医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度

事前に加盟する健康保険組合などに申請し、「認定証」をもらう必要があります。



≪画像元:厚生省(pdf)≫


医療費控除・セルフメディケーション税制

これについては次で説明します。


医療費控除とセルフメディケーション税制について

最後に、申告により税金が還付される、医療費控除とセルフメディケーション税制について説明します

医療費控除


1世帯で1年間に支払った医療費が一定額(※)を超える場合、確定申告を行うと上限200万円まで課税所得額から控除され、税金の還付が受けられる制度です。

※10万円または年間所得の5%のうち少ない方

以前は領収書を提出しましたが、平成29年度より「医療費控除の明細書」の添付でOKとなりました。

また、健康組合等が発行の医療費通知の添付で明細の記入を省略できます。

なお、領収書は自宅で5年間保管する必要があります。(参考元:国税庁(pdf)

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)


スイッチOTC薬を年間1万2千円以上買うと、それを超えた金額分の税金が8万8千円まで控除される制度です。

スイッチOTC薬とは

本来医師の処方がないと使用できない薬が市販薬となったもので、処方せんがなくても買えます。

ただ、薬代は全額自己負担となります。また、この制度を利用すると医療費控除が受けられませんので注意しましょう。


健康維持が一番の節約です



今回は、医療費の節約をテーマに、上手に病院を受診する方法や、医療費控除等について説明しました。

しかし、一番の節約方法はやはり健康を維持することです。

それには食や睡眠などの生活習慣の見直しや適度な運動など、ごく基本的なことから始めましょう。(執筆者:大岩 楓)

病院 vs OTC どちらがお得? どんな人におススメ? スイッチOTC医薬品の疑問をわかりやすく解説します。

セルフメディケーション税制



2017年(平成29年)1月1日からスタートした「セルフメディケーション税制」は、セルフメディケーションの推進を目的としています。

WHO において
「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」
と定義されています。

セルフメディケーションを推進していくことによって、個々の自発的な健康管理や疾病予防の取組を促進し、医療費の適正化にもつながります

期間限定制度


健康診断などを受けている人が、一定のスイッチOTC医薬品を購入した際に所得控除(医療費控除の特例)を受けられるようにしたものです。

この制度の実施は、2017年(平成29年)1月1日~2021年(平成33年)12月31日と期間が限定されています。

スイッチOTC医薬品とは


Over The Counterの略。

医師によって処方される医療用医薬品から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用されたOTC医薬品のことです。

「医薬品」はカウンター越しにアドバイスを受けた上で購入できる薬、というところから由来しています。
・ かぜ薬
・ 頭痛薬
・ 胃腸薬
・ 鼻炎用内服薬
・ 水虫・たむし用薬
・ 肩こり、腰痛、関節痛の貼付薬
など、多様な薬が市販されています。


セルフメディケーション税制は「節税」、「時短」の味方


「医者が近くにいない」
「待つ時間が長い」
などの理由で軽症の病気やケガの手当てを市販薬で済ませる人。

・ 少し具合が悪い

・ 花粉症やかぜのように決まった季節症状

などで病院へ行く人。

「スイッチOTC医薬品」利用し、軽度な身体の不調を自ら手当てすることにより、健康や時間や税金の節約に役立ちます

セルフメディケーション税制は
自分の健康を自分で守る人
を応援する制度です。


セルフメディケーション税制の対象OTC医薬品とは

セルフメディケーション税制には、全てのOTC医薬品が対象になるわけではなく、医療用医薬品でも使われている83成分を含む約1,600品目(平成29年11月16日時点)のOTC医薬品が対象です。

なお、対象成分を含有する品目であっても、薬局製造医薬品(薬局製剤)は、セルフメディケーション税制の対象外です。

厚生労働省の ホームページに品目が掲載しているほか、一部の製品(全ての製品ではないので注意が必要)については対象医薬品のパッケージにこの税制の対象である旨を示す【共通識別マーク】が掲載されています。

また、薬局では、コーナーを設け陳列したり、プライスPOPやレシートなどにセルフメディケーション税制対象商品であることを表示するような工夫をされているところもあります。


≪画像元:日本OTC医薬品情報研究会 共通認識マーク≫



セルフメディケーション税制は、従来の医療費控除との選択適用


セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、従来の医療費控除との選択適用ですので、いずれか一方を選択して適用を受けます

セルフメディケーション税制の適用を受ける場合


特例の対象となる特定一般用医薬品等購入費以外の医療費の額が適用下限額(10万円と総所得金額の5%相当額のいずれか低い方の金額)を超える場合であっても、従来の医療費控除を併せて受けることはできません



確定申告も注意


確定申告後において更正の請求や、修正申告書を提出しても、セルフメディケーション税制から従来の医療費控除へ適用を変更できません

従来の医療費控除を受けることを選択した場合も同様です。


セルフメディケーション税制の適用を受けられる方

セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に「一定の取組(下記参照)」を行っている方です。

申告される方が取組を行っていない場合は、控除を受けることはできません

1.保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診等)

2.市区町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)

3.予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)

4.勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)

5.特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導

6.市町村が健康増進事業として実施するがん検診


控除額の計算方法と確定申告

セルフメディケーション税制による医療費控除額は、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために実際に支払ったOTC医薬品の合計額(保険金などで補填される部分を除きます。)から1万2,000円を差し引いた金額(最高8万8,000円)です。

2017年(平成29年)1月1日から12月31日までのOTC医薬品購入費用が1万2,000円を超えた場合は、確定申告をします。

申告することで所得税の一部が戻り、翌年度の住民税の負担が軽減されます。

2018年(平成30年)の確定申告期間は、2018年2月16日(金)~3月15日(木)です。


≪画像元:厚生労働省(pdf)≫



【症状:花粉症】病院 VS OTC医療薬

医者にかかった場合とOTC医療薬を使用した場合の費用を比べてみました。

私が、平成29年2月25日から実際に花粉症で通院した時の医療費明細書と保険調剤明細書をもとに作成しています。

OTC医薬品は、価格comで検索、一番価格の安いもので計算しています。期間は16週間(約4か月)の設定です。

病院 4か月の合計1万3,830円





・ 初診時

医療費 9,770円・保険調剤費 3,590円(全額)

3割負担 医療費 2,930円 + 保険調剤費 1,080円= 4,010円(自己負担)

・ 2回目以降投薬のみ

3割負担 420円 + タリオン錠14日分 990円=1,410円(自己負担)

・ 16週間(約4か月)2週間に1回投薬のみの通院の場合

4,010円+1,410 × 7 = 1万3,830円

OTC 4か月の合計1万1,512円


OTC医薬品(アレグラFX・2週間分)で16週間

1,439円 × 8 = 1万1,512円

結果

病院の方が2,318円安い
1か月に580円ほどの差です。


OTC医療薬を賢く活用

今回の検証では「病院が安い」という結果になり、花粉症の薬が一番必要になる約4か月の間では1万2,000円にはなりませんでした。

購入費用は家族全員分や一人でも薬の種類が増えれば、1万2,000円以上になる可能性は高いです。

また、仕事をしていたり、忙しい人は病院に行くよりも薬だけ買う方が時間の節約になります。

私自身は、初診を受けたあと「投薬のみ」で1度通院、その後は診察時間に間に合わないという理由でOTC医薬品を利用しました。

医療費控除は、高額な医療費が継続してかかるときや歯の矯正やインプラントなど健康保険が適応されない治療をしたときでなければ、年間の医療費が10万円を超えることはあまりないです。

セルフメディケーション税制の方がより身近になってます。賢く活用してみてはいかがでしょうか?




OTC医薬品を利用する前に、気をつけたいこと

以下の方は、薬局で購入前や服用後に医師・薬剤師・登録販売者などに相談してください。

購入の際に、お薬手帳など今服用しているお薬やこれからスイッチしようとする薬名がわかるものを持参してください。

1. 医師、又は歯科医師の治療を受けている方、妊娠又は妊娠していると思われる方、授乳中の方など。

2. 服用後、副作用と思われる症状が現れた場合。

3. 一定期間使用しても症状の改善がない。

4. 65歳以上

5. アレルギー体質の方。薬によりアレルギー症状を起こしたことがある方。


だいじなこと

医療費控除やセルフメディケーション税制の活用するときは、以下のことに気をつけてください。

・ 医療費控除のことも視野に入れて、医療費用明細書と領収書、保険調剤明細書と領収書や通院のための交通費、OTC医療品以外の医薬品の領収書も保管する

・ 可能であれば、家族やご夫婦で健康診断など「一定の取組」を行う

・ 医療費控除・セルフメディケーション税制ともに、生計を一にする配偶者その他の親族のために実際に支払った医療費や医薬品費が対象

仕送りをしているお子さんなどにも領収書や明細書を保管するように話しておくとよいでしょう。


健康管理や節約に役立つ



医療費控除やセルフメディケーション税制を活用するために必要な、領収書や明細書を保管することによって我が家では、

・ どれくらい医療費がかかっているかという支出の把握

・ どんな治療を受けどんな薬を飲んでいるか

・ 時期は決まっているか不定期か

など、家族の健康管理や疾病予防への取組もしやすくなっています

無理に支出を抑えるのではなく、症状に合った治療や服薬、病院などを選べるようになっていければ、医療費のムダ使いが減り、適正化にもつながります

賢く活用して、自身の「生活の質(QOL クオリティ・オブ・ライフ)」の改善に役立てましょう。

次回は「医療費控除とセルフメディケーション税制の確定申告を効率よくする方法について」です。(執筆者:京極 佐和野)